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米海兵隊、次世代小型攻撃ドローン「Rogue 1」を大量導入へ!戦術レベルの精密打撃能力を強化

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©Teledyne FLIR Defense

米海兵隊は、戦術レベルでの精密打撃能力を劇的に向上させるため、次世代の小型攻撃ドローンである「Rogue 1(ローグ・ワン)」の大量導入に向けた大規模な契約を締結しました。これは、現代の戦場において小型無人機が果たす役割の増大に対応し、海兵隊の歩兵部隊に即応性の高い独自の火力を付与することを目的としています。

Teledyne FLIR Defense Awarded $42.5 Million Drone Contract for U.S. Marine Corps Organic Precision Fires-Light Program

米海兵隊システムコマンド(MCSC)は、防衛関連企業であるTeledyne FLIR Defenseとの間で、総額約4,250万ドル(日本円で約60億円)に上る契約を発注しました。この契約に基づき、600機を超えるRogue 1無人航空システム(loitering munition、滞空弾)と関連機器が、今後数年間をかけて海兵隊の各部隊に配備される予定です。部隊配備は2026年夏頃から開始される見込みであり、海兵隊の戦術的な有効性が大きく向上すると期待されています。

「OPF-L」計画の中核を担うRogue 1

Rogue 1は、米海兵隊の新たな火力計画である「Organic Precision Fires-Light(OPF-L)」に基づき、厳格な選定プロセスを経て採用された兵器システムです。OPF-L計画の核心は、小隊・中隊レベルの歩兵部隊が、従来の砲兵や航空支援に依存することなく、独自に高度な精密打撃能力を持つことを可能にすることです。この自律的な火力の発揮能力を強化することで、前線における迅速な対応と戦術的優位性の確保を目指しています。Rogue 1は、「loitering munition(滞空弾)」と呼ばれるカテゴリーに分類されます。これは、指定された空域を長時間飛行(滞空)しながら標的を捜索・捕捉し、発見次第、機体そのものが標的に突入して直接攻撃を行うよう設計された無人機です。

1. 携行性と迅速な展開能力

Rogue 1の最も際立った特徴の一つは、その軽量性携行性です。

  • 機体重量: 約4.5kg(約10ポンド)と非常に軽量であり、一個の海兵隊員が直接携行して戦場に持ち運ぶことができます。
  • VTOL機能: 垂直離着陸(VTOL)機能を備えているため、専用の複雑な発射装置を必要としません。これにより、狭い地形や前線などの制約された環境においても、迅速かつ容易に展開することが可能です。

2. 高い攻撃能力とモジュール式のペイロード

Rogue 1は、演習において、移動中および静止中の装甲車両、軟装甲車両、そして非搭載目標など、多様な標的に対する高い効果を発揮することが実証されています。

  • モジュール式弾頭: オペレーターは、標的のタイプに応じて設計されたモジュール式のミッション固有のペイロードを搭載できます。これにより、対人用の破片効果弾頭(フラグメンテーション)や、軽装甲車両を貫通するための成形炸薬弾頭(EFP)など、様々な致死効果を柔軟に選択可能です。
  • 精密照準: ジンバル式ペイロードに搭載されたセンサーと弾頭の独自の組み合わせにより、極めて正確な照準を可能にします。

3. 高度な偵察・監視能力

攻撃ドローンでありながら、Rogue 1は優れた偵察・監視プラットフォームとしての役割も果たします。

  • 先進的なカメラシステム: 先進的な電気光学式カメラと、高性能なFLIR Boson® 640+サーマルカメラを搭載しており、昼夜を問わず長距離の偵察・監視を行うことができます。これにより、戦況に応じた精密な情報収集能力を提供します。

4. 高度な飛行性能と自律性

  • 飛行時間・航続距離: 30分の飛行時間10km以上の航続距離、そして時速110kmの速度性能を持ちます。
  • 自律性と耐性: GPSが利用できない環境や電子戦(EW)環境下においても、高度な自律性耐性を発揮するように設計されています。

5. 再利用を可能にする安全機能

Rogue 1の革新的な特徴の一つは、未使用時や攻撃ミッションを中止した場合に、機体を安全に回収して再利用できる機能を備えている点です。

  • 安全な帰投: 高度な起爆システムを搭載しており、標的からの離脱やミッション中止の際、機体をオペレーターの元に安全に返却することができます。
  • 運用の持続性: この再利用機能により、無駄な消耗を抑え、運用コストを低減できるため、部隊の戦闘継続能力(持続力)を高める効果があります。また、海兵隊員の携行重量の軽減にも貢献します。

米海兵隊がRogue 1の大量導入を急ぐ背景には、近年の世界各地の紛争、特にウクライナや中東などにおける戦訓があります。これらの紛争において、小型の滞空弾(loitering munition)が、単なる偵察だけでなく、攻撃においても極めて高い効果を上げていることが証明されました。戦術レベルでの無人機活用の有効性が再認識された結果、米軍は戦術を、自律性と迅速な対応能力を重視する方向へと大きくシフトさせています。Rogue 1の導入は、この戦略的シフトの一環と位置付けられ、海兵隊の歩兵単位での即応火力を抜本的に強化するものとなります。これにより、海兵隊は、より柔軟かつ独立して作戦を遂行できる能力を獲得することになります。

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