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ハッキングでロシアのSu-57とSu-34の初輸出先が明らかに

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ロシアのSu-57、中国のエアショーで初の輸出契約を締結
Su-57(©Rosoboronexport)

ハッカー集団「Black moon」がロシアからハッキングした情報により、ロシア製戦闘機Su-57、Su-34、Su-35の新たな輸出先が明らかになりました。この情報は、ロシアの国営軍需企業Rostecから流出したもので、3カ国との間で締結された戦闘機輸出契約の詳細が暴露されています。特に注目すべきは、第5世代ステルス戦闘機Su-57と戦闘爆撃機Su-34にとって初の海外輸出案件となる情報です。

Su-57とSu-34の初の輸出先:アルジェリア

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北アフリカのアルジェリアは、Su-57の初の輸出先として明らかになりました。今年2月にはアルジェリアの国営メディアが、同国がロシアの第5世代戦闘機Su-57の初の海外輸出先となったことを報じていましたが、ロシア政府からの公式発表はありませんでした。漏洩した情報によれば、アルジェリアは輸出型Su-57Eを12機購入する契約を締結したとされており、2月の報道での14機という数字とは若干の差異が見られます。この契約は、2024年11月に中国で開催された第15回中国国際航空宇宙博覧会で、Rostecの子会社で海外輸出を担当するRosoboronexport社のトップがSu-57Eの初の輸出契約が正式に締結されたことを発表した際に結ばれたものと推測されます。2月の報道では、既にロシアでアルジェリア空軍のパイロット訓練が始まっており、2025年末までには最初のバッチが納入される予定であると報じられています。

Su-34砂漠迷彩(SNSより)

さらに、アルジェリアはSu-34戦闘爆撃機の購入も契約したとされます。Su-34は2007年にロシア空軍に正式配備され、2015年に初めて実戦投入され、ウクライナでも主力機として運用されていますが、これまで海外への輸出実績はありませんでした。情報が確かならば、アルジェリアはSu-34の初の輸出先となります。契約されたのは14機の近代化輸出バージョンSu-34MEとされています。ロシア航空宇宙軍は150機ほどのSu-34を保有、ここ2年は毎年10機ペースで新型機が納入されています。ただし、アルジェリアによるSu-34購入案件は2015年以降に何度か報じられており、2021年にはロシアがアルジェリア向けSu-34の生産を否定するなど、紆余曲折がありました。そのため、今回の契約が最終的に実現するかは不透明な部分もあります。しかし、今年に入り、砂漠迷彩で塗装されたSu-34がモスクワ近郊で目撃されており、近々輸出されるのではないかという憶測が流れています。流出した資料によれば、Su-57とSu-34共に、2024年から2026年の間に納入が予定されています。

ロシアが国際的に孤立する中で、アルジェリアは重要な同盟国であり、シリアのアサド政権が崩壊した現在、地中海におけるロシア軍の影響力を維持するための重要な戦略的拠点としての役割を担っています。

Su-35の輸出先:イランとエチオピア

ロシア軍の戦闘攻撃機1200機の半数が寿命を迎えつつある
mod russia

明らかになった2カ国目は、イランへの第4.5世代戦闘機Su-35の売却です。ロシア・ウクライナ戦争でイランがロシアに軍事支援を行う中、その対価として24機のSu-35を購入する計画は以前から報じられていました。しかし、今回漏洩した情報によれば、その数は倍の48機、契約総額は60億ユーロに上るとされています。F-14やF-4といった旧式戦闘機を未だに前線機として使用するイラン空軍は、今年6月のイスラエルによる空爆に対し、イスラエル空軍のF-35、F-16、F-15に完全に制空権を握られ、ほぼ無抵抗のまま一方的に攻撃を受けました。Su-35はF-16やF-15に対抗できる機体であり、もし48機の調達が事実であれば、イラン空軍を一気に近代化し、地域のパワーバランスを大きく変えることになるでしょう。納入時期は支払い後2〜4年とされ、契約は2022年に締結されたとされています。昨年から既に機体の納入が始まっているとの報道もありますが、イスラエルによる攻撃時にもSu-35は確認されておらず、国内での目撃情報もありません。

3カ国目として明らかになったのは、エチオピアへの6機のSu-35売却です。エチオピアはソ連時代から続くロシアの盟友であり、対立する隣国エジプトが米国製兵器を揃える中、軍事装備はソ連式装備で占められています。戦闘機は僅か2機のSu-30以外はMig-23とSu-27が主力で、老朽化が深刻化、近隣諸国との軍事格差が広がっていました。そのような状況の中、2023年にロシアとSu-35の購入交渉を進めているという報道がありましたが、公式発表はありませんでした。今回漏洩した情報によれば、6機のSu-35の調達契約が結ばれています。

流出した情報はこれまでの報道を裏付けるものではありますが、Rostecやロシア政府の公式な受注・発注であるという確証はありません。また、契約のどの段階の資料なのかも不明です。そもそも、現状のロシアが抱える国際的な制裁や経済状況の中で、これらの契約を完全に履行できるのかも不透明な要素として残されています。しかし、これらの情報が事実で約束を果せれば、輸出が減るロシアの軍事産業にとって重要な兵器輸出市場の維持と、地政学的な影響力の維持に繋がることは間違いありません。

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