

ドナルド・トランプ大統領は現地時間21日土曜、米国がイランの核施設3カ所を攻撃したと発表しました。アメリカメディアの報道によれば、本攻撃にはステルス戦略爆撃機B-2が投入され、「バンカーバスター」として知られる大型貫通爆弾「GBU-57A/B MOP」が多数投下されました。また、米海軍の原子力潜水艦からは、イラン国内の標的に向け、トマホーク巡航ミサイル数発が発射されました。
作戦詳細
作戦にはアメリカ空軍第509爆撃航空団のB-2スピリット戦略爆撃機が、少なくとも4機、最大6機投入されました。21日夜にはミズーリ州ホワイトマン空軍基地から6機のB-2が離陸したことが確認されています。これらの機体は、アラスカ沖・太平洋航路上空でKC-135給油機による複数回の空中給油を実施し、1万1000kmをノンストップで37時間飛行してイランに到達したと報じられています。これらの機体は当初、イラン攻撃の準備のため、グアム島やディエゴ・ガルシア島に配備されるものと推測されていました。
イラン時間6月22日早朝2時30分頃から、イランの核施設3カ所への攻撃が開始されました。
・Fordow(フォルドゥ)地下濃縮施設
・Natanz(ナタンツ)核関連施設
・sfahan(イスファハン)核技術センター
B-2は地中貫通爆弾「GBU-57A/B MOP」を投下。地下約70〜90mの岩盤下に存在し、イランで最も堅牢な核施設であるフォルドゥには、最大6発が投下されたとされています。重量13トンを超えるGBU-57A/Bは、B-2に2発までしか搭載できないため、フォルドゥ攻撃には3機のB-2が投入されたことが分かります。アメリカ政府およびトランプ大統領は、「フォルドゥは完全に破壊された」と発表しています。
ナタンツとイスファハンの攻撃にGBU-57A/B MOPが使用されたかについては不明ですが、米海軍の原子力潜水艦から発射された約30発のトマホーク巡航ミサイルが使用されたことが確認されています。これら2つの施設は、フォルドゥと比較して地下の深度が浅いと見られています。イラン西部の防空システムがイスラエルの攻撃によって無力化されていたこともあり、作戦に関与した航空機は全て帰投したとされ、トランプ大統領は「すべての飛行機が無事に帰還している」と明言しています。
作戦結果
トランプ大統領は、3カ所すべてが「完全かつ完全に破壊された」と断言していますが、イラン当局は「放射能漏れもなく、深刻な損害はない」と主張し、地下施設には実質的な影響がないと主張しています。IAEAや衛星画像分析では、ナタンツでは上部施設に被害があったものの「地下カスケードホールは無傷」とされ、最も攻撃が激しかったフォルドゥでも「上部が損傷した可能性はあるが、地下施設は保全されている」との見解が示されています。アメリカは強く破壊を主張していますが、地下施設への影響は限定的であり、核活動の根絶には至っていないというのが多くの専門家の意見です。
ドナルド・トランプ米大統領は、今回の作戦を「壮大な軍事的成功」と述べ、「核施設は完全に破壊された。今後イランが和平に応じなければ、さらに多くの標的を攻撃する」と警告しました。イスラエルのネタニヤフ首相は米国の決定を「歴史を変える」と評価し、称賛しました。米国内では共和党が支持する一方、民主党や一部共和党内部からは「議会承認を欠いた憲法違反」などの批判の声が上がっており、国連事務総長らは「地域の不安定化を懸念」と警告しました。欧州、中国、ロシアなどはアメリカを非難し、今回の攻撃に対し、国際的な賛同は得られていません。
イランは報復する
イランは報復措置の準備を進めており、米国および米軍拠点を含む「あらゆるアメリカ人・米軍標的」を攻撃対象とすると表明しております。イラン国内の事情および世論を鑑みるに、報復は避けられないと推測されます。しかしながら、現状においてイランはアメリカ本土を攻撃する能力を有していないため、中東湾岸諸国や隣国イラクなどに点在する米軍基地が報復の対象となる可能性が高く、これにより中東情勢の悪化が懸念されます。また、イランが世界の石油輸出の要衝であるホルムズ海峡を封鎖する、あるいは戦争の影響により海峡の交通に支障が生じることが推測されており、世界経済への影響が懸念されております。
しかしながら、イランとアメリカの軍事力差は大きく、イスラエルと二方面で事を構えることは不可能です。そのためアメリカへの報復は限定的であり、全面戦争には発展しないという公算が強いと見られています。今後の動向が注視されます。