MENU
カテゴリー

米陸軍の次世代グレネードランチャー「PGS」 ノースロップ・グラマンが25mm型を開発、バレットと製造提携

  • URLをコピーしました!
©Northrop Grumman

米防衛大手ノースロップ・グラマンは2026年10月、ワシントンD.C.で開催された米陸軍協会年次総会(AUSA 2026)にて、米銃器大手バレット・ファイアアームズ(Barrett Firearms)との提携を発表した。両社は米陸軍の次世代兵器システム「PGS(Precision Grenadier System)」の獲得に向け、製造体制を強化する。バレットが製造を担うのは、ノースロップ・グラマンが開発を進める25mm肩撃ち式半自動グレネードランチャーだ。

参考・引用:Northrop Grumman and Barrett Firearms Forge Strategic Collaboration on Precision Grenadier System

PGSは、従来のグレネードランチャーでは対処が難しかった遮蔽物背後の敵や、急速に脅威を増す小型無人航空機(sUAS)への攻撃能力を歩兵分隊に与えることを目指す。今回の提携は、米陸軍が求める次世代の分隊火力をめぐる開発競争において、両社が強固な量産・供給体制をアピールする動きとなる。

遮蔽物の背後や小型ドローンに対処するPGS

PGSは、発射器本体、高度な射撃管制装置、および専用プログラム弾薬で構成される兵器システムだ。従来のM203やM320といった40mmグレネードランチャーは歩兵分隊に面制圧力や爆発物火力を提供してきたが、遮蔽物背後の敵に対する精密攻撃能力や、高機動な小型ドローン(FPVドローン等)を撃墜する能力には課題があった。

XM25(US Army)

米陸軍は過去に、25mm空中炸裂弾を使用するXM25「Punisher」を開発・試験投入したが、システム全体の重量増加や高コスト、過酷な実戦環境での信頼性問題から2018年頃に正式に計画を打ち切った。PGSはXM25の教訓を生かしつつ、大幅な軽量化と多用途性を実現し、歩兵分隊が上級部隊の火力支援を待たずに自力で処置できる目標を劇的に増やす取り組みである。

ノースロップ・グラマンの25mm PGSと4種の専用弾薬

ノースロップ・グラマンが提案するPGSは、5発装填の着脱式弾倉を採用した肩撃ち式の半自動25mmグレネードランチャーだ。本体重量は12ポンド(約5.4kg)以下に抑えられており、チタン製銃身や高強度ポリマー構造の採用によって可搬性を確保している。また、米陸軍が次世代小銃(NGSW)等で導入を進めるXM157射撃管制装置(FCS)との親和性を持ち、内蔵されたレーザー照準器や弾道計算機と連携する。目標データを基に、発射時に銃身内で誘導結合(Inductive Coupling)方式を用いて瞬時に弾薬へプログラミングを行うため、過酷な環境下でも安定した作動が可能だ。

同社は25mm PGS向けに以下の4種類の専用弾薬を用意している。

  1. HEAB弾(高性能空中炸裂弾): 事前プログラムにより上空や遮蔽物前で起爆し、破片を飛散させてトレンチや物陰の敵を攻撃する主力弾頭。
  2. PROX弾(近接信管付き高性能炸裂弾): 飛翔中に目標との接近をレーダー/センサーで検知して自動起爆する。事前設定不要で、即座に小型ドローン(sUAS)等を迎撃可能。
  3. CQB弾(近接戦闘弾): 散弾(バックショット)タイプで、建物内や塹壕のクリアリング、近距離での対ドローン迎撃を想定。
  4. TP弾(訓練用擬製弾): HEAB弾やPROX弾と同等の弾道特性を持ちつつ、コストを抑えた演習用弾薬。

単なる大口径火器にとどまらず、これら4種の弾薬を使い分けることで、500m以上の有効射程から近接戦闘、対ドローン戦闘まで一機能でカバーできる点が最大の特長だ。

25mmと30mmが交錯する米陸軍のPGSコンペ

あわせて読みたい
バレット社が開発した革新的30mmグレネードランチャーが米陸軍のコンペティションで優勝 © 2025 BARRETT  2025年5月22日、アメリカ陸軍はxTech Soldier Lethalityコンペティションの結果を発表し、Barrett Firearms社とMARS Inc.の共同チームが開発した30mm精...

米陸軍は2023年より「xTech Soldier Lethality」競技会などを通じてPGS候補となる技術を募集してきた。2025年にはMARS Inc.とバレットが共同開発した30mm「Squad Support Rifle System(SSRS)」が賞を獲得したほか、FN Americaの「MTL-30」なども名乗りを上げている。口径については、威力和力や将来的な拡張性で優れる30mm案と、携行弾数や重量バランスに優れる25mm案が入り交じっており、米陸軍は重量、反動、射程、威力のバランスを総合的に評価している最中だ。

あわせて読みたい
米陸軍、次世代グレネードランチャー(PGS)開発にFNアメリカを選定 ©FN America,LLC 米陸軍が現在、分隊レベルの火力を飛躍的に向上させることを目的とした次世代兵器システム「精密グレネード兵システム(Precision Grenadier System:P...

バレットとの提携で量産・供給体制をアピール

2026年10月上旬、バレットとノースロップ・グラマンは戦略的提携を正式発表した。合意に基づき、バレットはテネシー州ナッシュビルの自社施設においてノースロップ・グラマン製25mm PGSの発射器本体を製造し、誘導式弾薬設定装置の統合を担う。ノースロップ・グラマンが誇る中口径弾薬・高度信管技術と、米軍や各国軍への大型対物ライフル供給実績を持つバレットの高品質な銃器製造能力を組み合わせることで、米陸軍および海外市場に向けた強力な量産・供給体制を提示した格好だ。なお、バレットはこれまで30mm SSRSの開発にも関与してきたが、今回ノースロップ・グラマンの25mm型の製造パートナーに収まったことで、コンペの行方やバレット側のマルチ口径戦略にも一層の注目が集まっている。

分隊火力の未来と今後の課題

PGSの本質は、歩兵分隊が航空支援や砲兵に頼ることなく、「物陰に隠れた敵」や「頭上から迫るドローン」という現代戦の二大脅威を自前で素早く無力化できるようにすることにある。ノースロップ・グラマンとバレットのタッグは、25mm案における実用化・量産の現実性を大いに高めた。しかし、最終決定権を持つ米陸軍の評価プロセスにおいては、実際の射撃精度や威力のみならず、過酷な実戦における耐久性、歩兵の身体的負荷、1発あたりの弾薬コスト、兵站(ロジスティクス)への負担などが総合的に厳しく審査されることになる。歩兵分隊の戦い方を激変させる可能性を秘めたPGSの動向から、今後も目が離せない。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!