

アメリカ空軍太平洋航空軍(PACAF)F-16デモンストレーションチームは、2025年5月30日、拠点の三沢基地において最後のデモンストレーション飛行を実施した。同チームは、同年6月16日をもって正式に解散することになっている。
PACAF F-16 Demo Team conducts final flight after 30 years of enhancing U.S. relations worldwide
太平洋地域およびヨーロッパ地域における米国とそのパートナー諸国との友好関係を構築し、良好な関係を促進してきた30年間の活動を経て、青森県三沢基地に拠点を置く太平洋空軍(PACAF)在日米空軍第35戦闘航空団所属のF-16デモンストレーションチームは、2025年5月30日に同基地で最後のデモンストレーション飛行を敢行した。本デモチームは2025年6月16日に解散予定であり、これがPACAF F-16デモチームにとって最終的なデモンストレーション飛行となった。これに先立ち、5月17日と18日に横田基地で開催された日米友好祭において、11万7千人の観客を前に最後の公開パフォーマンスを実施した。このイベントでは2機のF-16が飛行し、2機目は第35戦闘航空団副司令官マシュー・ケンケル大佐が操縦した。ケンケル大佐は、「デモチーム最後の公式飛行を横田友好祭で経験できたことは、大変光栄であり、名誉なことでした。2011年にデモチームに最後に参加して以来、14年以上が経過しました。チームの一員として選ばれた空軍兵たちの能力の高さ、そして彼らが太平洋全域に与え続けている影響の大きさには、いつも感銘を受けます。」と述べている。
PACAF F-16デモンストレーションチーム


PACAF F-16デモンストレーションチーム(Pacific Air Forces F-16 Demonstration Team)は、アメリカ空軍太平洋空軍(PACAF)第35戦闘航空団に所属する航空機デモンストレーションチームであり、F-16ファイティング・ファルコン戦闘機を用いたアクロバット飛行や高機動飛行のデモンストレーションを通じて、空軍の技術力と国際協力関係を広くアピールする役割を担ってきた。1995年、太平洋空軍司令官ジョン・ローバー将軍(元第35戦闘航空団司令官)は、三沢基地にデモチームを編成するよう指示した。それまで太平洋空軍にはデモンストレーションチームは存在しなかった。デモチームの最初の2シーズンで、合計17万km以上を移動し、6か国において40回以上のショーを、7人の国家元首を含む400万人以上の観客の前で披露した。その後も主に太平洋地域(日本、韓国、フィリピン、シンガポールなど)を中心に各国で展示飛行を行い、これまでの約30年間で400回以上の航空ショーを実施し、累計2,470万人以上の観客に対してアメリカ空軍の技術力とパートナーシップをアピールし、同盟国・パートナー国との友好関係を深めてきた。
F-16からF-35へ切り替え
青森県三沢基地に拠点を置く在日米空軍第35戦闘航空団は、長年運用してきたF-16C戦闘機を2025年夏以降、順次返還する計画であり、F-16単機性能実証部隊も解散する予定である。これに伴い、三沢基地に現在配備されている36機のF-16戦闘機を、2026年以降数年かけて段階的に48機のF-35A戦闘機に置き換え、駐屯部隊の戦闘機を全て第5世代ステルス戦闘機に切り替えることが予定されている。戦闘機の単機性能を向上させると共に戦力を増強し、より強力な抑止力でインド太平洋地域の平和と安定を維持することがその目的である。三沢基地には2017年から航空自衛隊のF-35Aが配備されており、装備共通化による訓練及び運用効率化が期待される。マシュー・ケンケル大佐は、「F-35をここに配備することは、地域の安全保障への重要な投資であり、日本の同盟国との連携を深めるものです。この動きは、現在の抑止力を強化するだけでなく、今後40年間、三沢基地がインド太平洋の先端において、前線で即応性のある近代的な部隊として、どのような存在であり続けるかを示すものです。」と述べている。
また、F-16のデモチームの解散により、再び太平洋空軍からデモチームが無くなることになるが、後継として新たにF-35を用いたデモチームが編成される可能性があり、次世代航空機の展示・広報活動にバトンタッチされると見られている。