MENU
カテゴリー

米国、ウクライナにトマホークミサイルの供与検討!トランプ大統領の承認待ち

  • URLをコピーしました!
トマホークミサイル供与の噂もトランプは否定!米国はウクライナに何を送るのか?
US Navy

米国はウクライナへのトマホーク巡航ミサイル供与を検討しており、最終決定はトランプ大統領に委ねられています。このミサイルは1600km以上の射程を持ち、実現すればウクライナはロシア深部を攻撃可能な強力な攻撃能力を獲得することになります。

複数の米メディアが28日に報じたところによると、ヴァンス副大統領はテレビ番組で「トマホークミサイルのウクライナへの供与案を検討しており、最終判断は大統領が下す」と述べました。これは、今月23日に国連総会に出席したウクライナのゼレンスキー大統領が、トランプ大統領に対しトマホークのような先進兵器のさらなる提供を求めた後の発言です。ヴァンス副大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻が最近領土獲得がほとんど見られず停滞しているとの認識を示しました。トランプ大統領自身も「ウクライナはロシアから奪われた領土を取り戻すべきであり、その可能性は十分にある」と述べています。

また、その数日前にはNATO加盟国と米国が創設した枠組みである「優先ウクライナ要求リスト(PURL)」に基づき、パトリオットミサイルと高機動性ロケット砲システム(HIMARS)の供与が決定されました。HIMARSのパッケージには射程300kmのATACMS弾道ミサイルも含まれるとされており、米国からの武器提供が活発化しています。

BGM-109 トマホーク巡航ミサイルの能力

BGM-109トマホーク巡航ミサイルは、長距離・精密打撃能力を持つ亜音速巡航ミサイルであり、主に米海軍によって運用されています。最新型のBlock IVおよびVは1,600km以上の射程を持ち、これはウクライナの首都キーウからモスクワまでの直線距離約755km、また最も近いウクライナ国境からモスクワまでの約450kmという距離を考慮すると、モスクワを含むロシア深部の重要目標を射程に収めることを意味します。最高速度は890km/hで、地形追従飛行によりレーダー探知を回避する能力も備えています。

トマホークは基本的に艦艇に搭載して運用されますが、地上発射型も存在します。1987年の「中距離核戦力全廃条約(INF条約)」締結に伴い全廃されましたが、2019年のINF条約失効により、再び配備が可能になりました。現在、米陸軍はSM-6対空ミサイルとトマホークミサイルが発射可能な「Typhon Weapon System」を配備しており、今年9月には日米合同演習「レゾリュート・ドラゴン2025」の一環として、日本の岩国基地に初めて「Typhon」が展開されました。この「Typhon」の展開は、中国の首都北京やロシア極東の最大都市ウラジオストクを射程に収める可能性があり、両国から強い反発を招いています。

供与の戦略的意義とリスク

トマホークのウクライナへの供与は、ロシア深部の重要目標を攻撃する能力をウクライナにもたらすため、「重大なエスカレーション」と見なされるリスクがあります。米国政権は、その軍事的効果と外交的・戦略的コストを慎重に比較検討していると報じられています。8月の米露首脳会談で進展が期待された停戦交渉が、プーチン大統領の消極的な姿勢により停滞している現状において、トランプ大統領はトマホーク供与を「交渉の切り札」として利用し、プーチン氏を再び交渉のテーブルに着かせようとしている可能性も考えられます。

供与実現への課題

しかし、トランプ大統領が供与を承認したとしても、即座にウクライナへトマホークが提供されるわけではありません。実務的には、国務省、国防省、国防安全保障協力局(DSCA)などの複数の機関の関与が必要となり、輸出管理(AECA/ITAR)上の許認可や再輸出要件、場合によっては議会への通報手続きや同盟国との調整も求められます。トマホークは米国の軍事機密であり、米国軍需品リスト(USML)に掲載される重要装備であるため、通常の商業輸出とは異なる厳格な管理下にあります。

NATO加盟国を通じた供与という選択肢もありますが、トマホークを運用するオランダ、英国、カナダはいずれも艦艇用であり、地上発射システムの「Typhon」を保有するのは現在米国のみです。さらに「Typhon」自体も2023年から運用が始まったばかりの比較的新しい兵器であり、その供与は容易ではありません。これらの複雑なプロセスと課題を乗り越え、中長期的な戦略を見据えた上で、ウクライナへのトマホーク供与が実現するかどうかが注目されます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!