

中国とラオスが9月29日、ラオス中部のバン・ケウン空港で「中老両軍班根空港合同支援・訓練センター」と「中老友誼航空学院」の運用を開始した。中国国防省によれば、施設は中国軍とラオス軍が共同で維持・運用し、ラオス空軍のパイロット訓練を支援することが目的だという。しかし、この施設は単なる航空学校として見るには規模が大きい。衛星画像を分析したロイター通信によると、建設は2025年後半から進められ、以前は農地や簡素な滑走路だった場所に、舗装された大規模な滑走路、平行誘導路、エプロン、多数の建物などが整備された。施設はラオスの首都ビエンチャンから約50km北に位置する。
特に注目されるのが「合同支援・訓練センター」という名称だ。中国側は今回の施設を「基地」とは表現しておらず、第三国を対象としたものではないと説明している。一方、軍事専門家からは、中国人民解放軍(PLA)がラオス国内で継続的に活動するための兵站・支援拠点として利用する可能性が指摘されている。ロイターによれば、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の専門家は、部隊がラオスを通過する際の兵站拠点として、PLAが恒常的なアクセスを確保する狙いがある可能性を指摘した。
そして今回の施設をめぐって最も注目されているのが、「中国空軍にとって初の海外拠点となるのではないか」という点だ。中国はすでにアフリカ東部のジブチに2017年から海外軍事基地を運用しているほか、カンボジアのリアム海軍基地でも中国軍との共同施設を運用している。しかし、これらは主として海軍・兵站面での海外拠点であり、ラオスのバン・ケウンは航空施設を基盤とする点で性格が異なる。
シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院(RSIS)の研究者コリン・コー氏は、今回の施設について、中国にとって東南アジアで初めての本格的な人民解放軍海外基地とみることもできるとの見方を示している。もっとも、中国軍人の常駐規模や中国軍機の配備、PLAがどこまで施設を自由に使用できるのかなど、重要な点は現時点で明らかになっていない。
今回の施設が持つ意味は、単純にラオス空軍の訓練能力を高めることだけではない。ラオスは中国、ベトナム、タイ、ミャンマーに囲まれた内陸国であり、バン・ケウンはインドシナ半島の中心部に位置する。ここに中国軍が継続的にアクセスできる航空施設が誕生すれば、中国にとって東南アジア大陸部での軍事的プレゼンスを強化する足掛かりとなる可能性がある。一方で、専門家からは、中国南部の雲南省から既にラオス方面へ軍事力を展開できるため、この施設によって中国が新たに得られる軍事的能力は限定的との指摘もある。むしろ重要なのは、中国軍がラオス国内に継続的な足場を確保し、ラオス軍との軍事的結びつきを一段と深めることだと分析されている。
現時点では「中国空軍の海外基地」と断定するには情報が不足している。しかし、航空訓練施設と合同支援拠点が同時に設置されたことで、中国空軍にとって初の海外軍事拠点へ発展する可能性を持つ施設が、東南アジアのラオスに誕生したことは間違いなく、今後の運用実態が注目される。
参考・引用:China carves new military presence in Southeast Asian neighbour
