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ドイツ軍もマルチ迷彩!新たなにMultitarn迷彩採用!フレックターン終了へ

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Bundeswher

ドイツ連邦軍は、長年使用されてきたフレックターン迷彩パターンから、汎用性の高いマルチ迷彩パターン「Multitarn(マルチターン)」への全面的な移行を計画している。このマルチターンは、近年多くの国の軍隊が採用している全地形対応「マルチ迷彩」の流れを組むもので、ドイツ軍が独自に開発した迷彩パターンである。

Neuer Tarndruck für die Bundeswehr – Multitarn kommt, für alle

マルチターン導入の背景と経緯

右:multitarn 左:Flecktarn砂漠仕様(Bundeswher)

ドイツのメディアhartpunktの報道によると、これまでドイツ連邦軍の特殊部隊のみに採用されてきたマルチターンが、将来的には連邦軍全体に導入されることになった。ドイツ連邦軍関係者によると、ドイツ国防省は長年、マルチターンの導入に反対してきたが、最近その方針を撤回し、2026年以降から段階的に個人装備や軍服へのマルチターンの導入を決定した。そして、2028年から2029年にかけて、現在使用されているフレックターン迷彩は完全に廃止され、全てマルチターン迷彩に切り替えられる予定であると報じられている。

この全軍導入を推進したのは、軍の代表者や軍事装備分野の代表者たちであった。彼らは、特殊部隊だけが異なる迷彩を着用していると、隊員が敵に識別されやすいという理由から、新しいマルチターン迷彩の全軍導入を提唱していた。

マルチターンの開発と特徴

マルチターンは、2010年代からドイツ連邦軍によって、標準のフレックターン迷彩の代替として開発されてきた。その主な目的は、特定の環境に最適ではないものの、様々な作戦条件において可能な限り最高のカモフラージュ効果を提供する迷彩パターンを作り出すことにある。アメリカのマルチカムなど、各国でマルチ迷彩の開発・採用が続いているが、ドイツ軍が独自に開発した迷彩だ。

フレックターン迷彩

Bundeswher

ドイツ連邦軍は現在、Marquardt & Schulz(M&S)社が1976年にデザイン・設計した「Flecktarn(フレックターン)」迷彩を採用している。フレックターンは、1990年に東西ドイツが統一された際に導入が開始された迷彩で、ドイツ連邦軍の陸海空軍が戦闘服の迷彩として採用したほか、デンマーク、ポーランド、オーストリアなど、ドイツと自然環境が近い隣国の軍も採用している。日本の自衛隊迷彩の迷彩服2型・3型も、フレックターンをベースに日本向けに改良されたものだと言われている。

フレックターンには、主に2つの迷彩パターンがある。基本パターンは、ヨーロッパの温帯森林地帯に適した設計になっており、北米や日本といった北東アジアの森林地帯にも適応する。2004年に設計されたトロペンターン(トロピカルカモフラージュ)パターンは、アフガニスタンなど中東に任務する部隊向けに作られ、砂漠など乾燥した地域の環境に適している。基本的にこの2つのパターンを環境に合わせて使い分けているが、どちらも都市部の環境には適さないという難点があった。

マルチカムとマルチターンの優位性

その点、マルチターンはマルチカムの特徴と同様、いわゆる「全地形・万能型迷彩」であり、特定の環境に最適化されていないものの、様々な環境に適合する。つまり、環境に応じて迷彩を変える必要がなく、どこでも一定の迷彩効果を発揮する。そのため、様々な環境で活動する特殊部隊に採用される所以でもある。アメリカ軍で採用が始まったマルチ迷彩は現在、イギリス軍、ポーランド、ノルウェー、オランダなど、多数のNATO加盟国が採用している。日本でも陸自の特殊作戦群でマルチカム迷彩装備を一部使用されているのが確認されている。

NATO加盟国のトレンドと課題

フランス軍も近年、象徴的なCEC迷彩を廃止し、新しいマルチ迷彩パターン「F3 Bariolage Multi-Environnement(BME)」を採用しており、2024年から切り替えが進められている。この流れはNATO同盟国のトレンドに倣い、共同作戦時の互換性向上やコスト削減も目的の一つとされている。しかし、長年にわたり各軍の象徴であった特徴的な迷彩が廃止され、統一化されることに対して、一部の兵士からは抵抗感やノスタルジーの声も上がっている。

また、マルチ迷彩がNATOやその他同盟国、西側諸国だけで使用されるなら問題ないが、ウクライナ侵攻中のロシア軍の一部が使用している点も指摘されている。さらに、中国軍もマルチカムに似た全地形迷彩を使用しており、世界中で採用が広がることは、いざ戦争になった場合に同士討ちや偽装リスクの増加という重大な問題を孕む。ロシア・ウクライナ戦争で起きているような、味方と敵を認識するための補助的な識別マーカー(IRパッチやカラーコードなど)との併用が必要になるかもしれず、そうなると迷彩効果が薄れる懸念もある。

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