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2008年以来!イギリス本土への米国製核兵器B61戦術核爆弾再配備

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USAF

米国が2008年に英国本土から撤去していたB61核爆弾数発を再び英国に移譲したと報じられている。これは、ロシアがカリーニングラードやベラルーシに戦術核を配備するなど、欧州の安全保障状況が悪化していることに対抗するための措置とされている。

U.S. Air Force deploys B61-12 nuclear bravity bombs to UK, media reports say

海外メディアの報道によると、7月20日、ニューメキシコ州カートランドにある米空軍核兵器センターから出発した米空軍のC-17グローブマスターIII輸送機が、イングランド東部サフォークのレイクンヒース空軍基地に着陸した。この輸送機は、核兵器輸送を許可されている米空軍の輸送部隊である第62空輸航空団の所属機であり、数発のB61-12核爆弾が英国に持ち込まれたとされている。英国国防省やスターマー政権は、この件に関して「不確認」という方針を貫き、明言を避けている。しかし、英国は2025年6月に実施した「戦略防衛見直し(Strategic Defence Review)」において、空中核能力の再導入を明文化していた。また、7月10日には核保有国である英仏間で初となる「核抑止連携宣言(Northwood Declaration)」を締結し、欧州の核防衛協調を強化しており、核抑止力の強化は既定路線であった。

レイクンヒース基地は、冷戦時代に米国の戦術核兵器を収容していた歴史を持つ場所である。イギリス空軍の基地ではあるが、在欧アメリカ空軍の第48戦闘航空団のみが駐留しており、実質的に米空軍基地として運用されている。2026年には米空軍の核兵器基地となることが決定しており、2024年1月からは「高価値資産」を守るための施設改修が進められている。

2008年にB61核爆弾が英国本土から撤去されて以来、英国の核兵器はトライデント潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載するヴァンガード級原子力潜水艦のみとなっていた。しかし、ロシアの脅威が高まる中、2025年6月にB61-12核爆弾を搭載可能なF-35A戦闘機12機の導入が決定され、空中核部隊を復活させる動きが加速した。これにより、ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、トルコといった他のNATO核共有国に加え、英国も核爆弾の前方配備地点として再び加わることで、ロシアに対する抑止効果を高める狙いがあるとされている。

B61戦術核爆弾

B61は1960年代に開発が始まり、1966年から配備が始まった核爆弾である。これまでに12のモデルが開発されており、最新型は2021年に開発されたB61-12である。その前身であるmod11は1997年に開発され、地中貫通爆弾として設計された。これにより、地下のより限定された領域内で起爆させることで爆風半径を制限し、被害範囲をピンポイントに絞り、地表の被害を軽減することが可能となった。信管の設定によっては地表で起爆させることも可能だ。威力は0.3キロトンから50キロトンの範囲を持ち、最大威力は1945年に米国が日本の広島に投下した原子爆弾「リトルボーイ」の約15キロトンの爆弾の約3倍の威力になる。
B61-12では、無誘導爆弾に精密誘導能力を付加する装置である「JDAM(Joint Direct Attack Ammunition)」が追加された。これにより、これまでの不正確な自由落下に対し、慣性航法システム、GPS、レーザーなどを用いたピンポイント爆撃が可能になっている。B61はこれまで3000発以上が生産されてきたが、B61-12の核弾頭は古くなった3、4、7、11の弾頭の一部を再利用・改修して使用される。B61-12はF-35Aのほか、B-2、F-15EX、F-16にも搭載できるよう設計されている。

NATOでの配備状況

現在、NATO加盟国間では「核共有(Nuclear Sharing)体制」の一環として、ドイツのビューヘル空軍基地に推定20発前後、イタリアのアヴィアーノ空軍基地とガディ基地に推定30~40発、ベルギーのクライネ・ブローゲル空軍基地に推定20発、オランダのフォルケル空軍基地に推定20発、トルコのインジルリク空軍基地に40~50発が配備されているとされ、欧州に配備されているB61核爆弾は推定約100~150発とされる。これらの国々は、NATOの核抑止の一部を分担する役割を持ち、緊張時には米国の承認下で核兵器を運用できる枠組みにある。ただし、核兵器の所有権および管理権は米国にあり、平時は米空軍が管理している。

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