

ロシア国内の空軍基地で、極めて異例かつ深刻な航空事故が発生しました。駐機中の軍用機内で射出座席が突発的に作動し、搭乗していた乗員2名が死亡したと、複数の海外情報筋が報じています。この事故は、ロシア航空宇宙軍における安全管理体制の脆弱性を改めて浮き彫りにするものであり、大きな波紋を広げています。
В России катапульта ударила пилотов бомбардировщика о бетонный ангар: все погибли
事故は12月上旬、爆撃機航空連隊が所属する基地内の強化コンクリート製格納庫内で発生しました。犠牲となったのは、前席のパイロットと後席の兵装システム士官(ナビゲーター)の2名です。機体の整備作業中、もしくは飛行前の地上手順の確認といったルーティンワークを行っていたとみられる状況下で、技術的または人的要因により射出座席システムが予期せず作動。強力なロケットモーターで加速された座席は、乗員が着座したまま格納庫の低い天井に激しく激突し、両名は即死したとされています。機種は明らかにされていません。
今回の事故が特に深刻視されるのは、非常時である「飛行中や滑走時」ではなく、「安全であるはずの地上・格納庫内」で射出座席が作動した点にあります。現代の射出座席には、地上での誤作動を防ぐための複数の機械式・電気式の安全装置(セーフティロック)や、整備時の安全ピンが装備されています。これらの複数の安全機構が機能しなかった可能性が極めて高いと指摘されています。また、射出座席は高度と速度がある状態で開傘するように設計されているため、今回のような地上、ましてや屋内での射出はパラシュートが開くための十分な空間がなく、天井や構造物との衝突により生存率は著しく低くなります。


ロシア軍の航空機では、過去にも地上での射出座席誤作動事故が発生しており、老朽化した機体の保守管理体制への懸念が深まっています。象徴的な例として、2021年3月にTu-22M3超音速爆撃機で発生した事故があります。離陸前のエンジン始動中に射出システムが突然作動し、乗員4名中3名が死亡しました。今回のケースも、ソ連時代の設計に基づく機体群における射出システムの信頼性という、構造的な問題の可能性を示唆しています。
現時点(12月上旬の報道時点)で、ロシア国防省は事故に関する詳細を公式には明らかにしていません。関与した機体種(Su-24またはSu-34といった乗員2名運用の戦闘爆撃機の可能性が示唆される)、基地名、直接的な原因は不透明なままです。ロシア航空宇宙軍は事故調査委員会を派遣し、射出システムの技術的欠陥、整備ミス(安全ピンの取り扱い)、乗員の操作上の誤り、機体の老朽化など、多角的な観点から原因究明を進めています。
