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中国のJ-20Sは空中指揮機へ進化 世界初の複座型ステルス戦闘機が無人機を率いる新たな航空戦

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中国人民解放軍が開発したステルス戦闘機J-20「威龍」の複座型J-20Sは、有人・無人協調戦闘を担う新世代の航空戦力として注目されている。従来の戦闘機のようにパイロット自身が敵を探知し、攻撃するだけでなく、複数の無人機を指揮しながら戦闘を進める構想が特徴だ。中国が目指すネットワーク化された航空戦の中核を担う機体となる可能性がある。

第5世代戦闘機として初の複座型

J-20Sは、中国航空工業集団(AVIC)が開発したJ-20の複座型である。2024年11月の珠海航空ショーで中国側が公式に存在を認め、当時、中国側は世界初の複座型ステルス戦闘機として紹介した。J-20は中国初の実用ステルス戦闘機であり、2017年に中国人民解放軍空軍への配備が始まった。主に航空優勢の獲得を目的とする大型の第5世代戦闘機だ。これに対し、J-20Sは前後に2人の搭乗員が座るタンデム式コックピットを採用。航空優勢に加えて、地上・海上目標への精密攻撃、電子妨害、戦場状況の把握、戦術指揮・統制などを担う多用途戦闘機として位置付けられている。

後席搭乗員が無人機を指揮

J-20Sの最大の特徴は、後席搭乗員を活用した有人・無人協調戦闘(MUM-T)にある。現代の戦闘機はレーダーや赤外線センサー、電子戦装置、データリンクなどから大量の情報を取得する。さらに複数の無人機を運用する場合、それぞれの位置、探知情報、飛行経路、攻撃目標などを管理する必要がある。操縦を行うパイロットが、これらすべてを処理するのは容易ではない。J-20Sでは前席のパイロットが操縦や基本的な戦闘操作を担い、後席搭乗員が戦術情報の処理や無人機との協調を担当することで、役割を分担できる。

例えば、無人機を敵防空網の前方へ進出させ、敵戦闘機やレーダーを探知する。無人機から送られた情報をJ-20Sが受け取り、敵の位置を把握したうえで攻撃を実施する運用が考えられる。また、無人機を囮として敵のレーダーやミサイルを引き付けることも想定される。こうした運用が実現すれば、有人戦闘機が危険な空域へ直接進出する必要性を減らしながら、攻撃能力を拡張できる可能性がある。ただし、J-20Sが実際に何機の無人機を同時管制できるのかなど、具体的な性能は公表されていない。

ロシアもSu-57の複座型を開発

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複座型ステルス戦闘機という点では、ロシアも中国に続いている。ロシアは第5世代戦闘機Su-57の複座型「Su-57D」を開発し、2026年5月19日に初飛行を実施した。ロシア側は、パイロット訓練に加え、有人・無人航空機の混成部隊を指揮・統制する機能を想定している。これはJ-20Sと共通する方向性だ。複座化によって搭乗員の役割を分担し、有人機を無人機群の指揮拠点として活用する構想である。ただし、J-20SとSu-57Dの実際の管制能力や実用化の進捗については、公開情報だけで優劣を判断することは難しい。

米国は複座化ではなく無人機連携を推進

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一方、米国はF-22やF-35といった第5世代戦闘機を複座型にするのではなく、有人戦闘機と無人機を組み合わせる方向で航空戦力の近代化を進めている。米空軍が開発する協調戦闘機(CCA)は、有人戦闘機と連携して偵察、攻撃、電子戦などを担う無人戦闘機だ。2025年にはYFQ-42AとYFQ-44Aの飛行試験が始まり、実用化に向けた開発が進められており、2026年10月にはF-22ラプターのパイロットが、最新の無人戦闘航空機YFQ-44A「フューリー」に対し、飛行中の指示を与えて模擬戦闘タスクを実行させる飛行試験に成功した。つまり、中国とロシアは複座型ステルス戦闘機に戦術指揮・統制機能を持たせる方向を重視する一方、米国は無人機そのものの自律性を高め、有人機と連携させる方向に重点を置いている。もっとも、これは単純な技術思想の対立ではない。いずれも有人機の能力を無人機によって拡張し、将来の航空戦に対応しようとするものだ。

日本の防空にも影響する新たな航空戦

J-20Sのような有人・無人協調戦闘能力が実用化されれば、日本の防空体制にも影響を与える。中国がJ-20Sを中心に複数の無人機を展開した場合、航空自衛隊は有人戦闘機だけでなく、前方に進出する無人機の探知、識別、迎撃にも対応しなければならない。無人機が敵の探知や攻撃を担い、有人ステルス戦闘機が後方から攻撃するような運用が成立すれば、防空側の情報処理や迎撃の負担は増大する。そのため、日本にとってもF-35AやF-35Bなどの有人ステルス戦闘機の能力向上に加え、無人機、データリンク、電子戦、AIを活用した情報処理を組み合わせた航空戦力の構築が重要となる。

J-20Sは単なる複座型J-20ではなく、中国が目指す新しい航空戦の姿を示す機体だ。有人戦闘機が単独で戦う時代から、有人機が無人機を率いて戦う時代への移行を象徴している。今後は、J-20SやSu-57Dの実際の運用実績、米国のCCA計画の進展が、次世代航空戦の方向性を左右する重要な要素となるだろう。

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