

米国陸軍は、防衛関連スタートアップ企業Epirus社が開発した高出力マイクロ波兵器「Leonidas(レオニダス)」を用いた画期的なデモンストレーションに成功しました。この兵器は、一度に49機ものクワッドコプター型ドローンを無力化するという、これまでの防空システムでは考えられなかった能力を実証し、将来の対ドローン防衛におけるゲームチェンジャーとなる可能性を示しました。
このデモンストレーションはインディアナ州のキャンプ・アッターベリーで実施され、米軍関係者や同盟国の代表者が立ち会いました。公開された映像こそありませんが、目撃者によると、ドローンの群れ(スウォーム)がまるで虫に電流が流れたかのように一斉に墜落し、その様子を見た関係者からは大きな喝采が送られたと報告されています。これは、個々のドローンを標的とする従来の防空システムとは一線を画す、Leonidasの圧倒的な同時無力化能力を物語るものです。
指向性エネルギー兵器(DEW)の革新
This is not "unstoppable."
— Epirus (@epirus) June 3, 2025
Overcoming the asymmetric challenges inherent to the future of national security is @Epirus' mission. https://t.co/e4kYwb3GPm pic.twitter.com/Ii2YMgQy1V
Leonidasは、指向性エネルギー兵器(Directed Energy Weapon:DEW)の一種であり、高出力マイクロ波(HPM)を照射することで、ドローンの電子機器を直接破壊し、機能を停止させます。従来のレーザー兵器や対空ミサイルが抱える課題、すなわち単一の目標しか攻撃できない、あるいはコストが高いといった問題を克服しています。Leonidasの最大の強みは、複数のドローンに同時に攻撃可能な点にあります。さらに、ソフトウェア制御によって敵ドローンのみを狙い、味方機には影響を与えない設計になっているため、複雑な戦場環境下でも安全かつ効果的に運用できます。


Leonidasは、弾薬やミサイルのような物理的な制約がありません。電力供給さえあれば、無限にマイクロ波を照射し続けることが可能です。これにより、ドローン1機あたりの撃墜コストはわずか数セント、つまり1ドル未満と見積もられており、従来のミサイルによる撃墜コストと比較して、驚くほど低い費用で運用できます。これは、低コストかつ大量生産が可能なドローンの脅威が深刻化する現代において、経済的な面からも極めて重要なメリットとなります。
Epirus社は現在、陸軍向けの基地設置型に加え、可搬型、さらにはUAV(無人航空機)搭載型など、複数の形式のLeonidasを開発中です。これにより、固定基地の防衛から、機動的な部隊の保護、さらには空中からの広範囲な対ドローン作戦まで、様々なシナリオでの活用が期待されています。
低コストドローンの脅威が世界的に増大する中、高出力マイクロ波兵器「Leonidas」の実用化は、防空システムのあり方を根本から変え、将来の戦場における「ゲームチェンジャー」となる可能性を秘めています。この技術の進展は、ドローンによる脅威への新たな、そしてより効果的な対応策を提供することになるでしょう。
