米トランプ政権信用できず!ポルトガルがF-35購入を見直し

米トランプ政権信用できず!ポルトガルがF-35購入を見直し

ポルトガルはトランプ政権下で米国と欧州の亀裂が深まり、今後の米国との関係が予測不可能なこともあり、米国製のF-35戦闘機の購入計画を見直し、欧州製の戦闘機に切り替える事を検討していると報じられている。

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ポルトガル空軍はF-16戦闘機の後継機としてNATO主要国であるイギリスやドイツ、イタリアなどと同じようにアメリカのロッキード・マーティン社が開発生産するF-35戦闘機の購入を計画していたが、地元メディアのパブリコによれば同国のヌーノ・メロ国防相は、メディアのインタビューに応じ「F-35を採用するか?」との問いかけに、「選択をする際に地政学的環境を無視することはできない。NATOにおける米国の最近の立場を考えると、同盟国の予測可能性は考慮すべきより大きな資産であるため、最善の選択について考える必要がある」と答えたと報じられており、今のアメリカからF-35を購入する事は地政学的に危険であり、信頼できる欧州から購入する事を検討する事を表した形だ。ポルトガル空軍参謀総長は2023年、老朽化した空軍のF-16戦闘機の後継に「F-35Aが最善である」と述べていた。

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ディールのためなら何をするか分からない

トランプ政権下で米国と欧州との間では亀裂が生じ、NATOの同盟関係は揺らいでいる。トランプ大統領は就任後、同盟関係にあるデンマーク領グリーンランドを併合すると述べ、カナダには「(米国の)51番目の州になれ」と恫喝。そして、NATOの仮想敵国であるロシアのプーチン大統領を擁護する発言を度々行い、今のロシア・ウクライナ戦争の原因はウクライナとヨーロッパにあるとも発言。また、ウクライナとゼレンスキー大統領と和平案を巡って口論した後には軍事支援と情報共有を停止。ウクライナはそれが原因で停戦交渉のカードために制圧していたロシアのクルスクの大部分をロシアに奪還され、撤退。多くの兵を失った。その結果、ウクライナはトランプ大統領の和平案を飲むことに。これら一連のトランプ氏の行動は欧州に大きな不安を抱かせた。トランプ大統領は”ディール”、自分の意見を通すためなら手段を選ばないと。

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F-35が機能停止になる

そんな状況もあり、2026年からF-35の導入を予定しているドイツでは軍事専門家が「F-35にはキルスイッチがあり、米国の判断でいつでも機能停止できる」と発言し、波紋を呼んだ。これは根拠の無い噂で、そのような事実は確認されていない。ただ、米国の意向によっては、それに近いことはできるかもしれない。精密機器の固まりで、高度なステルス性能を持つF-35は日々のメンテナンスは欠かせず、能力を維持するにはメーカーのサポート、パーツの供給が必要不可欠だ。また、F-35は「空飛ぶコンピューター」と言われるように高度なセンサーとアビオニクスが売りだが、これは定期的なソフトウェアのアップデートが必要だ。もし、アメリカの一存でこれらのサポートが停止されれば、F-35は直ぐに機能不全になる。ポルトガルとしては今のトランプ政権ではそのような懸念があると感じているのだろう。実際、ヌーノ・メロ国防相は「世界は変化した…そして我々の同盟国は…使用、メンテナンス、部品、そしてあらゆるシナリオで航空機が運用され使用されることを保証するために必要なあらゆるものに制限をもたらす可能性がある」と述べている。

そもそも、トランプ大統領は米国がヨーロッパに駐留して、防衛の責任を負う事をよく思っていない。トランプ氏は最初の任期時に欧州の防衛費が少ないと非難。GDP2%に上げるように欧州に迫った。現状、多くの国が2%を達成しているが、今度は5%に上げろと言っており、欧州からの米軍の撤退もちらつかせて脅しをかけている。

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スペインはどの欧州製戦闘機を採用する?

国防相は「特に欧州での生産という観点から、またポルトガル経済への見返りという観点からも、いくつかの選択肢を検討する必要がある」と述べ、欧州製の戦闘機の選択を検討しているととれる発言をしている。欧州製の戦闘機というと英独伊西が共同開発したユーロファイター タイフーン、フランスのラファール、スウェーデンのサーブ グリペンE/Fがある。グリペンはエンジンが米国のゼネラル・エレクトリック F414であり、いろいろと制約がある。ラファールは現在、海外で売れているが、欧州での実績はユーロファイター タイフーンの方が上であり、地理的要因を考えれば、隣国スペインも配備しており、兵站や訓練場のメリットも大きい。スペインはドイツとフランスとともに、第6世代戦闘NGFを開発中であり、タイフーンの採用は第6世代戦闘機でどの陣営に入るかの布石にもなるだろう。

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