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イスラエルのライジング・ライオン作戦の詳細が明らかに!教科書通りの緻密な軍事作戦だった

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IDF

イスラエルによる12日木曜のイランへの先制攻撃「ライジング・ライオン作戦」の詳細が明らかになった。数か月前から周到に計画された本軍事作戦は、「教科書通り」とも評されるほど緻密なものであったと軍事専門家等から評価されている。

イスラエル国防軍は12日木曜、イランの核・ミサイル施設、軍幹部、核科学者を標的とし、核武装の抑制と戦略的優位の確保を目的とした先制的・抑止的攻撃を実施した。作戦にはF-35Iを含む200機以上の航空機とイスラエル諜報特務庁Mossad(モサド)の特殊部隊が参加し、100箇所以上の標的に対して精密攻撃を行った。その結果、複数の軍最高幹部、核科学者が殺害され、核関連施設に打撃を与えることに成功した。イスラエル軍の航空機がイラン領空に侵入したものの、損害は確認されていない。作戦は軍事教科書通りの手順で進められたとされる。

ライジング・ライオン作戦の手順

潜入工作

モサドの工作員が作戦の数か月前からイラン国内に潜入し、標的となる核施設、防空レーダー、防空司令部指令部、ミサイル施設、軍幹部・核科学者の住居を特定し、標的としてマッピングし、監視・分析を実施。爆発物やドローンの事前配置を行った。

破壊工作

イスラエル空軍戦闘機による空爆前に小型爆薬、ドローン、EW(電子戦)を用いてイランの防空レーダーや通信網を撹乱・無力化。イランがイスラエルの戦闘機に反応する前に重要なC2(指揮命令)拠点を先制的に麻痺させ、防空システムと指揮系統を無力化した。

第一波による防空システムの無力化

200機に及ぶ航空部隊がイランに対し空爆を実施。攻撃の第一波は、イラン西部の重要なレーダー基地と防空システムを標的とし、スバシ、マラーゲ、タブリーズを襲撃。ハマダーン空軍基地の防空陣地と戦術航空部隊も爆撃した。数波にわたるミサイル攻撃と空爆の後、攻撃の焦点はケルマンシャー、クルディスタン、ロレスターン、フーゼスタンなどイラク国境周辺の軍事施設に移った。

首都テヘランと核施設を空爆

イラン西部の防空システム無力化後、領空が解放されると作戦は最終段階に入った。首都テヘランと核濃縮施設があるナタンツを標的にミサイル攻撃と空爆を実施。一部の戦闘機はイラン領空を飛行し、精密爆撃を行った。テヘランの市街地と郊外は甚大な被害を受け、少なくとも12以上の行政区が攻撃を受けた。特に東部の軍司令部とイスラム革命防衛隊司令部が被害を受けた。このイスラエル軍の攻撃で少なくとも20名前後のイラン高級軍幹部と6名の核科学者が死亡したと報じられている。イラン政府発表では死者78名、負傷者320名以上と報告されている。

ナタンツの核施設に関しては、パイロット燃料濃縮施設(PFEP)、電力サブステーション、バックアップ発電設備が破壊されたとされる。地下核心部の遠心分離機(濃縮装置)や主要施設には直接破壊の情報はない。しかし、電力遮断により稼働停止状態に陥っており、運用停止レベルの打撃を受けているとされる。また、放射性物質の汚染が確認されたものの、これは施設内に留まっており、局所的で管理可能な範囲と報告されている。ナタンツを含め、計4カ所の核施設が攻撃を受け、何かしらの損傷を負ったとされる。攻撃は民間施設や原子炉本体ではなく、核開発に不可欠なインフラのみを標的とし、戦争拡大のリスクの最小化を図ったとされている。

特殊部隊投入、諜報、工作、電子戦、空爆、ターゲット型暗殺が高度に協調された本作戦は「教科書通り」と評価されている。

しかし、イスラエル空軍の作戦機約200機は、最初にシリア領空を経由してイラク領空に侵入し、その後イラン領空に侵入している。領空侵入許可は得ておらず、イラク政府は「領空侵犯」を理由に、国連安全保障理事会へ抗議文を提出したと報じられている。大規模な空軍が領空侵犯を犯し、攻撃を実行したという事実はイランのみならず、近隣諸国の安全保障にも影響を及ぼした。

イラン側は13日に100機以上のドローンと150発以上のミサイルによる反撃を開始。イスラエル軍報道官は大半を迎撃したとしているものの、複数のミサイルがテルアビブやエルサレムに着弾。少なくとも1〜3名の民間人が死亡、60名が負傷したとされる。イランの反撃は14日も継続している。

イスラエル側も攻撃は数日続くと述べており、実際、先制攻撃を行った翌日13日にも核施設のあるナタンツに攻撃を実行している。イラン側の防空網の損害の程度は不明だが、復旧する前に攻撃は続くと考えられる。イスラエル・イランの軍事衝突は今後も数日続くと予想され、更なる拡大が懸念される。

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