

パキスタンはインド軍機5機の撃墜を主張しており、特にラファールとMig-29戦闘機各1機の損失が確実視されている。この撃墜にはパキスタン空軍のJ-10CとJF-17戦闘機、そして、PL-15空対空ミサイルが使用されたとされ、注目が集まっている。これらの兵器は全て中国製だ。
係争地カシミールでのテロをきっかけとしたインドとパキスタンの軍事衝突。6日、インドがパキスタン領内のテロ組織拠点を空爆したのに対し、パキスタンは応戦し、ラファール3機を含むインド空軍機5機を撃墜したと主張した。当初は情報が錯綜していたが、少なくともラファールとMig-29戦闘機各1機の損失は確実と見られている。CNNの報道によると、ラファールの生産元であるフランス情報機関高官が、パキスタン軍によるラファール1機の撃墜を確認したとのことだ。インド当局は撃墜を認めていないが、ラファール1機の損失は認めている。また、Mig-29の射出座席とエンジンの残骸も確認されており、同機の損失も確実視されている。インド当局者も少なくとも2機の損失を認める発言をしたとの報道もあり、ラファールとMig-29の損失は確定的なようだ。
注目されているのは、どのようにしてインド空軍はこれらの機体を失ったかだ。2機の損失原因はまだ明らかではないが、パキスタン軍が迎撃に際し、中国製のPL-15空対空ミサイルを使用した事が確実視されており、ミサイルと合わせ、それを発射をしたとされるJ-10CEとJF-17戦闘機に注目が集まっている。
J-10CE


J-10CE戦闘機は、中国航空工業集団公司(AVIC)が製造する第4.5世代マルチロール戦闘機であり、中国空軍のJ-10Cをベースとした輸出仕様モデルだ。高い機動性を有するとされ、デルタ翼とカナード、デジタルFBW制御を備える。エンジンは中国製のWS-10単発エンジンを搭載し、最高速度はマッハ2以上、航続距離は1750km、実用上昇限度は18,000m。また、探知距離150km以上とされるAESAレーダーを搭載している。パキスタン空軍は、インドのラファールに対抗するため、2022年からJ-10CEの運用を開始し、36機の調達を予定している。2024年時点では10機が納入済みであり、パキスタンが最初の輸出国となる。J-10CEのコストは4000万ドルとされ、ラファールの半額以下だ。
JF-17


JF-17サンダーは、パキスタン空軍とパキスタン航空複合体(PAC)、中国の成都航空機工業集団(CAC)が共同開発した第4世代多用途戦闘機であり、両国で生産され、中国では「FC-1」と呼ばれる。2003年に初飛行し、2009年よりパキスタン空軍においてF-7やミラージュIIIの後継として量産型の配備が開始された。
本機は、最大速度マッハ1.6、実用上昇限度15,240m、戦闘行動半径900km、給油なしでの航続距離2037kmの性能を有する。2013年には空中給油機能、データリンク、電子戦能力などが追加されたBlockIIが登場し、2015年に発表されたBlockIIIでは、AESAレーダー、ヘルメットマウントディスプレイ(HMD)、赤外線捜索追跡(IRST)システムが搭載され、レーダー探知距離は150km以上となる。パキスタン空軍は計150機を発注しており、主力戦闘機となる予定である。第4世代戦闘機としては比較的安価な2500万ドルという価格から、海外からの需要も高く輸出も行われている。
PL-15空対空ミサイル


中国製の空対空ミサイル「PL-15」は、J-10CEとJF-17 BlockIIIに搭載可能で、J-20、J-35、J-15といった中国の主力戦闘機にも装備されている。射程は200kmを超え、敵のAWACSや給油機の撃破、長距離からの制空権確保を目的として開発された。アクティブレーダーホーミング(AESAシーカー)とデータリンク機能により、常に標的の最新情報に基づいて攻撃を行い、最高速度はマッハ4以上とされ、回避は困難とされる。
これまで中国製兵器は価格の安さから中堅国で一定の需要があったものの、性能には懐疑的な見方があった。しかし、J-10CE、JF-17、PL-15がインド軍機を撃墜したという確証はないものの、迎撃に使用されたことは確実視されており、特にラファール戦闘機を撃墜したとなれば評価が高まる可能性がある。実際、報道後には成都飛機工業集団の株価が急騰し、逆にラファールの製造元であるダッソー・アビエーションの株価は下落した。ラファールは近年セールスが好調だったが、実戦での敗北が明らかになれば、今後の販売に影響が出る可能性がある。
CNNの取材に応じたパキスタンの治安当局者によると国境地帯上空では、両国合わせ、計125機の戦闘機が1時間以上にわたって戦闘を繰り広げ、戦闘中、どちらの国の航空機も相手国の領空に侵入したことはないとされており、空対空ミサイルによる有視界外戦闘が行われた。実際、ラファールの残骸は、バティンダー空軍基地から僅か19キロのインド北部パンジャブ州とインド支配下のジャンムー・カシミールで報告されている。ただ、昨日パキスタン側はインド軍機の残骸を回収、パイロットを捕虜にしたとも語っており、情報はまだ錯そうしている。