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シーベル社、武装型無人ヘリCAMCOPTER S-101とS-301を発表

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© 1997 – 2025 Schiebel Corporation

オーストリアの無人機メーカーであるSchiebel社は、ロンドンで開催された防衛展示会DSEI 2025において、革新的な武装型無人ヘリコプターCAMCOPTER S-101とS-301を発表し、現代の軍事作戦における無人システムの可能性を大きく広げました。これらの次世代型無人ヘリコプターシステムは、兵器搭載に特化した洗練された設計が施されており、進化し続ける軍事ニーズに高次元で応えるために開発されました。

今回の発表されたS-101とS-301は、Schiebel社がこれまで培ってきた実績ある無人ヘリコプターCAMCOPTER S-100の技術を基盤としています。S-100はティルトなしのヘリコプター型無人機として、すでに世界各国でその性能が実証されています。S-101とS-301は、このS-100の信頼性を引き継ぎつつ、戦術UAS(無人航空機システム)の概念を革新し、精密攻撃能力の新時代を切り開くものです。

これらの新型無人ヘリコプターは、従来のISR(情報監視諜報)能力に加え、精密な対地攻撃能力(軽量ロケットやLMMなど)を付与された戦術プラットフォームとして設計されています。軍用レベルのシステム統合、高度な組み込みAI、そして堅牢なアーキテクチャを備えることで、マルチドメイン環境における最も要求の厳しい防衛ミッションにも対応可能です。さらに、両システムは電磁環境での耐障害性を確保するように設計されており、最も困難な条件下でも高い運用効率を保証します。これは、現代戦において重要性が増している電子戦環境下での作戦遂行能力を最大限に高めるための重要な要素です。

SCHIEBEL UNVEILS NEXT-GENERATION UAS:THE CAMCOPTER® S-101 AND S-301

CAMCOPTER S-101

© 1997 – 2025 Schiebel Corporation

CAMCOPTER S-101は、最大離陸重量約200kgの比較的小型な機体ながら、左右のハードポイントにそれぞれ最大約15kg、合計約30kgの武装を搭載できます。特に、軽量多目的ミサイル「Martlet」を左右に各1発、計2発搭載可能であり、沿岸地域や近接陸上における即応打撃任務や監視任務に特化しています。S-101は、特に耐電磁妨害性(contested EM environments)を重視して設計されており、敵による電子妨害下でも任務を遂行できる高い信頼性を持っています。

CAMCOPTER S-301

© 1997 – 2025 Schiebel Corporation

CAMCOPTER S-301は、最大離陸重量約660kgとS-101よりも大幅に大型化されたモデルです。ペイロードは左右それぞれ最大約80kgとS-101の約5倍に増強されており、これにより最大8発のMartletミサイル、または70mmロケットを最大10発程度搭載可能と報じられています。この高い搭載能力により、より広範囲かつ強力な火力支援を提供することができます。航続滞空時間は、搭載荷重と燃料の組み合わせによって可変しますが、例えば50kg搭載時で最大24時間、250kg搭載時でも約6時間の滞空が可能とされており、長時間の任務遂行能力を有しています。

CAMCOPTER S-100

S-101とS-301のベースとなっているCAMCOPTER S-100は、すでに複数の国の軍で運用実績がある信頼性の高い無人ヘリコプターです。全長約3m、ローター幅約3.4m、高さ1m強のコンパクトな機体で、最大離陸重量は約200kg、ペイロードは最大約50kg(ただし武装搭載は不可)となっています。

S-100の標準的な航続時間は34kgの積載で6時間ですが、外部燃料タンクを追加することでさらに10時間の延長が可能であり、合計16時間の長時間飛行を実現します。作戦半径は最大で約200kmに及び、巡航速度は約102km/h、最高速度は185~240km/hに達します。上昇限度は約5,500m(18,000ft)であり、高高度からの監視や偵察が可能です。エンジンには55hp(約41kW)クラスの小型エンジンを搭載し、効率的な飛行を可能にしています。

S-100は昼夜を問わず悪天候下でも運用可能な設計となっており、海上艦艇上での自動着艦に対応するための着艦補助装置も備えています。さらに、-40℃から+55℃程度の幅広い気温下での運用耐性を有しており、極めて多様な環境下での任務遂行を可能にします。

センサー類に関しても高い汎用性を持っており、EO/IR(光学・赤外)ターゲティングポッド、合成開口レーダー(SAR)モジュール、通信中継、信号インテリジェンス(SIGINT)装置、ソノブイ投下機構など、多様なミッションに対応するセンサーを搭載することができます。これにより、情報収集、偵察、監視、目標特定といった幅広い任務を効果的に遂行することが可能です。

Schiebelグループのハンス・ゲオルク・シーベル会長は、「世界の安全保障環境は急速に変化しており、武装した無人プラットフォームやシステムに対する需要が大幅に増加しています」と述べ、この市場の動向に対応するSchiebel社の戦略を示しました。「Schiebel Defence GmbHの設立により、私たちはこの要求に直接対応できる体制を整えています。兵器化されたCAMCOPTER ® S-101およびS-301プラットフォームの発売は、現代の作戦の課題に対応する、高度で信頼性が高く、任務に対応できる武装システムを軍隊に提供するという我々のコミットメントを反映している」と付け加え、新製品が軍事作戦における重要な役割を果たすことへの期待感を表明しました。

今回のCAMCOPTER S-101とS-301の発表は、無人航空機が情報収集や偵察だけでなく、直接的な火力支援能力を持つ「武器プラットフォーム」として進化していることを明確に示しています。これは、将来の軍事作戦における無人システムの役割を大きく変える可能性を秘めており、各国軍の戦術や装備体系に大きな影響を与えることが予想されます。Schiebel社のこれらの新型無人ヘリコプターは、現代の防衛ニーズに応えるための画期的なソリューションとして、その動向が注目されます。

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