

ウクライナ保安庁(SBU)の特殊部隊の狙撃手が、3,800m先のロシア兵の狙撃に成功し、狙撃の世界記録を更新したとウクライナメディアが報じました。これまでの世界記録はカナダ軍の狙撃手が樹立した3,540mでした。
SBUは、「SBUのスナイパーは、狙撃の世界基準を書き換え、驚異的な距離で効果的に作戦行動する比類のない能力を示しています」と述べています。公開された狙撃の映像では、発砲から約11秒後に標的と思われる人影が倒れる様子が確認できます。ウクライナ側の発表によれば、狙撃地点から標的までの距離は3,800mで、これは2017年5月にイラクでカナダ軍特殊作戦司令部JTF-2所属のスナイパーが記録した3,540mの記録を200m以上更新するものです。この時の着弾までの時間が10秒とされているため、今回の11秒という着弾までの時間と距離は整合性が取れています。ウクライナでは昨年11月にも、別のスナイパーが当時世界3位となる2,710mの狙撃記録を達成しており、この戦争でウクライナのスナイパーが狙撃記録のトップ5に2名ランクインしたことになります。


使用したライフルはLord of the horizon rifle
今回使用された「Lord of the horizon rifle」は、ウクライナのMAYAK兵器工場が開発した国産の超長距離ライフルです。その名の通り「地平線の主」として、遠方の標的を狙うことを可能にします。このライフルはボルトアクション式の対物ライフルで、単発式と8発装填のマガジン式の2タイプがあります。単発式の重量は15.5kg、マガジン式は17kgです。伸縮式のストックを備え、全長は1,520~1820mm、バレル長は1050mmです。
弾薬はNATO標準の12.7×99mm弾やロシア規格の14.5x114mm弾も使用可能ですが、最高の精度と最大射程を発揮するのは、特殊な12.7x114HL弾(HLは「Lord of the horizon」の略)です。この弾丸は2,700mにわたり超音速を維持します。メーカー公称の最大有効射程は3,100mですが、今回達成された記録はこれを700mも更新しています。
ウクライナでは他にも、Snipex社が14.5×114mm口径の対物ライフル「T-Rex」と「Alligator」を開発し、戦場で数々の戦果を挙げています。これらのライフルも3000m前後の狙撃が可能とされています。


