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イスラエルがイランに対し先制攻撃、複数の軍高官が死亡、核施設では火災

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イスラエル国防軍(IDF)は12日木曜日、「ライジング・ライオン作戦(Operation Rising Lion)」と称する、イランの核施設などを標的とした軍事作戦を発動した。本件作戦は、イランの軍事的脅威の排除を目的とし、複数日間にわたり継続される見込みである。

イスラエル国防軍は12日夜、イランの首都テヘランおよびナタンツなど100カ所以上に対して空爆を実施した。イスラエル軍は13日、「イランの核施設および軍事施設を標的とし、数十箇所に対し空爆を行った」と発表した。具体的には、首都テヘランに所在するイスラム革命防衛隊(IRGC)本部、弾道ミサイル開発者の住居、ミサイル工場、ナタンツに所在する核開発施設、核科学者の住居などが標的とされた。報道によれば、イラン軍参謀総長のモハメド・バゲリ氏、IRGC総司令官のホセイン・サラミ氏、IRGC空軍司令官のアミール・アリ・ハジザデ准将、精鋭部隊であるゴッズ部隊の司令官エスマイル・カーニ氏を含む多数の軍高官が死亡したと報告されている。その他、核科学者や軍関係者の死亡、民間人の巻き添えも報告されている。ナタンツの核施設においては火災が確認されているが、放射能漏洩などの被害については現時点では不明である。

攻撃の目的

今回の攻撃に関して、イスラエルは「イランが数日以内に核爆弾を製造可能である」と判断し、これを阻止するために行動したとされている。ネタニヤフ首相は声明において、攻撃の目的を以下のように述べた。

「イランは長年にわたり、イスラエルの破壊を公然と呼びかけてきた。また、核兵器開発プログラムを推進しており、最近では高濃縮ウランの生産量が9つの原子爆弾分に達している。さらに、ウランを兵器化するための段階を進めており、1年以内、あるいは数ヶ月以内に核兵器を生産する可能性がある。80年前、ユダヤ人はナチス政権によるホロコーストの犠牲者となった。今日、イスラエルはイラン政権による核ホロコーストの犠牲者になることを断固として拒否する。イスラエルは、イランの核濃縮プログラム、核兵器化プログラム、ナタンズの主要濃縮施設、主要な核科学者、弾道ミサイルプログラムの中枢を攻撃した。これにより、イランの核兵器開発を阻止し、弾道ミサイルによる脅威を軽減することを目的とする。」

そして、イラン国民に向けて以下のように述べた。

イスラエルはハマス、ヒズボラ、シリア、イエメンにおけるイランの代理勢力を打ち破り、レバノンにおいては新政府の樹立を、シリアにおいてはアサド政権の崩壊を引き起こした。これにより、これらの地域の人々はより良い未来を得る機会を得た。イスラエルの戦いはイラン人民に向けられたものではなく、46年間彼らを抑圧してきた残酷な独裁政権に対するものである。イスラエルとイランの二つの古代の民の間の偉大な友情が再び繁栄する日が近づいていると信じている。

そして、アメリカのトランプ大統領に対して以下のように感謝の意を示した。

トランプ大統領がイランの核兵器プログラムに対抗するリーダーシップを発揮したことに感謝し、彼の明確な姿勢がイランの核濃縮プログラムを阻止する上で重要であると述べた。

アメリカは関与を否定

今回のイスラエルによるイランへの先制攻撃に対して、アメリカは直接的な関与や支援は行っていないと公式に表明した。米国務長官マルコ・ルビオ氏は、「イスラエルは単独で行動した」と明言している。トランプ大統領は、攻撃が「十分にあり得る」と容認的な立場を示しつつも、「外交解決を望む」と繰り返し強調し、攻撃には関与しない姿勢を維持してきた。しかし、トランプ政権は今年2月、イスラエルに対し、爆弾や弾薬、空対地ミサイル、バンカーバスターなど計約74億1000万ドルの武器売却を承認した。今回のイラン攻撃にはこれら米国製兵器が使用されており、イスラエルには間接的な後方支援や防衛態勢の保障が継続されている。アメリカはイスラエルによるイラン攻撃を事前に把握しており、イラク、クウェート、バーレーンなどから外交・軍関係者の家族を退避させていた。攻撃を静観し、トランプ政権幹部は攻撃をリアルタイムで見ていたとされる。トランプ大統領は当初「外交の余地を残すべき」と制止していたが、最終的に「イスラエルは自衛のために行動した」と表明した。

イランの核開発は加速か

今回の攻撃によってイランの核開発が停止または中断するかというと、そうはならないと推測されている。ナタンツの核施設は火災が確認されているが地下濃縮施設は、地中50mに設置され、厚さ約7.6mのコンクリートシールドで保護されている。また、過去の攻撃やサイバー攻撃を教訓に、核施設を地下に分散させており、最新施設は「超深層地下化」されており、従来の貫通兵器では破壊が困難とされている。核科学者が死亡したとも伝えられているが、他の科学者や海外の技術者ネットワークは維持されているとされる。むしろ、今回の攻撃で核開発を加速化させる懸念がある。

これまでの経緯を鑑みればイランの報復は不可避であり、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派も動員した攻撃が懸念される。ネタニヤフ首相も攻撃は数日間に渡ると明言しており、今後も攻撃が続くと予測され、国内外では「これが全面戦争への道を開くのでは」との懸念も生じている。

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