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    なぜボーイングが第6世代戦闘機を連続獲得? F-47に続き米海軍F/A-XXも選定、勢力図が激変

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    ©Boeing

    米国の次世代戦闘機開発で、航空機メーカーの勢力図が大きく動いた。米海軍は2026年9月29日、次世代艦上戦闘機「F/A-XX」の開発企業にボーイングを選んだ。契約額は200億ドル超で、F/A-18E/FスーパーホーネットとEA-18Gグラウラーを将来置き換える機体の本格開発段階が対象だ。開発では複数の試験機を製造し、地上試験、耐空性評価、システム・兵器統合試験を行う。配備開始は2030年代の見通しである。

    参考・引用:Department of War and U.S. Navy Award Contract for F/A-XX Program

    ボーイングは2025年3月に米空軍の第6世代戦闘機F-47の契約も獲得している。米軍の主要な有人第6世代戦闘機計画は、次の構図になった。

    • 米空軍:F-47 → ボーイング
    • 米海軍:F/A-XX → ボーイング

    第5世代ではF-22とF-35でロッキード・マーティンが圧倒的な存在感を示した。第6世代では、ボーイングが空軍と海軍の双方で主導権を握ることになる。

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    最終競争はボーイング対ノースロップ

    競合したのはノースロップ・グラマンで、ロッキード・マーティンは2025年3月の絞り込みの段階で脱落している。ノースロップは空軍のB-21レイダーの開発企業でもあり、今回は有人戦闘機分野への足がかりを逃した形だ。受注発表を受け、市場も反応した。翌日の取引開始前、ボーイング株は3.1%上昇し、ノースロップ株は3.5%下落した。なお、今回の契約は量産を含まず、海軍も調達数を明らかにしていない。機体の技術的詳細も機密のままだ。2030年代の戦力化に向けては、量産契約という次の関門が残っている。

    勝因は「艦上機の実績」と「製造能力」

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    US Navy

    最大の理由として考えられるのは、ボーイングが艦上戦闘機で積み上げてきた経験だ。F/A-18から現行のスーパーホーネットまで、同社は数十年にわたり海軍の主力機を手掛けてきた。F/A-XXはそのスーパーホーネットの後継であり、F/A-18→F/A-18E/F→F/A-XXという技術と生産基盤の継承が可能になる。アナリストの見方もこれを裏づける。海軍は、ボーイングの製造能力と量産への対応力を重く見たのではないかとの指摘が出ている。ボーイングはここ数年、セントルイスの施設とデジタルエンジニアリング能力に多額の投資を続けてきた。

    F-47の開発経験も追い風になった可能性が高い。F-47(空軍の制空戦闘機)とF/A-XX(海軍の艦上戦闘機)は求められる性能も運用環境も異なる。ただ、高度なステルス性、長い作戦半径、センサーとネットワーク、無人機との連携といった基盤技術は共通する。航空専門家のJ.J.ガートラー氏は、海軍の選定がF-47で得られた成果を活用できる点に着目している。ボーイング防衛部門トップのスティーブ・パーカー氏は、「2機の先進戦闘機の並行開発は当初から計画しており、それに見合う投資をしてきた」と述べた。「2機同時は無理ではないか」という懸念への回答でもある。

    セントルイス拠点の存続問題に決着

    今回の契約はボーイングの戦闘機生産拠点にも直結する。ミズーリ州セントルイスは、マクドネル・ダグラス時代からF-15やF/A-18を造ってきた米国有数の戦闘機工場だ。スーパーホーネットとグラウラーの生産は2027年に終了する見込みで、次世代機を逃せば、この拠点の維持は難しかった。F-47に続いてF/A-XXでもセントルイスでの開発・生産が見込まれ、長期的な戦闘機製造基盤が確保された形だ。象徴的なのは、同日の別契約である。海軍はF/A-18E/FとEA-18Gの生産ライン閉鎖に向けた支援として、1666万7607ドルの契約もボーイングに与えた。作業はセントルイス、エルセグンド、ベスページの3拠点で政府保有の治工具を棚卸しし、保管や処分の方針を示す内容で、2030年11月まで続く。旧世代機の幕引きと次世代機への移行が、同じ日に始まったことになる。

    「トランプ政権による救済」なのか

    ボーイングは商用機部門の不振が続き、防衛部門でも過去に大きな損失を計上してきた。このため「業績不振のボーイングを政権が救ったのでは」という見方が出てもおかしくない。ただ、現時点で救済を目的とした選定だと示す証拠はない。むしろ経緯は逆に近い。2025年6月に出された2026会計年度の予算要求では、F/A-XXの予算は約7400万ドルにとどまった。国防総省は、産業基盤が同時に急いで進められるのはF-47だけだという立場だった。つまり計画は一度、減速を迫られている。これを押し戻したのが議会だ。議会は2026会計年度の国防歳出法で9億7200万ドルの研究開発費を計上し、単一企業との開発契約を求めた。その後、海軍が自ら設定した8月の決定期限を超過し、発表は9月末にずれ込んだ。もちろん、政治的な働きかけがなかったわけではない。ミズーリ州選出のエリック・シュミット上院議員とウェスリー・ベル下院議員は、今回の受注を歓迎し、セントルイスへの経済効果を強調している。地元選出議員がセントルイスでの生産を後押ししてきたのは確かだ。ただし、それが選定結果を左右したかどうかは、公開情報からは判断できない。

    「ロッキード時代」の終わりか、課題は同時並行の実行力

    F/A-XX選定によって、米国の戦闘機開発は大きな転換点を迎えた。F/A-18の生産終了で戦闘機部門の将来が懸念されたボーイングは、F-47とF/A-XXによって、米国の有人次世代戦闘機開発の中心へ一気に復帰した。一方で、気になるのはF-22、F-35と第5世代戦闘機の中核を担っていたロッキード・マーティン社だ。第6世代では梯子を外された形だが、F-35はこれまで3000機以上の受注を獲得、発注残も1000機程残っており、今後の追加発注も見込める。また海軍から完全に退くわけではない。F/A-XXはF-35Cと並行して運用され、CCA(協調戦闘機)などの無人機とも連携する設計だ。F-35Cの調達も続く。

    それでも、空軍と海軍の第6世代有人戦闘機を同じ企業が手掛ける事実は重い。ボーイングを含む米国の産業基盤が、2機種の第6世代戦闘機を同時に造る能力を持つのかという懸念は、昨年から指摘されてきた。設計、試験、サプライチェーン、人材のすべてで二正面の開発を成功させられるか。中国との軍事競争を見据えて第6世代航空戦力の整備を急ぐ米国にとって、ボーイングの実行力が、そのまま米航空戦力と世界の戦闘機産業の行方を左右する。

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