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ラトビア発「BLAZE」迎撃ドローン、NATOで採用拡大へ

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©Origin Robotics

欧州の防空システムは、従来のミサイルや対空砲では対応困難な「新しい脅威の波」に直面しています。この脅威の中心は、ロシア・ウクライナ戦争で主力攻撃プラットフォームへと進化した、大量投入される自爆無人航空機(UAV)・ドローンです。低コストで調達・改造が容易なドローンは、単発の破壊力こそミサイルに劣るものの、「数の力」と「持続的な攻撃能力」により、防空側のリソースを組織的に消耗させます。戦場のみならず、重要インフラ上空などでも現実的な脅威となり、欧州の安全保障上に重大な空白を生み出しています。

このドローン脅威への対処において最も深刻なのが、「コストの非対称性」です。

攻撃側のコスト防空側のコスト
自爆ドローンは極めて安価(消耗品)迎撃ミサイルは高価(短距離SAMでも数千万円規模)

安価なドローンを迎撃するために高価なミサイルを使用することは、費用対効果の面で「極めて非合理」です。このアンバランスを是正し、経済的な合理性を持たせるために開発されたのが、ラトビアのOrigin Robotics社による自律型迎撃ドローン「BLAZE(ブレイズ)」です。CEOは、BLAZEの価格が「迎撃対象としているドローンの脅威の少なくとも10分の1以下」であると述べています。

自律型迎撃ドローン「 BLAZE」

BLAZEは単なる対ドローン装備ではなく、「防空の思想」そのものを変革する存在として設計されたインターセプターUAS(迎撃用無人機)です。

最大の革新:AIを活用した自律的な迎撃能力

  • 人間とAIの協調(Human-in-the-loop):発射指令と最終的な交戦判断は人間が行いますが(Human-in-the-loop)、目標の検出、追尾、迎撃ルートの最適化といった手前のプロセスはAIにより自動化されています。
  • 即応性の向上:この自律化により、従来のシステムで必要だった人間の認知・判断・操作の時間(反応時間)が大幅に短縮され、特に低速・低空で不規則に飛行する小型目標への即応性が飛躍的に向上します。

BLAZEの主な技術的特徴と役割

特徴詳細役割
用途敵ドローン、徘徊型弾薬、小型UAVの迎撃従来の高価なミサイルでは非効率な目標に特化。
誘導方式AIによる自律追尾(コンピュータビジョン中心)複雑な飛行経路や妨害環境下での確実な目標追尾。
迎撃方式破片効果を持つ弾頭による撃破直撃または近接信管による爆発で無力化。
対応目標速度最大約220km/h級低速から中速のドローン・徘徊弾薬を想定。
滞空時間/レンジ約20分前後 / 10~20km程度が示唆短距離防空(VSHORAD)の役割、即応性の高い局地防空に最適化。

BLAZEは、「高価な防空ミサイルの代替」ではなく、「対空砲や電子戦と、ミサイル防空の間にある空白」を埋める新たな「防空の層」として設計されています。これにより、低高度・短距離で侵入する小型目標に対し、即応性とコスト効率を両立した撃墜能力を提供します。

採用国

BLAZEを導入したラトビア(開発国)、エストニア、ベルギーは、欧州の防空課題を象徴しています。

採用国採用の背景と意味合い
ラトビア・エストニア対ロ警戒の最前線であるバルト三国。ドローン脅威への危機感が極めて強く、迅速な導入を決定。「東欧・バルトの特殊事情」の側面が強い。
ベルギー西欧諸国からの導入は象徴的。軍事基地周辺でのドローン侵入が問題化しており、即応の迎撃手段が急務。地理的な最前線に留まらない、NATO全体の課題であることを示す。

この事実は、BLAZEがもはや「東欧・バルトの特殊事情」ではなく、NATO全体のドローン防空戦略が「無人化」の方向へ再定義されていることを示唆しています。

BLAZEの配備は、「防空の無人化」への不可避的な第一歩です。数で押し寄せる小型ドローン群への対応には、AIによる自律的な目標追尾と無人迎撃手段が必須となります。今後の最大の論点は、性能よりも「どれだけ低コストで大量に配備できるか」という経済合理性の問題です。ドローン側の「数」に対抗するには、迎撃側も「数」で対抗できなければ、再びコストの非対称性に陥ります。また、迎撃ドローンの数が劇的に増えることで、友軍機や民間航空機との空域管理(De-confliction)が複雑化します。BLAZEがジオフェンスや自己破壊機構などの安全機能を重視しているのは、この将来的な空域管理の難しさを見越した設計です。BLAZEは、複数機による協調迎撃や、既存システムとの高度な統合へと進化し、欧州防空の新しい「低高度・短距離」の層を確固として形成しつつあります。

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