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    インドネシアがイタリア製空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」を取得 なぜ今、空母を導入?艦載機はどうなる

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    TNI-AL

    インドネシア海軍にとって初めての空母となる、旧イタリア海軍の軽空母「ジュゼッペ・ガリバルディ(Giuseppe Garibaldi)」が2026年9月18日朝、ジャカルタのタンジュンプリオク港に到着した。北ジャカルタの海軍基地では歓迎式典が開催され、正式な就役式と国旗交換式典は9月下旬(24日または25日とする報道がある)に行われる見通しで、以後は「KRI Sriwijaya(スリウィジャヤ)」という名でインドネシア海軍に加わる。これによりインドネシアは、空母を運用する東南アジアでタイに続く2番目の国となる。ただし今回の取得を、単に「インドネシアが戦闘機空母を新たに整備する」と捉えるのは適切ではない。インドネシアがGaribaldiに求めているのは、広大な島嶼国家を支える「海上の航空拠点」としての能力だ。

    参考・引用:KAPAL ITS GIUSEPPE GARIBALDI RESMI TIBA DI JAKARTA

    40年以上前のイタリア製軽空母を無償で取得

    Garibaldiは1985年にイタリア海軍へ就役した軽空母で、全長180.2メートル、満載排水量は約1万3850トン、ガスタービン4基で最高速力は約30ノット(時速約56キロ)、現役当時の乗員は825人だった。艦首にスキージャンプ式の飛行甲板を備え、任務に応じてヘリコプターやAV-8BハリアーIIなどのSTOVL機を最大18機運用でき、対空ミサイル発射機や40ミリ連装機関砲も搭載していたが、2024年に退役した。

    イタリアは本艦の資産価値を約5400万ユーロ(約100億円)と評価しつつ、これを無償でインドネシアへ引き渡すことを決めた。保守点検だけで年間約500万ユーロの維持費がかかり、売却・解体にもコストと時間を要すると見込まれたため、必要とする友好国へ早期に譲渡する方が合理的と判断されたという事情がある。一方で、インドネシア側での近代化改修には仕様次第で約3億5000万〜8億1800万ユーロ(約650億〜約1520億円)が必要になる可能性があるとも報じられている。

    同艦は8月24日、イタリア・タラント港をイタリア人艦長マルコ・グエリエロ大尉率いるイタリア・インドネシア混成クルーで出港し、スエズ運河を通過してエジプトのサファガとスリランカのコロンボに寄港。紅海通過時にはフーシ派による脅威を警戒し、イタリア海軍艦艇が護衛に当たった。インドネシア領海へはマラッカ海峡経由で入り、これは先に導入された2隻のPPAフリゲートがスンダ海峡を通ったのとは異なるルートだった。9月17日に領海入りし、TNI海軍広報によれば2隻のフリゲート艦がタンジュンプリオクへの入港を護衛した。出港から到着まで約25日(3週間半)を要した計算になる。

    なお当初は「KRI Gadjah Mada」と命名される計画も報じられていたが、最終的に「KRI Sriwijaya」に変更された。スリウィジャヤは7世紀から13世紀にかけて東南アジア海域に広範な影響力を持った、スマトラを拠点とする海洋王国にちなんでいる。

    なぜインドネシアは空母を取得したのか?

    最大の理由の一つが、インドネシアという国家そのものの地理的特性にある。多数の島々からなる世界有数の島嶼国家であり、中央政府や軍が遠隔地へ航空戦力を展開するには陸上基地だけでは対応しにくい。そこでGaribaldiを、海上を移動できる大型の航空・指揮拠点として活用する構想だ。インドネシア海軍のムハンマド・アリ参謀長は、同国では災害が多く、遠隔地へ迅速に物資を投下できる多数のヘリコプターを搭載可能な艦船やプラットフォームが真に必要とされていると述べ、艦の状態は依然として良好で今後15〜20年は運用できると期待感を示した一方、必要に応じて戦闘任務に投入することも可能だと付け加えている。

    同艦は災害救援、海上警備、指揮統制、兵站など戦闘以外の軍事作戦(MOOTW)を主任務とする方針が示されている。到着直後には、頻発する森林・土地火災への対応にヘリコプターを投入する構想も報じられており、10月5日のインドネシア国軍記念日の行事でも目玉の一つになると見込まれている。なお当初はスマトラ島最南端、ランプン州のラタイ湾を母港とする計画も報じられていた。

    艦載機はどうなる? 当面は戦闘機ではなくヘリ中心

    Garibaldiのスキージャンプ式飛行甲板から、インドネシア空軍の戦闘機が飛び立つ可能性は低い。シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院(RSIS)の分析では、同艦はインドネシアが掲げる「最適必要戦力(Optimum Essential Force)」構想への転換を象徴する取得であり、まずはヘリコプターを中心とした運用から始まり、伝統的な戦力投射というより災害救援の旗艦として機能する可能性が高いとされる。長期的な運用の成否は、維持・訓練・運用コストをどこまで賄えるかにかかっているとの指摘もある。

    Garibaldiは本来STOVL機を運用できる空母として建造されたが、現時点でインドネシアがF-35BといったSTOVL機を導入する可能性は極めて低い。むしろ注目されるのが無人航空機(UAV)の運用だ。プラボウォ・スビアント大統領自身、2026年9月7日の会合で、同艦を改修してヘリコプターとドローンを運用する空母にする方針を明らかにしている。

    インドネシア企業REPUBLIKORPは2025年の国内防衛展示会で、トルコBaykar製の艦載無人戦闘機「Bayraktar TB3」を搭載したGaribaldiのモデルを公開しており、Fincantieri側もインドネシアの関心を認めている。2025年7月にはFincantieriの代表団がジャカルタを訪れ、同艦を無人機母艦へ改修する提案を正式に提示したとも報じられている。RSISが指摘する「有人・無人ハイブリッド型航空艦」への発展は、単なる推測ではなく既に具体的な提案段階に入っていることになる。

    コストと運用面での懸念も

    一方で、取得・運用コストへの懐疑的な見方も出ている。専門家からは、空母取得に充てる資源を、島嶼防衛に不可欠な哨戒艇やフリゲート艦の増強に振り向けるべきだったのではという指摘や、戦闘機を搭載しない以上「本格的な空母」とは呼べないのではという意見もある。実際、40年落ちの艦の維持には専門的な訓練を受けた要員が不可欠であり、運用体制の構築はこれからが本番といえる。

    東南アジアの「空母」の形が変わる?

    インドネシアの空母保有により、東南アジアではタイに続き2か国が空母を保有することになるが、両国とも米海軍のような「空母打撃群」を構築しているわけではない。タイ海軍の「チャクリ・ナルエベト」も現在はヘリコプター運用が中心であり、Garibaldiもまずはヘリコプターと災害対応能力を軸に運用される可能性が高い。今後の焦点は、KRI Sriwijayaにどのようなヘリコプターを搭載するのか、ドローン運用のためにどのような改修を行うのか、そして維持・訓練コストをどう賄っていくのかという点になる。40年以上前にイタリアで建造された軽空母は、かつてのような「ハリアーを搭載する軽空母」ではなく、ヘリコプター、ドローン、指揮・通信機能、災害救援能力を組み合わせた新世代の多目的航空艦として、インドネシアで新たな役割を与えられようとしている。

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