

米軍が沖縄県の嘉手納基地で、中国の自動車メーカーBYD製車両の乗り入れを2026年10月26日から禁止した。車載カメラやセンサー、通信機能を通じて軍事施設の情報が外部に流出するリスクを警戒した措置だ。一方、韓国軍では中国製のコネクテッドカー約190台が軍施設への出入り登録を済ませていることが判明し、対応の遅れが問題視されている。
米軍がBYD車を締め出し
The BYD SONG PRO DM-i combines the bold presence of Dragon Face Aesthetics with Super Hybrid DM-i technology, delivering up to 1,001 km of combined range (NEDC) for every journey ahead. https://t.co/r4RXC48f1V
— BYD (@BYDCompany) September 4, 2026
ロイター通信などのニュースなどによると、米軍は沖縄県の嘉手納基地でBYD製車両の乗り入れを禁止した。対象には基地関係者の自家用車だけでなく、業者の車両やタクシー、配送車両なども含まれると報じられている。嘉手納基地は、東アジアにおける米軍の重要な航空作戦拠点だ。多数の航空機やレーダー、弾薬関連施設などを擁し、地域の軍事活動を支える重要施設となっている。今回の措置で問題視されているのは、現代の自動車が単なる移動手段ではなく、さまざまな情報を取得・送信する機能を備えていることだ。車種や装備によって異なるものの、コネクテッドカーには複数のカメラや高精度GPS、レーダー、マイク、通信機能などが搭載されている。これらを通じて周辺の映像や位置情報が取得され、外部サービスに送信される仕組みがあれば、基地内の施設配置や車両の動きなどが情報流出につながる可能性がある。
ただし、BYD車が実際に嘉手納基地の機密情報を収集し、中国側に送信したと確認されたわけではない。今回の措置は、具体的な情報流出の発覚を受けたものと確認されているわけではなく、潜在的なリスクを排除するための予防的な対応とみられる。
韓国軍では中国製EV約190台が登録
韓国でも、中国製コネクテッドカーの軍事施設への出入りが問題となっている。韓国紙『朝鮮日報』は10月16日、BYDなどの中国製コネクテッドカー少なくとも約190台が、韓国国防部や陸・海・空軍の施設への出入り登録を済ませていると報じた。登録先には、国防部や合同参謀本部の施設に加え、F-35戦闘機を運用する空軍基地、KF-21を配備する基地、海軍の潜水艦司令部なども含まれていたという。同紙によれば、韓国国防部は2026年4月の会議で、軍関連施設における映像情報収集の安全保障上の脆弱性を認識していた。9月にも対策の策定を進める方針を示したものの、報道時点では中国製コネクテッドカーの入構禁止などの措置は取られていなかった。車載カメラなどが基地内の映像を取得し、通信機能を通じて外部に送信すれば、軍事施設の配置や部隊の活動状況を分析する手掛かりになり得る。韓国では、こうした潜在的なリスクに対して十分な対策が講じられていないとの批判が出ている。もっとも、韓国軍の施設に登録された車両が実際に機密情報を収集し、中国側に送信したと確認されたわけではない。また、在韓米軍は10月23日時点で、中国製車両の入構規則に変更はないと説明している。嘉手納基地の措置が、在韓米軍やほかの米軍基地に拡大するかどうかも現時点では明らかになっていない。
自衛隊の対応は?
日本の自衛隊については、2026年10月26日時点で、BYDなど中国製EVの乗り入れを全国一律に禁止したとの公表情報は確認できない。ただし、車載カメラや通信機能を通じた情報流出の懸念は、自衛隊の航空基地や司令部などでも検討対象になり得る。今後、防衛省が車両の入構基準や情報保全対策を見直すかどうかが注目される。
今回の嘉手納基地の措置は、民生用の自動車であっても、通信機能やセンサーを備えていれば軍事施設の情報管理に影響を及ぼし得ることを示している。米軍が具体的な禁止措置に踏み切る一方、韓国軍では対策の遅れが指摘されており、軍事施設におけるコネクテッドカーの管理が新たな安全保障上の課題となっている。
