

イスラエル軍によるイランへの大規模攻撃が続く中、イランの防空システムの約80%を破壊し、イラン上空の制空権を「ほぼ掌握した」と発表した。これは、イスラエル空軍機がイラン領空内で比較的自由な作戦遂行能力を持っていることを示唆している。一方、イラン空軍はまだ多数の戦闘機を保有しているにも関わらず、大規模な航空機による迎撃行動をほとんど行っていないとされる。
The Iranian regime's ability to impact U.S. forces and regional partners is rapidly declining, while American combat power continues to build. pic.twitter.com/21TXHbWwFi
— U.S. Central Command (@CENTCOM) March 5, 2026
開戦初期の段階で、イスラエルはイランの防空網の中枢を狙った集中的な攻撃を実施したとされる。具体的には、レーダー施設、地対空ミサイル(SAM)サイト、そして航空基地などが主要な攻撃目標となった。特に、首都テヘラン近郊のメヘラバード国際空港(Mehrabad International Airport)や、軍事的に重要な拠点である中部イスファハン空軍基地(Isfahan Air Base)などが標的となったことが報じられている。航空機の離着陸に不可欠な滑走路や、作戦継続に必須の燃料施設を破壊するこれらの攻撃は、イランの航空戦力を迅速かつ効果的に無力化する上で極めて有効な手段であったといえる。


今回の戦闘において、イスラエル空軍の保有するステルス戦闘機 F-35I Adir が、イラン空軍の練習機兼軽攻撃機である Yak-130 を撃墜したという報道は、航空戦史における象徴的な出来事として特筆される。これは、F-35による初の有人機撃墜事例とされ、最新鋭の第5世代戦闘機が、旧式ではあるものの現役の有人機を圧倒したことを示すものとして、世界の軍事専門家の間で大きな関心を集めた。
イラン空軍の現状と課題
‼️‼️Iranian state media released a video announcing plans to bomb U.S. bases in the region using F-4 Phantom jets.
— The Battlefield (@TTheBattlefield) March 1, 2026
Iran still operates aging U.S.-made F-4 Phantom II jets acquired before 1979, with roughly 60 aircraft believed to remain in service.
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イスラエル・アメリカの攻撃にもかかわらず、イラン空軍が完全に壊滅したわけではない。イランは依然として約300機規模の航空戦力を保有していると推定されている。しかし、その主力機のラインナップは、米国製の F-14 Tomcat、F-4 Phantom II、F-5 Tiger II、そしてロシア製の MiG-29 など、主に1960年代から1980年代にかけて設計・導入された旧式機が大半を占める。これらの機体は、イスラエルが運用する最新鋭のステルス戦闘機や高度な電子戦能力を持つ機体群と対峙するには、性能面で決定的な劣位にあると指摘されている。イラン空軍の運用能力が長年にわたり制約を受けてきた背景には、1979年のイラン革命以降の米国との関係断絶がある。これにより、主力機であった米国製戦闘機の部品供給が途絶し、機体の維持・整備が困難になった。さらに、パイロット育成プログラムの停滞も相まって、空軍全体の即応能力が低下しているとされる。
イスラエルの情報優位性
イスラエルは、航空戦を有利に進めるための重要な要素として、高度なネットワーク戦闘能力を保持している。その中核を担うのが、空中早期警戒機(AEW)であるガルフストリーム G550 CAEW だ。この機体は、広範囲の空域を常時監視し、収集した情報をリアルタイムで戦闘機部隊に共有・指揮する能力を持つ。実質的にこのような早期警戒機を持たないイランにとって、戦場における情報収集、指揮・統制、そして状況認識の面で、イスラエルとの間には埋めがたい「情報格差」が生じている。
イランの防空戦略:航空機よりも地対空システム
イランの防空戦略は、そもそも航空機による迎撃を主要な柱とはしていない。むしろ、地上配備型の防空システムを重視する構造となっている。その中心をなすのは、ロシア製の長距離地対空ミサイルシステム S-300 や、国産化された長距離SAMである Bavar-373 などのシステムであり、空軍機はこれらの地上防空網を補完する補助的な役割に留まるとされてきた。この戦略的選択も、今回の戦闘におけるイラン空軍の消極的な動きの一因となっている可能性がある。
温存される虎の子Su-35戦闘機


イランには、依然として「切り札」とも言える戦闘機が存在する。それが、ロシアから導入された最新鋭の第4++世代戦闘機 Sukhoi Su-35 である。導入数は十数機程度とみられているが、現時点では大規模な作戦行動に投入されたという公的な報道はない。軍事専門家の間では、この機体は数が極めて限られているため、イスラエル空軍との交戦による撃墜リスクを避ける目的で、戦略的に温存されている可能性が高いという見方が有力である。
今回の紛争において、イランの戦争遂行能力を支える中心的な戦力は、航空機ではなく、むしろミサイルと無人機(ドローン)である。イランは、自爆型無人機「シャヘド」シリーズをはじめとする膨大な数のドローンを保有しており、その弾道ミサイル戦力は中東地域で最大級とされる。これらのミサイルや無人機は、地下施設などへ分散して保管・配備されているため、イスラエルによる空爆だけでその戦力全体を完全に無力化することは極めて困難である。このため、今回の戦争は、航空機同士のドッグファイトを中心とする古典的な航空戦よりも、ミサイルやドローンによる遠距離攻撃の応酬が主要な戦闘形態となるとの見方が強まっている。イスラエルが局地的ながら制空優勢を確保したとしても、それだけではイランの核となる軍事能力を失わせるには至らないからだ。
制空権を確保した今、今後の戦局を左右する大きな焦点は、地下に建造されたミサイルと無人機拠点を如何に無力化するかになる。
