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オランダ軍が地上戦力を大幅強化 戦車・CV90に加え架橋車両も整備へ

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Royal Netherlands Army

オランダ軍が、大規模な地上戦に対応できる陸上戦力の再建を進めている。歩兵戦闘車CV90の追加調達をはじめ、架橋戦車や障害物突破車両、装甲回収車両などの整備を進めるほか、2011年に廃止した戦車部隊も復活させる計画だ。背景にあるのは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた欧州の安全保障環境の変化と、NATO(北大西洋条約機構)の集団防衛に対する負担の増大である。オランダは戦車だけを再取得するのではなく、歩兵、工兵、偵察、補給・回収まで含め、地上部隊が一体となって戦闘を継続できる態勢を整えようとしている。

財政削減から地上戦力の再建へ

オランダは2011年、国防費削減に伴い自国の戦車部隊を廃止した。冷戦終結後、西欧では大規模な国家間戦争の危険性が低いと考えられ、軍の役割も海外派遣や平和維持活動などに重点が置かれていた。しかし、2022年にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始すると、欧州各国は領土防衛とNATOの集団防衛を見直すことになった。ウクライナでの戦闘では、戦車や装甲車両だけでなく、砲兵、工兵、無人機、補給・修理能力などを組み合わせることの重要性が改めて浮き彫りになった。オランダも2024年の国防白書で、重装備を含む陸上戦力の強化と戦車大隊の再建を表明した。NATOが求める戦闘能力の不足を補い、同盟の集団防衛に貢献する狙いがある。

CV90を増強し、装甲歩兵部隊を強化

Royal Netherlands Army

地上戦力の再建で重要な役割を担うのが、CV90歩兵戦闘車だ。オランダは既存のCV90の近代化改修を進めるとともに、追加調達によって新たな装甲歩兵大隊を編成する計画を進めている。2026年10月26日には調達準備の進展が公表され、メーカーなどとの契約条件に関する合意が明らかになった。ただし、これは納入が完了したという意味ではない。スウェーデン製のCV90は、歩兵を装甲で保護しながら前線へ輸送し、搭載する機関砲などで敵と交戦する車両だ。戦車が強力な火力と装甲を担い、歩兵が地形や建物などを利用する敵に対処することで、両者は互いの弱点を補う。追加調達では無人システムも活用し、偵察・監視・情報収集能力や対戦車能力を補完する方針だ。オランダはスウェーデン主導の共同調達にも参加し、調達の効率化や欧州諸国との装備の共通化を目指している。

戦車部隊の復活も進める

©KNDS

地上戦力を支える中核の一つとして、オランダはドイツ製のレオパルト2A8主力戦車を少なくとも46両調達する契約を2025年に締結した。最初の車両は2028年、最後の車両は2031年に納入される予定で、追加6両のオプションも設けられている。新設する戦車大隊は約500人規模となる計画で、ドイツ国内に拠点を置き、ドイツ軍と訓練・教育などで協力する。オランダは戦車部隊を廃止した後も、ドイツ軍との統合を通じて戦車運用の知識を維持してきた。今回の計画は、こうした協力基盤を活用し、自国の戦車戦力を取り戻すものだ。ただし、戦車は地上戦力の一部にすぎない。戦車の火力と装甲を生かすためには、歩兵の支援に加え、地形や障害物を克服し、損傷した車両を回収できる体制が必要となる。

架橋・障害物突破・回収車両も整備

オランダは2026年10月、架橋戦車、障害物突破車両、装甲支援車両、重装甲回収車両などの調達計画も公表した。
架橋戦車は、橋を展開して戦車や装甲車両が河川などを通過できるようにする装備だ。戦場では橋が破壊されたり、既存の橋が重装備の重量に耐えられなかったりすることがあり、こうした障害を克服できなければ部隊の前進は妨げられる。
障害物突破車両は、地雷原や防御陣地などへの対応を担う。オランダが保有するレオパルト2ベースの「Kodiak」は老朽化や故障などの問題を抱えており、更新が進められている。
さらに、故障や損傷で動けなくなった重装備を回収するWisent-2重装甲回収車や、救急搬送、指揮所、地雷敷設などに対応する装甲支援車両ACSVも調達する計画だ。これらは調達を進めている段階であり、すべての契約や納入が完了したわけではない。こうした装備は目立ちにくいが、地上部隊が障害を突破し、損傷した車両を回収しながら戦闘を継続するために欠かせない。オランダは攻撃力だけでなく、部隊の移動能力や継戦能力も強化しようとしている。

NATOの集団防衛とドイツとの連携

オランダの再建計画には、NATOの集団防衛に対する責任も関係している。ロシアの脅威が続くなか、加盟各国には自国を防衛するだけでなく、同盟の作戦に投入できる戦力を提供することが求められている。また、オランダはドイツとの軍事協力を重視している。戦車部隊の訓練や教育、整備で連携するほか、CV90や支援車両の調達でも欧州諸国との協力を活用し、装備の共通化や相互運用性の向上を図る。オランダは欧州の輸送・通過拠点としてNATOの兵站を支える役割も担うが、それだけでは同盟の防衛力を十分に支えられない。実際の作戦に参加できる地上部隊を整備することも重要になっている。

地上戦を継続して戦える陸軍へ

レオパルト2A8の納入は2028年に始まり、2031年まで続く予定だ。CV90や工兵・支援車両の調達も段階的に進められる。今後は装備の確保に加え、要員の訓練や部隊編成を進め、実際に運用できる戦力として整備できるかが焦点となる。オランダの地上軍再建の本質は、特定の装備を復活させることではなく、歩兵、装甲部隊、工兵、支援部隊が連携し、大規模な地上戦を継続して戦える態勢を築くことにある。

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