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停戦期間中、イスラエルは米国から誘導爆弾JDAMを大量購入

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USAF

イスラエルとイランとの12日間戦争で、相当数の爆弾を投下したイスラエル軍は誘導爆弾の在庫枯渇に直面していた中、米国務省は6月30日、国防安全保障協力局(DSCA)を通じて、イスラエルへの精密誘導兵器キットおよび関連支援機器の対外有償軍事援助(FMS)として、推定5億1000万ドル相当の売却承認を発表しました。

Israel – Munitions Guidance Kits and Munitions Support

この売却は、イスラエル政府からの具体的な要請に基づいています。要請された品目には、BLU-109爆弾本体用のKMU-558B/B統合直接攻撃弾(JDAM)誘導キット3,845個と、MK 82爆弾本体用のKMU-572 F/B JDAMキット3,280個が含まれています。さらに、米国政府および請負業者によるエンジニアリング、ロジスティクス、技術サポートサービスもこのパッケージに含まれており、イスラエルの兵器システムへの円滑な統合と運用を支援する体制が整えられます。

DSCAは、この売却がイスラエルの「国境、重要なインフラ、人口密集地の防衛」能力を著しく向上させると強調しています。また、米軍との相互運用性の強化にも繋がり、地域における安定化に貢献するとしています。DSCAの声明では、「米国の国益に合致しており、イスラエルが強力で即応性のある自衛能力を維持するのを支援するという目的にも合致している」と述べられており、この売却が単なる軍事支援に留まらず、米国の外交・安全保障戦略の一環であることが示唆されています。

JDAM

ウクライナ軍が米国から提供の長距離誘導爆弾JDAM-ERを使用
USAF

JDAMは、無誘導爆弾を長射程の対地ミサイルへと変換するキットです。高コストなミサイルと比較して、既存兵器を安価に精密誘導兵器に転換可能です。米空軍においては、主に自由落下式汎用爆弾であるMk80に装着して運用されています。JDAMは格納式の翼を有しており、投下後に翼を展開し滑空飛行を行います。GPS慣性航法システム(INS)によって誘導され、最大28km先の地上目標を正確に攻撃することが可能です。JDAMキットは、ミズーリ州セントチャールズにあるボーイング社が製造しており、現代の空対地攻撃能力において不可欠な構成要素であり、米国および同盟国軍によって広く使用されています。JDAMにより、イスラエル軍は爆撃精度を大幅に向上させることが可能となっており、より効果的かつ効率的な軍事作戦の実施を可能にしています。

DSCAは、今回の売却が「地域における基本的な軍事バランスを変えるものではない」と強調しており、イスラエルがこれらのキットを既存の防衛体制に統合する能力を十分に備えていることを指摘しています。これらの装備は、新たな兵器を追加するのではなく、既存の弾薬備蓄が目的であるため、地域の軍拡競争を激化させるものではないという認識を示していますが、イスラエルによる周辺国への更なる空爆を冗長する事に繋がります。

米国政府は、最終的な合意次第では、一部のキットが既存の米軍備品から転用される可能性があるとしています。現段階ではオフセット協定は提案されていませんが、イスラエル政府とボーイング社の間で直接交渉される可能性も排除されていません。これは、売却の柔軟性を示すと同時に、納入までのリードタイムを短縮し、今後の交渉の余地を残しています。通知によると、この取引が米国の防衛態勢や国内の備蓄水準に影響を与えることはないと予想されています。

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