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「4機に1機しか戦えない」F-35戦闘機の稼働率が25%に急落、空自導入の主力機に何が起きているのか?米GAOが最新報告

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USMC

アメリカ軍の看板戦力であり、西側航空戦力の中核を担うF-35統合打撃戦闘機が深刻な稼働率低下に直面している。米国議会監査局(GAO)が2026年6月に公表した最新報告書によると、F-35の「フルミッション可能率(Full Mission Capable Rate:FMC)」は2025会計年度に25%まで低下した。2021年度の38%から大幅に悪化しており、4機に1機しか全ての任務を遂行できる状態にないことになる。

F-35 Sustainment:
Actions Needed to Ensure Updated Strategy Improves Persistent Readiness Challenges

一方で、少なくとも1つの任務を遂行できる状態を示す「ミッション可能率(Mission Capable Rate:MC)」も67%から44%へ低下した。GAOはF-35について「性能目標を達成できておらず、維持費は増加し続けている」と指摘している。

問題は戦闘能力ではなく「維持能力」

F-35の稼働率低下をもって「失敗」と結論づけるのは早計だ。今回の数字はF-35の戦闘性能が低下したことを意味しているわけではない。 ここで重要なのは、「25%しか飛べない」という意味ではないということだ。F-35には以下の指標がある。

  • ミッション可能率(MC): 少なくとも1つの任務を遂行可能
  • フルミッション可能率(FMC): 全ての任務を遂行可能

GAOの数字は後者である。つまり、対空戦闘、対地攻撃、電子戦支援、情報収集など、F-35に求められる全能力を完全発揮できる状態の機体が25%しかないという意味だ。さらに、この数値はバリアント(派生型)によって大きな偏りがある。航空自衛隊の主力戦闘機でもある空軍型の「F-35A」は、すべての任務をこなせるFMC率こそ28.5%と3タイプの中で最高だが、MC率は38.6%と他タイプに比べて著しく低い。新造機を大量に受け入れたものの、ソフトウェアの不具合により初期の作戦能力すら満たせない機体が滞留したためだ。 一方、空自も導入を進め、護衛艦「いずも」「かが」への搭載が予定されている海兵隊型の「F-35B」は、MC率こそ54%〜64%を維持しているものの、全任務をこなせるFMC率は約15%と壊滅的な数字を記録している。 

問題の本質は、世界最高水準の能力を持つ機体を十分な数だけ常時運用可能な状態に維持できていないことにある。GAOや米軍関係者が指摘する主な原因は以下の通りだ。

  • 慢性的なスペアパーツ不足
  • TR-3およびBlock 4近代化改修に伴うソフトウェア遅延
  • ステルス機特有の整備負担増大
  • 機体数増加に対し整備インフラが追いついていないこと
  • 一部機体で発生した腐食問題

GAOは、米軍がプログラムの初期段階において「機体を早く大量に調達すること」を最優先し、それを維持するための整備拠点(デポ)の構築や修理能力の確保といった「サステインメント(維持・補給)」への投資を後回しにしてきた構造的な大失敗を強く批判している。 ロッキード・マーティン社の調査では、キャノピー(風防)など、サプライチェーンの脆弱性によりメーカー側が十分な数を生産できない特定のパーツが現在も48個存在することが判明している。特に2025年度については、新造機であってもソフトウェア未完成のため即応状態に入れないケースが多発した。 

中国との対決を前に浮上した懸念

この問題が安全保障上で重要視される理由は、F-35が単なる戦闘機ではないからだ。F-35は米空軍、米海軍、米海兵隊だけでなく、日本、英国、イタリア、オーストラリア、ノルウェーなど多くの同盟国が運用する西側陣営の主力戦闘機である。特にインド太平洋地域で中国軍との大規模紛争が発生した場合、長期間にわたる高強度作戦が予想される。平時で稼働率が低迷している状況では、有事において必要な出撃回数を維持できるのかという疑問が生じる。

実際、GAOは部品供給能力や産業基盤の制約が今後もF-35運用を脅かす可能性があると警告している。米国防総省とF-35統合プログラムオフィス(JPO)はこの惨状をひっくり返すため、「GSSリセット(Global Support Solution Reset)」と呼ばれる新たな戦略を始動。2031年までに総額137億ドルを追加投入し、「2030年までにMC率80%、FMC率65%」への回復を目指す計画を進めている。ただし、追加予算の多くは、これまで各軍が維持費をケチってきたことによる「過去のツケの穴埋め」に消えるとの指摘もある。 

ロシアや中国より深刻なのか

結論から言えば、「問題は深刻だが、それでもロシアや中国より劣勢と断定する根拠にはならない」。ロシア軍は航空機の実際の稼働率をほとんど公表していない。さらにウクライナ戦争の長期化によって部品調達や整備能力に大きな負荷がかかっているとみられる。中国空軍についてもJ-20戦闘機の配備は進んでいるが、実際の稼働率や整備実績は公開されていない。むしろ今回のF-35問題が明るみに出た背景には、GAOという独立監査機関が存在し、議会が問題を追及できる米国特有の透明性がある。ロシアや中国では同様の問題が発生していても外部から把握することは困難だ。

「F-35の危機」は西側航空戦力の試金石

今回のGAO報告は、F-35の戦闘能力そのものではなく、西側諸国が高度な第5世代戦闘機を大量運用する難しさを浮き彫りにした。ステルス性能、高性能センサー、ネットワーク戦能力を備えるF-35は依然として世界有数の戦闘機である。しかし、その能力を実戦で発揮するためには、部品供給網、整備員、ソフトウェア更新、後方支援体制のすべてが機能しなければならない。米軍が直面しているのは「最強戦闘機をどう維持するか」という新たな課題だ。そしてその答えは、将来の対中国戦略の成否を左右する可能性がある。

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