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ウクライナの新型巡航ミサイル「Flamingo(フラミンゴ)」

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SNS より

2025年8月17日、ウクライナは画期的な新型巡航ミサイル「Flamingo(フラミンゴ)」を公開しました。最大3000kmという驚異的な射程距離を持つこのミサイルは、ロシア領内奥深くへの攻撃を可能にし、ウクライナの防衛戦略に大きな転換点をもたらすと期待されています。生産体制が整えば、ウクライナは西側諸国からの兵器供給に依存することなく、自国のミサイルによる越境攻撃能力を確立できることになります。

国産長距離巡航ミサイル「Flamingo」

「フラミンゴ」を開発したのは、ウクライナの新興防衛企業であるファイアポイント社です。2022年のロシアによる全面侵攻を受けて、同社は「フラミンゴ」の開発に着手しました。現在、ファイアポイント社は国際的なマーケティングキャンペーンを展開し、年末までに生産量を大幅に増加させる計画を発表しています。この兵器が量産されれば、ウクライナ軍の戦略は劇的に変化し、ロシア・ウクライナ戦争の構図にも大きな影響を与えるでしょう。ロシア領内の軍事拠点や兵器産業施設は、新たな脅威への対応を迫られることになります。

スペック

フラミンゴは、全長12〜14m、翼幅約6m、打ち上げ重量6トンという大型の巡航ミサイルです。弾頭部分だけで1150kgもの重量を持ちます。巡航速度は亜音速の900km/h(最大950km/h)、最大飛行時間は4時間で、これにより最大3000kmの射程を実現しています。誘導システムには、慣性バックアップ付きの対電子戦対応GPS/GNSSを採用しており、高い精度と信頼性を誇ります。

フラミンゴの最大の特徴は、その圧倒的な射程距離です。これまでのウクライナ軍の国産巡航ミサイル「ネプチューン」の射程は最大360km、米国供与の弾道ミサイル「ATACMS」は300km、英仏供与の空中発射型巡航ミサイル「ストームシャドウ/SCALP」でも560kmに留まっていました。フラミンゴは、これらのミサイルを大きく上回る3000kmの射程を誇り、ロシア領内奥深くへの攻撃を可能にします。これはロシア軍にとって、戦略的対応の再構築を迫る大きな課題となるでしょう。さらに、国産兵器であるため、西側諸国からの攻撃制限を受けることなく運用できる点も大きなメリットです。

これまでウクライナの長距離攻撃は、主に無人機やドローンに頼っていました。しかし、無人機は低速で撃墜率が高く、軽量化と飛距離確保のために弾頭重量が厳しく制限され、破壊力も限定的でした。対照的に、フラミンゴは重量6トン、弾頭重量1150kgと、その破壊力は絶大です。トマホークミサイルやストームシャドウに搭載されている弾頭の約2倍の威力を持つとされています。

この飛距離と威力は、ミサイルの大型化によって、より多くの燃料と弾頭を搭載可能にしました。そして、それを成功させたのがターボファンエンジンであり、長時間巡航に適しており、射程を最大限に活かすことができます。また、複雑なハイテク設計を避けることで、製造コストと時間の削減に貢献しています。背面エンジン配置と固定翼により冷却設計も簡素化されています。大型化によるレーダー感知リスクは増加したものの、コスト効率と実用性が重視されています。誘導方式に複雑な電子シーカーを搭載していないのも、コストを重視した設計思想の表れです。

ファイアポイント社によると、現在のフラミンゴの生産量は1日1発、月産約30発です。同社は年末までに生産量を7倍に増やし、年間2,500発以上のフラミンゴを生産することを目指しています。

フラミンゴを開発したファイアポイント社は、ロシアによる侵攻後に、ゲームデザインや建築など軍事以外の分野出身の友人グループによって設立されたスタートアップ企業です。しかし、フラミンゴの開発には、アラブ首長国連邦(UAE)を拠点とする防衛企業ミラニオン・グループの関与が噂されています。これは、フラミンゴがミラニオンが開発している「FP-5 ミサイル」と非常によく似ているためです。ミラニオンはウクライナとロシアによる侵攻前から関係を築いており、2021年にはウクライナの「Ukrainian Armor」と合意書を結び、同社製のAGEMA UGVがウクライナ軍(Kraken特殊部隊)で運用されている実績もあります。両社は関与について否定も肯定もしていませんが、フラミンゴ開発の参考としてFP-5が参照された可能性は十分にあると考えられています。

これまでウクライナは、ほぼ一方的にロシアによる長距離ミサイル攻撃を受けてきました。しかし、フラミンゴが量産化されれば、このパワーバランスは大きく崩れる可能性があります。ウクライナが自国の領土からロシア領内深くへの攻撃能力を獲得することは、戦争の様相を大きく変え、停戦交渉や将来の平和への道筋にも影響を与える重要な要素となるでしょう。

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