トランプ大統領、ウクライナへの軍事支援を停止!その影響は

Whitehouse

ドナルド・トランプ大統領は3日月曜日、ウクライナへの軍事援助を一時停止したとホワイトハウスが発表した。喧嘩別れに終わったトランプ政権が求めるロシアとの和平交渉に同意するようゼレンスキー大統領に圧力を強めた形だ。アメリカはウクライナ最大の支援国であり、軍事援助の停止はどのような影響があるのだろう。

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アメリカメディアの報道によると3日月曜、ホワイトハウスはトランプ大統領がウクライナへの軍事援助を全て停止したと発表した。これは2月28日に行われたトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談の結果をうけてのものだ。両首脳は会談でウクライナの鉱物資源の開発を巡る合意文書に署名、米国の仲介のもと、ロシアとの停戦へ向けた協議を始めるステップになる予定だったが、記者団の前でゼレンスキー氏がロシアとの外交による解決について質問。これにバンス副大統領が「あなたは無礼だ」と批判し、口論に発展。トランプ氏も参戦し、ゼレンスキー氏に「第三次世界大戦を賭けている。あなたにカードはない」と批判し、結局、合意文書に署名することなく喧嘩別れに終わった。会談後、トランプ大統領はウクライナへの軍事支援を停止する可能性を示唆していたが、それを実際に行動に移した形だ。

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アメリカはウクライナへの最大の支援国であり、2022年から2024年までの3年間で1190億ドルを支援している。2位はEUで521億ドル、3位はドイツで181億ドル、4位はイギリスの154億ドル、5位が日本で110億ドルになり、アメリカが突出していることが分かる。ウクライナ援助の額には、財政支援(融資、助成金など)、人道援助も含まれているので、全てが軍事支援ではないが、アメリカの援助額の約半分が軍事支援になる。予算委員会によると、米国議会は、ロシアによるウクライナ侵攻以降、総額1750億ドルのウクライナ支援を承認している。これは全てバイデン政権時に承認されたもので、退任直前の12月に、安全保障と予算支援にさらに59億ドルを投入すると発表していた。

ウクライナへの武器支援は、2つのプログラムを通じて実行されており、1つは大統領が議会の承認を必要とせずに米国が保有する武器や装備を外国に迅速に移転することを許可する「大統領在庫引き出し権限(PDA)」、もう1つはウクライナの防衛能力を向上させるための訓練、装備、および助言活動を行う「ウクライナ安全保障支援イニシアティブ(USAI)」になる。英メディアのガーディアンによれば米国はPDAを通じてウクライナに総額317億ドル相当の武器援助を約束しており、ロイターの分析によると、その大部分200億ドルを優に超える支援はすでに出荷されている。

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では、今回の軍事援助停止でどれだけ影響があるかというと、ニューヨークタイムズ紙の報道によれば、計画中および発注済みの10億ドル以上の武器と弾薬に影響するとされ、ウクライナに移送のため、隣国ポーランドに送られているものも移送が停止されているが、これらの内容は不明だ。

アメリカはこれまで3基のパトリオット、12基のNASAMSの両防空ミサイルシステム。3000発のスティンガー防空ミサイル、1万発以上のジャベリン対戦車ミサイル、31両のM1エイブラムス戦車、40台以上のHIMARS、300両以上のブラッドレー歩兵戦闘車、400両以上のストライカー装甲車、200門以上の155mm榴弾砲などを供与してきた。また、欧州が供与しているF-16戦闘機で使用するミサイルや支援パーツも供与している。停止が長引けば米国製兵器のスペアパーツの入手が難しくなり、稼働率が低下する恐れがある。また、これまで長距離射程と精密打撃でウクライナ軍を支えてきたHIMARSのロケット弾の補給がもし無くなればウクライナ軍は戦術の転換を強いられる。HIMARSのロケット弾は最大射程90km、GPS誘導の下、後方のロシア軍拠点を攻撃。昨年から射程150kmのER GMLRS、そして300kmの弾道ミサイルATACMSも供与され、その攻撃範囲を拡大させていた。これが無くなればロシアは後方を気にする必要がなくなる。数が揃いつつあるF-16戦闘機も生産元のアメリカの支援なしでは稼働率の低下は否めない。

政府高官は今回の軍事援助停止を永久的な物ではないと明言しているが、トランプ政権は軍事援助の再開について、ゼレンスキー大統領による前回の会談についての公式謝罪、ウクライナの鉱物資源の開発を巡る合意文書に署名、米国が提示する停戦条件をのむことを求めているとされる。

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