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ウクライナ軍スナイパーがAIとドローンの支援で4000mの狙撃を成功させる

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ウクライナの発表によると、ウクライナ軍の狙撃兵が4,000mという驚異的な距離からロシア兵2人を射殺するという、未だ非公式ながらも狙撃成功距離の世界記録を樹立した。ウクライナ兵がロシア軍との戦闘中にこの種の記録を更新するのは今回で二度目となる。

4,000 Meters: Ukrainian Sniper Sets New World-Record Kill Using AI and Drones, Video

ウクライナメディアのUnited24は8月15日、ウクライナ軍の狙撃兵が4000mの距離から狙撃を行い、ロシア兵2人を殺害したことを報じた。この偉業は8月14日に達成され、ウクライナ製の対物ライフル「アリゲーター」が使用された。特筆すべきは、標的までの照準と観測データが、ドローンと連携して動作するAIによって支援された点である。標的は建物内にいたにもかかわらず、弾丸はガラス窓を通過し、2人の標的を殺害した。報道によれば弾丸は一発であったため、一発で2人を同時に殺害した可能性が高いとみられている。

この歴史的な狙撃は、ウクライナのポクロフスク—ミルノホラード防衛線で行われた。射手はウクライナ陸軍の狙撃部隊「Pryvyd(Ghost/ゴースト)」に所属する狙撃兵である。「Pryvyd」は8つの狙撃チームから構成されており、年間で約1,000名のロシア兵を排除した実績を持つとされる、精鋭部隊である。

©Snipex

使用されたライフルは、ウクライナの対物ライフル専門メーカー「Snipex」が開発製造する「Alligator(アリゲーター)」である。この銃は14.5x114mm口径のマガジン供給型ライフルで、5発装填可能なカートリッジを使用する。重量は22.5kg、全長2000mm、バレル長1200mmと、その名の通り巨大である。開発元は標準的な有効射程を約2000mとしているが、実戦では3.5〜7kmの射撃にも使用されている実績がある。14.5mmという大口径は、装甲車の装甲を貫通するほどの威力を持つため、車両やヘリコプターを迎撃するのにも利用される。4000mという距離であっても、人間に命中すればひとたまりもない破壊力を持つ。

しかし、4000mという狙撃は、人間の能力の限界をはるかに超えるものである。狙撃は通常、狙撃手(スナイパー)と観測員(スポッター)のツーマンセルで行われる。スポッターがフィールドスコープ、レーザー距離計、風速計、またはそれらが一体となった光学機器を用いて標的を観測し、標的までの距離や角度、風、天候、その他懸念事項などあらゆる状況を綿密に観測する。それを基にスナイパーは狙撃を行うが、距離が長くなればなるほど、空気抵抗、コリオリの力、弾道の落下など、計算は極めて複雑になる。しかし、今回の狙撃では、空中ドローンが標的位置の正確な把握を支援し、AIが弾道計算や風速補正などをリアルタイムで支援したとされている。これにより、まさに「人間の限界を超える狙撃」が実現可能になったと言える。

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ウクライナ軍スナイパーが狙撃の世界記録を塗り替えるのは、今回の戦争では2度目となる。ウクライナ兵がこの記録を更新するまでの世界記録は、2017年5月にイラクにてカナダ軍特殊作戦司令部傘下の特殊部隊JTF-2所属のスナイパーが記録した3,540mであった。その後、2023年11月には、ウクライナ保安庁(SBU)のスナイパーがこれを上回る3800mの狙撃に成功した。その際に使用されたライフルは、ウクライナのMAYAK兵器工場が開発した国産の「Lord of the horizon rifle」であった。このライフルは、ボルトアクション式の対物ライフルで、単発と8発装填のマガジンタイプの2種類があり、単発の場合の重量は15.5kg、マガジンタイプは17kgである。弾薬はNATO標準の12.7×99mmとロシア規格の14.5x114mmも使用できるが、最も精度と最大射程を発揮するのは特殊な12.7x114HL(HLはLord of the horizonの略)弾とされ、弾丸は2,700mに渡って超音速を持続するという。メーカー発表の最大有効射程は3,100mだが、達成した記録は、それを700mも更新している形となる。

そして今回、同じウクライナ兵がその記録をさらに200mも塗り替えた。これにより、ウクライナ兵が狙撃世界記録のトップ2を占めることになった。しかしながら、現在進行中の戦争中という特殊な状況もあり、これらの記録はまだ精査されておらず、あくまで暫定的なものであり、公認記録にはなっていない。今後の検証と公認が待たれるところである。

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