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黒海艦隊への新たな打撃!水中ドローンによるキロ級潜水艦攻撃の衝撃

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ukraine SBU

2025年12月、ロシア海軍にとって戦略的に重要な拠点である黒海東沿岸のノヴォロシースク海軍基地において、ロシア黒海艦隊が保有するキロ級ディーゼル潜水艦がウクライナ軍による攻撃を受けたという衝撃的な発表がなされた。ウクライナ側は、この攻撃が独自開発の水中無人機(水中ドローン)によって実行され、潜水艦を「戦闘不能」に追い込んだと主張している。この主張が事実であれば、軍事史において史上初の水中無人機による潜水艦攻撃成功例として記録される可能性があり、今後の海戦における新たな脅威の出現を意味する。一方、ロシア側は潜水艦の損害を全面的に否定しており、情報は錯綜し、激しい情報戦の様相を呈している。

「Sub Sea Baby」による隠密攻撃

ウクライナ保安庁(SBU)は、攻撃の詳細について具体的な発表を行った。それによると、SBUは独自に開発した水中ドローン「サブ・シーベイビー(Sub Sea Baby)」を用いてノヴォロシースク海軍基地の厳重な警戒網を潜り抜け、停泊中のロシア潜水艦への攻撃に成功したとしている。攻撃対象とされたのは、黒海艦隊の中核戦力である改良型のキロ級(プロジェクト636.3型)潜水艦で、SBUは「作戦行動が不可能な状態に追い込んだ」とその戦果を強調した。

「サブ・シーベイビー」という名称は、ウクライナ軍がこれまで多用してきた自爆無人水上艇「シーベイビー」の潜水型バージョンであることを示唆している。しかし、その具体的な技術仕様は機密性が高く、ほとんど公開されていない。オリジナルである水上艇型のシーベイビーは、1,000km以上の航続距離と850kg以上の弾頭を搭載可能とされる高性能を有しており、水中型のサブ・シーベイビーもこれに匹敵、あるいはそれを上回る性能を持つと推測される。水上を航行するシーベイビーと比べ、水中を移動するサブ・シーベイビーはレーダーや目視による発見が極めて困難であり、その隠密性の高さから、今後、より深刻な脅威としてロシア海軍に立ちはだかることになる。

このウクライナ側の主張に対し、ロシア国防当局および黒海艦隊は即座に反応し、「基地や艦艇に被害はなく、潜水艦は通常任務を継続している」と発表して、ウクライナの主張を真っ向から否定した。現時点では、第三者による独立した立場の損害確認が困難であるため、実際に潜水艦がどの程度の被害を受けたのかは不明である。しかし、ウクライナ保安庁は攻撃が発生した際のノヴォロシスク港の映像を公開しており、映像にはキロ級潜水艦が停泊する区域で大規模な爆発が発生したことが明確に記録されている。映像を分析する限り、爆発は潜水艦の船体後部、特に推進機関や舵などの重要な部分に近い位置で起きたように見える。この規模の爆発によって、潜水艦が無傷であるとは考えられず、仮に艦体が沈没を免れたとしても、喫緊の戦闘任務への復帰は不可能な状態に陥ったと推測するのが自然である。

黒海艦隊のキロ級潜水艦

ウクライナ、ロシア海軍の改キロ級潜水艦の撃沈を発表
改キロ級潜水艦(mod russia)

攻撃対象となったKilo級潜水艦は、ロシア海軍を代表する傑作ディーゼル電気推進型潜水艦であり、「ブラックホール」と渾名されるほどの高い静粛性を誇る。また、長距離巡航ミサイル「カリブル」を搭載・発射できる能力を持つことから、ウクライナ侵攻開始以降、黒海艦隊にとってウクライナ本土へのミサイル攻撃を行う上での最も重要な戦略資産として位置づけられてきた。黒海艦隊が保有するキロ級潜水艦は、オリジナルのキロ級(Project 877)1隻と、大幅に改良された改キロ級(Project 636.3)6隻の計7隻である。このうち、オリジナルの1隻は老朽化により試験艦としての運用に留まっているとされる。さらに、改キロ級のうち2隻は、ウクライナ侵攻前に黒海域外に展開しており、トルコによるボスポラス海峡の通航制限措置により黒海に戻ることができず、事実上、黒海艦隊の即応可能な潜水艦戦力は4隻にまで減少していた。

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ウクライナ海軍は、長らくロシアの潜水艦に対抗できるような潜水艦戦力や、効果的な対潜水艦兵器を持ち合わせていなかった。しかし、2023年9月12日、セヴァストポリのドックで修理中だった改キロ級潜水艦B-237「ロストフ・ナ・ドヌ」に対しミサイル攻撃を成功させ、重大な損害を与えた。さらにウクライナ側は、2024年8月には修理を終えた同艦に対し再度攻撃を行い、最終的に沈没させたとも主張している(ロシア側は否定)。今回のノヴォロシースクでの攻撃成功が事実であれば、キロ級潜水艦としては少なくとも2隻目の重大損害となり、黒海艦隊が作戦運用可能な潜水艦戦力は、わずか2隻にまで半減したことになる。攻撃を受けた具体的な艦名は、現時点では明らかにされていない。

黒海艦隊は、ウクライナ軍による巡航ミサイルや自爆無人水上艇(USV)による攻撃で水上艦艇の損失が増大した結果、2024年頃に司令部と主要艦艇の拠点であったクリミア半島のセヴァストポリ港を事実上放棄。より東方に位置し、相対的に安全性が高いと見られていたノヴォロシースクに艦隊の主要部分を避難させていた。この避難措置の結果、最近では黒海艦隊の活動は縮小し、しばらく大規模な損害報告も途絶えていた。そのため、今回のキロ級潜水艦への水中ドローン攻撃は、ウクライナ軍にとって約1年ぶりとなる、ロシア艦隊の中核戦力に対する極めて重要な戦果となる。これは、ウクライナ軍がロシア海軍の「聖域」にまで攻撃能力を拡大していることを示す、深刻な警告と言える。

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