MENU
カテゴリー

台湾侵攻準備⁉中国、ロシアから空挺車両の購入情報が漏洩

  • URLをコピーしました!
©Rostec

最近リークされた情報から、中国が台湾侵攻作戦において空挺作戦を重要な要素として検討している可能性が浮上し、波紋を広げています。この情報は、イギリス王立統合安全保障研究所(RUSI)が分析したハッカー集団「Black moon」による文書リークに基づいています。

How Russia is Helping China Prepare to Seize Taiwan RUSI

リークされた文書の概要とRUSIの分析

「Black moon」は2023年時点のものとされる、ロシアから中国への軍事契約書や装備品リストを含む約800ページに及ぶ機密文書をハッキングしました。RUSIがこれらの文書を入手し分析した結果、以下の衝撃的な内容が明らかになりました。

  • 空中投下可能な車両の供給: ロシアは中国に対し、BMD-4M歩兵戦闘車37両、Sprut-SDM1自走砲11両、BTR-MDMラクーシュカ装甲兵員輸送車、KSHM-E指揮所車両といった空挺部隊向けの重装備の供給に同意していました。これらの車両はすべて空中投下が可能であり、中国が大規模な空挺降下能力を求めていることを示唆しています。
  • 空挺訓練の提供: ロシアは、中国の1個大隊規模の部隊に対し、これらの装備品の運用方法とパラシュート投下に関する実践的な空挺訓練を提供することにも同意しています。これは、中国がロシアの豊富な実戦経験とノウハウを吸収しようとしている明確な証拠と言えます。
  • 技術移転と製造能力の構築: さらに、ロシア装備の技術保守・修理センターが中国に設立され、必要な技術文書がすべて移管される計画も含まれていました。これにより、中国は将来的にこれらの空挺装備の製造と近代化に着手できるようになり、自国の防衛産業の強化を目指していることが伺えます。
  • 追加装備と支援: 文書には、高高度からの投下を可能にするパラシュート、空挺砲兵指揮観測車両、オルラン10多目的無人航空機の移送も含まれており、これらの装備が中国軍の空挺作戦能力を多角的に強化する意図が示唆されています。

ただし、これらの契約が「既に納入されたかどうか」については情報がなく、契約・交渉中、あるいは契約成立後の準備段階とされています。また、流出した文書の真偽・完全性に関しては一部で疑問や検証が続いており、「変更や抜け落ち」がある可能性も指摘されています。

台湾侵攻における空挺作戦の重要性

アメリカの分析によれば、中国の習近平国家主席は人民解放軍に対し、2027年までに台湾を制圧する準備を命じたとされています。しかし、台湾への上陸作戦は地理的な制約から極めて困難が予想されます。

  • 限定された上陸適地: 台湾には大規模な部隊の上陸に適した海岸が少なく、数少ない上陸地点は集中攻撃を受け、上陸部隊が孤立するリスクが高いと見られています。
  • 飛行場強襲の困難: ロシア・ウクライナ戦争の教訓は、飛行場の強襲着陸が容易ではないことを示しました。ロシア軍の空挺部隊の輸送機が着陸前に撃墜されたり、降下後に包囲され全滅するなど、空港を完全に制圧することの困難さが露呈しました。仮に一時的に制圧できたとしても、少数の空挺部隊ではすぐに制圧され、あるいは滑走路を破壊されるリスクがあります。

こうした状況下で、中国は空挺作戦によって台湾各地に大規模部隊を降下させることを検討していると考えられています。これは、敵の防衛線を突破し、多方面から圧力をかけることで、上陸作戦の成功率を高める狙いがあると見られます。

中国空挺部隊の現状と課題

中国空挺兵は空軍直轄で、約5~6万人規模と推定される世界有数の大部隊を擁しています。ロシアのBMDシリーズに類似し、互換性があるとされるZBD-03空挺歩兵戦闘車など、空中投下可能な車両も複数保有し、体系化された空挺部隊を構築しています。しかし、大規模空挺作戦を行うにはいくつかの課題を抱えています。

  • 戦力不足: 空中投下可能な車両の数はまだ限られており、大規模な空挺作戦を展開するには戦力不足が指摘されています。
  • 実戦経験の不足: 中国軍は実戦で大規模空挺作戦を展開した経験がなく、作戦ノウハウが乏しいとされています。
  • 国産システムの信頼性: 中国製の空挺投下システム(大型パラシュートや投下プラットフォーム)は、まだ信頼性が低いという指摘もあります。

ロシアの経験と技術の吸収

一方、ロシア空挺軍(VDV)は、ソ連時代を含めアフガニスタン、チェチェン、グルジア(2008年)、クリミア(2014年)、ウクライナ戦争(2022年~)など、数々の紛争で大規模な空挺作戦を実施しており、豊富な実戦経験を持っています。BMDシリーズをはじめとする空挺車両の運用ノウハウは世界トップクラスと評価されています。

今回のロシアからの空挺装備の購入と訓練提供は、中国軍が「机上の空挺部隊」から「実戦可能な即応部隊」への転換を目指していることを強く示唆しています。ロシアの豊富な実戦経験を吸収し、重装備空挺投下技術の不足を補うことで、短期間で台湾侵攻に備えた空挺力を強化する狙いがあると見られています。この動きは、インド太平洋地域の安全保障環境に大きな影響を与える可能性があり、国際社会は引き続きその動向を注視していく必要があります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!