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米空軍、死亡事故を受け、M18拳銃の使用を禁止

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USAF

米空軍地球規模攻撃軍団(AFGSC)は、ワイオミング州のFEウォーレン空軍基地で発生した治安部隊員の死亡事故を受け、兵士に支給されているSig Sauer社製M18拳銃の使用を一時的に禁止した。この措置は、M18に関連する安全性への懸念が高まる中、迅速な対応として実施された。

Air Force Command Pauses Use of M18 Handguns After Security Airman’s Death

FEウォーレン空軍基地の発表によると、第90治安部隊飛行隊に所属する現役の治安部隊空軍兵が7月20日日曜日の早朝、任務中に基地内で死亡した。現時点では、死亡した兵士の身元や詳細な死亡状況は明らかにされていない。しかし、この悲劇的な出来事を受け、AFGSCは翌7月21日付けで、9mm口径拳銃であるM18の即時使用停止命令を発令した。

司令部は声明の中で、全司令部基地の治安部隊員に対し、「M18拳銃の全数検査を実施し、緊急の安全上の懸念事項を特定する」よう指示したことを明らかにした。さらに、AFGSCは空軍保安部隊センターおよび空軍保安部隊本部と緊密に連携し、「M18の徹底的な調査を実施し、適切な是正措置を講じる」と述べている。この調査には、M18の製造元であるSig Sauer社も協力の意向を示しているという。

M18拳銃

米空軍はただでさえ小さいM18をよりコンパクトにしたいとかんがえていま

M18は、ニューハンプシャー州に拠点を置く著名な銃器メーカーであるSig Sauer社が開発・生産するP320の米軍仕様モデルである。米軍は1980年代後半から配備されてきたベレッタM9ピストルの後継拳銃として、2017年にM17とそのコンパクト版であるM18の採用を決定した。

M17/18の配備は2019年に米陸軍から始まり、その後、海兵隊、海軍、空軍と全軍へと拡大された。航空機を主力とする空軍は、陸軍や海兵隊とは異なり、銃器を戦闘で使用する機会が比較的少ない。そのため、火力や装弾数よりも取り回しの良さを重視し、コンパクト版のM18を採用した経緯がある。M18は、そのコンパクトなサイズと軽量性から、パイロット、航空要員、基地の治安部隊員や憲兵にとって特に有用であると考えられていた。

P320(M18のベースモデル)に関する過去の問題と訴訟

M18のベースとなっているP320は、Sig Sauer社の人気商品であり、2014年から市販されている。しかし、このP320は、引き金を引かなくても発砲する事故が複数報告されており、これまでに複数の訴訟が提起されてきた。Sig Sauer社は、これらの問題に対応するため、2017年にトリガーの重量軽減などを含む自主的なアップグレードを提供した。しかし、その後も同様の事故が発生し続けた。同社は一貫して、P320は安全な銃器であり、問題は使用者の誤操作に起因するものであると主張し、P320自体の不具合を否定している。実際に、同社はいくつかの訴訟で勝訴している事例もある。

現時点でのM18の一時使用停止は、治安部隊の3万3700人以上の空軍兵と関連する民間人に限定されている。空軍の他の部隊や他の軍隊には、拳銃の使用を控えるよう命令は出ていない。米空軍は合計12.5万挺のM18の調達を計画しており、基地の治安部隊や憲兵から優先的に配備を進めていた。

今回の事故とそれに伴う使用停止措置は、M18の安全性、特に過去に報告されたP320の発砲事故との関連性について、改めて大きな注目を集めることとなるだろう。徹底的な調査の結果、M18に何らかの設計上または製造上の欠陥が発見されれば、大規模な回収や改修、あるいは全面的な使用停止といった措置が講じられる可能性もある。空軍、Sig Sauer社、そしてP320/M18のユーザーにとって、今後の調査の行方は非常に重要となる。

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