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米国内に訓練用のカタール空軍施設建設承認で波紋!ヘグセス長官が釈明

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DoD US

10月10日、アメリカのヘグセス戦争長官とカタール国防相は、アイダホ州マウンテンホーム空軍基地にカタール空軍のパイロット訓練施設を建設することで最終合意に至ったと発表しました。この合意は、カタールがアメリカから調達している最新鋭のF-15QA戦闘機用の訓練施設を米国内に設置し、カタール人パイロットの操縦訓練および米空軍との共同訓練を通じて、両国間の軍事関係強化と作戦能力向上を図ることを目的としています。しかし、この発表はトランプ政権の強固な支持基盤である「MAGA派」からの強い反発を招き、ヘグセス長官が弁明に追われる事態となりました。

詳細な合意内容と狙い

CBCニュースの報道によれば、ヘグセス戦争長官は10日金曜日、アイダホ州マウンテンホーム空軍基地にカタール空軍の訓練施設を建設することを許可する最終合意を発表しました。長官は「今日、アイダホ州マウンテンホーム空軍基地にカタール首長国空軍施設を建設する受諾書に署名できることを誇りに思う。この場所にカタールのF-15戦闘機とパイロットの派遣団が駐留し、合同訓練の強化、戦闘力の向上、相互運用性の向上を図る予定です。これはまさに私たちのパートナーシップのもう一つの例です。皆さん、私たちを頼りにしていただけることをご理解いただければ幸いです」と述べ、両国の協力関係の重要性を強調しました。

Hegseth announces Qatar will build air force facility at U.S. base in Idaho

今回建設に合意した施設は、F-15Eストライクイーグルをベースに最新のアビオニクスを搭載し、F-15シリーズの最新モデルであるF-15EXと同等の性能を持つカタール空軍用に開発されたF-15QA戦闘機(36機調達予定)の訓練に特化しています。カタール人パイロットがこの施設に駐留し、最新鋭機の操縦技術を習得するとともに、米空軍との共同訓練を通じて作戦遂行能力を向上させる狙いがあります。

MAGA派からの猛反発

同盟国の軍隊が訓練のために米国内に駐留することは珍しくありませんが、今回のケースでは「専用施設の建設」と「イスラム教国家であるカタール」という二つの要素が、トランプ政権の支持基盤であるMAGAの超党派からの強い反対意見を引き起こしました。

トランプ大統領の熱烈な支持者として知られるインフルエンサー、ローラ・ルーマー氏は、カタール軍の施設建設と防衛関係強化を激しく非難。「いかなる外国も、特にイスラム教国は、アメリカ領土に軍事基地を置くべきではない。共和党が、カタールのイスラム教徒にテロ資金を提供し、米国人を殺害できるように米国内に軍事基地を与えるとは思ってもみなかった」と述べ、来年の中間選挙では投票しない可能性を示唆しました。また、トランプ氏の元側近スティーブ・バノン氏も「外国勢力が神聖なアメリカの領土に軍事基地を設置することは決して許されるべきではない」と述べ、影響力のある著名な保守派の著名人たちが次々と反対の声を上げ、波紋が広がりました。

国防総省とカタール大使館の釈明

これらの批判に対し、ヘグセス長官はその日の内にSNSを通じて弁明に努めました。「アメリカ軍はカタールと長年にわたるパートナーシップを築いており、今日発表されたF-15QA航空機との協力も含まれています。ただし、明確にしておくと、カタールは米国に独自の基地を持つことはありませんし、基地のようなものも持ちません。私たちはすべてのパートナーと同様に、既存の基地を管理しています」と述べ、専用施設が「カタール独自の軍事基地」ではないことを強調し、火消しを図りました。カタール大使館報道官も同様に、アイダホ州の施設はカタールの空軍基地ではないと述べ、誤解の解消に努めました。

国防総省の説明によれば、施設の建設費はカタール政府が拠出しますが、基地自体は米軍の管轄下にあり、カタールが「米国内に独立した主権基地を所有する」ものではないと明言されています。しかし、細かい資金負担や運用経費の分担、運用期間などの正式契約全文が公開されていないことから、一部メディアやコラムニストは、この合意が「十分な公衆的議論や説明なしに」発表されたことを問題視しており、透明性の確保を求める声も上がっています。

政治的背景と複雑な関係性

というのも、今回の合意には、複数の政治的要因が絡んでいるのではと囁かれています。まず、トランプ大統領がカタールから大統領専用機として4億ドルのボーイング747-8を受け入れる予定であることが、外国からの「賄賂や利益供与」の懸念として、民主党だけでなく共和党の一部からも批判の対象となっています。このような状況下での新たな防衛協力は、さらに疑惑の目を向けられやすい側面がありました。

また、カタールはアメリカにとって中東における重要な同盟国であり、ドーハ近郊のアル・ウデイド空軍基地は中東最大の米空軍基地で、米中央軍(CENTCOM)の拠点でもあります。しかし、9月下旬にイスラエル軍の戦闘機がカタール領空に侵入し、ドーハ近郊で空爆を行いハマス幹部を暗殺するという出来事が発生します。トランプ政権は事前にイスラエルから報告を受けていたとされ、駐留米軍もイスラエル軍機を検知しながらも見逃したとされ、同盟関係に亀裂が生じかねない事態となっていました。カタールはハマスの支援国であり、今回トランプ大統領が仲介したイスラエル・ハマスの停戦協議にもカタールの協力があったとされており、複雑な中東情勢の中でカタールの存在はアメリカにとって極めて重要であると同時に、デリケートな側面も持ち合わせています。

今回の訓練施設建設合意は、中東地域におけるアメリカの戦略的利益と国内政治、そして同盟国との複雑な関係性が交錯する、多角的な議論を巻き起こす結果となりました。今後の詳細な情報公開と動向が注目されます。

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