

これまでウクライナ侵攻において「中立」を自任してきた中国の立場を根底から覆す報道が飛び込んできた。ロイター通信によると、欧州情報機関の情報や内部文書から、中国人民解放軍(PLA)が2025年にロシア軍兵士を中国国内で極秘に訓練していたことが明らかになった。訓練を受けた兵士の一部はすでにウクライナ戦線へ投入されたとみられており、中露の軍事協力は共同演習の枠を超え、「実戦部隊の育成」という新たなフェーズへ突入した可能性が高い。
🇨🇳 中国国内の複数施設で約200人のロシア兵を極秘訓練
報道によれば、中国人民解放軍は2025年後半、中国国内の軍施設(北京、南京、石家荘、鄭州、宜賓、蚌埠など)で約200人のロシア軍兵士に対する秘密訓練を実施した。この計画は、2025年7月に締結された中露軍事協力協定に基づくものだ。中国側が一方的に教えるだけでなく、数百人規模の中国軍兵士もロシア国内で訓練を受ける「相互交流」の枠組みであったとされている。
現代戦の要「ドローン戦」と「電子戦」への特化
訓練で最も重要視されたのは、ウクライナ戦争で戦局を左右している「ドローン運用」だ。数週間にわたる教育プログラムには、以下の極めて実戦的な内容が含まれていた。
- FPVドローンの操縦および偵察ドローンの運用
- ドローンを活用した砲兵射撃の誘導
- 最新シミュレーターを用いた飛行訓練
- 対ドローン戦術および電子妨害(ジャミング)技術
ロシア軍はウクライナで豊富な実戦経験を持つ一方、中国は世界最大級のドローン産業と高度な教育インフラを有している。ロシア側は最新のシミュレーターや技術を学び、中国側はロシアから「戦場のリアルなデータ」を吸収し、自国の戦術開発に活かすという「相互補完」の狙いが浮き彫りになっている。
NBC(核・生物・化学)防護という危険な領域
さらに欧州当局の懸念を深めているのが、北京の施設で約3週間にわたり行われたNBC(核・生物・化学)防護に関する専門教育である。
- 放射線偵察や原子炉模型を使用した教育
- 化学・生物兵器への対処および汚染環境下での活動
欧州当局は、これを通常の軍事交流を逸脱した「戦略的軍事協力」と評価している。この高度な訓練内容は、将来的な生物化学兵器や核兵器の使用、あるいは原発周辺での戦闘を見据えたものとも受け取れ、強い警戒感を引き起こしている。
訓練修了者はウクライナ戦線へ、軍上層部も関与か
欧州情報機関によると、訓練を終えたロシア兵の一部はすでに帰国し、ウクライナ戦線へ投入されている。現在ロシア軍では動員兵の訓練不足が度々指摘されているため、中国で高度な訓練を受けた部隊は精鋭エリート、あるいは部隊内で戦術を波及させる「教官」クラスである可能性が高い。これは単なる知識交流ではなく、ロシア軍の実戦能力向上を直接的に支える支援策だ。また、追加報道では、この計画がロシアのアンドレイ・ベロウソフ国防相による2025年8月の極秘命令で正式に承認されていたことも判明した。現場レベルの交流ではなく、両国の将官級幹部が直接関与する国家レベルのプロジェクトだったことがうかがえる。
Source
https://jp.reuters.com/world/ukraine/N25RIK2RTVK5LDRPXMBHD43N5Y-2026-07-01/
崩れ去る中国の「中立」姿勢と今後の影響
中国政府は一連の報道に対し、「そのような主張には全く根拠がない」と全面否定している。しかし、欧州連合(EU)は独自の情報収集から訓練の事実を確認したとしており、中欧関係の悪化は避けられない情勢だ。
これまで欧米諸国は、中国を「ロシアの経済・技術的な支援国」として警戒してきた。しかし、実戦投入を前提とした兵士教育にまで踏み込んでいたとすれば、中国は「ロシアの戦争遂行能力を直接支える当事者」として認識されることになる。
中露の軍事協力が「兵器開発」から「実戦部隊の育成」へと変貌を遂げたことは、ウクライナ情勢のみならず、将来の台湾有事や世界の安全保障環境に計り知れない影響を与えるだろう。
