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ドローンをドローンで落とす時代へ。防衛省が異例のスピードで選んだ「4つの迎撃ドローン」

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©QS INTERCEPTOR

ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢において、現代の戦場を最も大きく変えた兵器が「ドローン」である。数十万円から数百万円の安価な無人機が、数十億円規模の戦車や艦艇を撃破している。さらに、数百万円の自爆ドローンを迎撃するために、数億円の地対空ミサイルを消費せざるを得ないという「コスト逆転現象」が、世界各国の軍隊を深刻に悩ませている。こうした有事の教訓を受け、日本の防衛省・防衛装備庁はこれまでにない異例のスピードで「迎撃ドローン早期取得プログラム」を始動させた。2026年6月の公募開始から、実証試験を経てわずか約3カ月で量産契約まで進めるという超短期の緊急調達である。日本が本格的に「ドローン戦争」への対応に乗り出した明確なサインと言えるだろう。

防衛省:迎撃ドローン早期取得プログラムの実施について

防衛装備庁には民間企業38社から提案が寄せられ、2026年7月15日、実証試験用として4機種が選定された。実証試験は7月下旬から8月上旬にかけて行われ、飛行性能や自律性能、海上自衛隊の艦上運用性などを評価。部隊運用に適すると判断された機体は、8月下旬にも迅速な量産契約が予定されている。今回採択された4機種のうち3機種は海外メーカー製で、純国産機は1機種のみとなっている。世界中の戦場で実績を積み始めている海外技術をハイスピードで取り込みつつ、国内の生産基盤も育成する防衛省の「ハイブリッド戦略」が見て取れる。選定された4機種について詳しく解説する。

1. ポルトガル製「BVQ404」(提案:エアモビリティ)

まず一つ目がポルトガルのBeyond Vision社が開発したBVQ404である。しかし、Beyond Vision社のWebページに当該製品は載っておらず、その性能は不明だ。長距離・長時間飛行能力を備え、イラン製の「シャヘド136」のような長射程自爆ドローンの迎撃を想定し、AIによる自律飛行や目視外飛行(BVLOS)に対応し、光学・赤外線センサーによる高い目標探知能力を持つとされるが、最高速度などの詳細スペックは非公表となっている。

2. ドイツ製「QS INTERCEPTOR」(提案:全日空商事)

STRILA(©QS INTERCEPTOR)

2つ目がドイツのQuantum Systems社が開発したQS INTERCEPTORである。同社はウクライナ軍へ偵察ドローンを大量供給している実績があり、AI画像認識や、GPS妨害といった電子戦環境下での運用技術に非常に定評がある。こちらもBVQ404同様、「QS INTERCEPTOR」という名称の製品はウェブサイトにはまだ記載がないが、同社が展開する最新の対ドローン(C-UAS)迎撃機「STRILA」がベースになっているとみられる。「STRILA」は固定翼VTOL機能を持ち、最高速度415km/h、最大迎撃高度6,000m、航続距離20kmを誇る高性能な機体だ。高度な電動推進と自律追尾能力を備え、高速で飛来する危険な標的を確実に捉える。

3. 唯一の国産機「Terra B1」(提案・製造:テラドローン)

Terra A1がウクライナでロシアのShahed無人機を撃墜する様子

今回、唯一の純国産機として選出されたのが、東京・渋谷に本社を構えるテラドローン(Terra Drone)社の「Terra B1」だ。テラドローンは2026年に入り防衛事業への本格参入を表明後、防衛装備庁から教育・汎用ドローン300機を受注するなど急成長を遂げている。さらにウクライナの迎撃ドローン企業を子会社化するなど、防衛分野への投資と技術吸収を急速に拡大させている。「Terra B1」のスペックは不明だが、同形と推測されるTerra A1は後部に推進プロペラを備えた固定翼VTOL機で、GPS妨害への耐性、高い自律飛行、部品交換が容易なモジュール化設計を特徴としている。最高速度300km/h以上、飛行時間15分以上、最大航続距離30km以上、高度5,000mのスペックを持ち、艦艇運用も想定されている。防衛装備庁は将来的な量産契約において「国産・国内生産基盤」を重視すると明記しており、本機は防衛ドローン国産化の「大本命」と言えるだろう。

4. 米国製「IonStrike」(提案:日本海洋)

US Army

4機目は、米国のDZYNE Technologies社が開発した「IonStrike」である。同社は米軍向けに高度なAI無人機群を提供する最先端のディフェンス・テック企業であり、本機は米陸軍でも評価試験が進められている。その姿は一般的なプロペラ型ドローンというよりも「ミサイル」に近く、専用のランチャーからロケットブースターで射出された後、高速飛行する。AIによる完全自飛行やGPS妨害への強い耐性を備え、遠方から飛来する攻撃型ドローンを長距離で迎え撃つ。詳細スペックは非公表だが、今回採択された4機種の中でも、より防空ミサイルに近いコンセプトを持つ強力な選択肢と言える。

「ミサイルでドローンを撃つ時代」からの大転換

今回、防衛装備庁が想定している迎撃対象は、「概ね高度18,000フィート(約5,500m)未満、速度250ノット(約463km/h)程度で飛行する無人航空機(重量600kg以下)」だ。これはプロペラ駆動の自爆ドローンだけでなく、近年のトレンドであるジェットエンジン搭載型の超高速自爆ドローン(シャヘド238など)をも視野に入れた要求スペックとなっている。これまでドローン迎撃は、1発あたり数千万円から数億円する「PAC-3」や「SM-2」といった高価な地対空・艦対空ミサイルに依存せざるを得なかった。しかし、数万円のドローンを落とすために高価なミサイルの在庫をすり潰す防空戦は、長期戦において持続不可能であることがウクライナや中東の戦場で証明されてしまっていた。

だからこそ、世界は今「ドローンにはドローンをぶつけて落とす」という低コストな迎撃手法へ急速にシフトしている。迎撃ドローンは比較的安価で大量配備が可能であり、AIによる自律飛行によって前線の自衛隊員の負担も大幅に軽減できる。将来的にはレーザー兵器(LWD)や電子戦装備と組み合わせ、多層的な防空網を構築する中核になるはずだ。小泉防衛相も「安価で大量に迅速に生産できる力が求められる時代」と言及するように、日本の防衛政策は今、過去最大のスピード感で新たな転換点を迎えている。

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