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米海軍原潜がイラン軍艦を魚雷撃沈 スリランカ沖で海戦

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米国とイランの間で緊張が高まる中、中東地域から遠く離れたインド洋で、現代の海戦史において極めて異例な事件が発生した。米海軍の原子力潜水艦が、イラン海軍の最新鋭フリゲート艦を魚雷で撃沈したことが、アメリカのピート・ヘグセス長官によって公にされた。
CENTCOM

米国とイランの間で緊張が高まる中、中東地域から遠く離れたインド洋で、現代の海戦史において極めて異例な事件が発生した。米海軍の原子力潜水艦が、イラン海軍の最新鋭フリゲート艦を魚雷で撃沈したことが、アメリカのピート・ヘグセス長官によって公にされた。

撃沈されたのは、イランが国産技術で開発した「モウジ級フリゲート」(Moudge-class frigate)の一隻である「IRIS Dena」である。潜水艦による魚雷攻撃で現役の軍艦が戦闘中に沈没するという事態は極めて稀であり、米海軍の潜水艦が敵艦を撃沈したのは、第二次世界大戦終結以来の出来事となる。この事件は、米イラン間の紛争の戦線が、中東の主要な海域を越え、インド洋という広大な海域にまで拡大した可能性を示唆しており、国際社会に大きな衝撃を与えている。

撃沈されたイラン海軍フリゲート「Dena」

イランが独自開発したモウジ級フリゲート「IRIS Dena」は、同国海軍の国産化戦略の中核を担い、イランの「遠洋展開能力」を象徴する比較的新しい艦艇。2021年に就役したばかりの同艦は、排水量約1500トン、全長約95メートルで、対艦ミサイルや対潜兵装を装備している。西側の主力フリゲートに比べると小型で、ソナーも基本的な船底装備ソナーに留まり、先進的な可変深度ソナーや曳航アレイソナーは装備されておらず、対潜能力は限定的だ。しかし、イラン海軍にとっては近代艦艇であり、ペルシャ湾、オマーン湾、インド洋での作戦に対応できるよう設計されていた。この「IRIS Dena」の喪失は、イラン海軍が推進する遠洋活動計画に深刻な打撃を与えることになる。

撃沈地点は、なぜ遠くなはれたスリランカ沖だったのか

今回の事件で、戦闘が発生した地点がどこであったかは、非常に重要な意味を持つ。「Dena」が沈没したのは、米イラン間の主な緊張の場であるペルシャ湾やホルムズ海峡から遠く離れた、インド洋のスリランカ南方海域であった。この場所での戦闘は、通常は想定されない地域である。Dena」がこの海域にいた理由は、国際的な海軍行事への参加のためで、イラン海軍は2026年2月、インドで開催された多国間海軍演習「MILAN」に艦艇を派遣しており、これには日本の海上自衛隊の艦艇も参加していた。 「Dena」は、その演習からの帰路にあり、スリランカ沖を通過中に米原潜の攻撃を受けた。この事実は、米国とイランの軍事衝突の地理的範囲が、中東の狭い海域を飛び出し、インド洋の広大な国際水域にまで拡大したことを劇的に示している。

攻撃を実行した米海軍の「見えない脅威」

「Dena」への攻撃を行った潜水艦の艦名は公表されていないが、米海軍の攻撃型原子力潜水艦(SSN)であるとみられている。 米海軍が運用する主力SSNには、「バージニア級」(Virginia-class submarine)、「ロサンゼルス級」(Los Angeles-class submarine)、そして「シーウルフ級」(Seawolf-class submarine)がある。これらはいずれも、高度な静粛性、高性能なソナーシステム、そして長距離魚雷を装備しており、敵艦に探知される前に攻撃を完遂する能力を持つ。

Mk48(US Navy)

今回の攻撃で使用されたのは、米海軍の標準重魚雷であるMark 48(Mk-48)魚雷と発表されている。Mk-48は重量約1.7トンの大型魚雷で、水中で高速航行しながら目標を追尾する能力を持つ。標的艦の真下の水中で爆発することで、船体にかつてない規模の水圧衝撃を発生させ、艦体の構造骨格(キール)を破壊する「キールブレーク」と呼ばれる現象を引き起こす。この方法により、大型の軍艦であっても短時間で戦闘不能に陥り、沈没に至る可能性が高い。

第二次大戦以降の潜水艦による沈没例

今回の事件が国際的に大きな注目を集める理由は、潜水艦が魚雷で現役の軍艦を戦闘で沈没させるという事例が、現代では極めて少ないためである。

  • 第二次大戦後の主な事例:
    • 1971年印パ戦争: パキスタン潜水艦「ハンゴール」がインド海軍フリゲート「ククリ」を撃沈。第二次大戦後、潜水艦が軍艦を魚雷で沈めた最初の公式記録。
    • 1982年フォークランド紛争: 英国の原子力潜水艦がアルゼンチン巡洋艦「ARA General Belgrano」を魚雷で撃沈。近代の潜水艦戦闘の最も有名な事例の一つ。
    • 2010年北朝鮮潜水艇による韓国哨戒艦沈没(天安沈没事件): 北朝鮮の潜水艇が韓国の哨戒艦を魚雷で沈没させたとされているが、北朝鮮側はこれを否定している。

今回の「Dena」撃沈事件は、専門家の間で「第二次世界大戦以降で最も顕著な潜水艦対水上艦戦闘の一つ」と評価されており、潜水艦が持つ戦略的な抑止力と実戦能力を改めて世界に示すこととなった。

イラン側は、「Dena」には約180人前後の乗員が乗艦していたと発表した。スリランカ海軍や沿岸警備隊が直ちに救助活動を実施したが、報道によると数十人が救助されたものの、1000人以上が死亡または行方不明という深刻な人的被害が発生した。この多数の犠牲者は、戦闘が中東の局地戦にとどまらない、国際的な悲劇であることを示している。米国政府は、イランの軍事行動や、同国が推進する核・ミサイル計画に対抗するという立場から今回の攻撃を実行したと表明している。しかし、戦闘が通常想定されない第三国の沿岸に近い国際水域で発生したこと、またトランプ大統領がイラン海軍の「壊滅を狙っている」という強硬な姿勢を示していることから、国際法上の正当性や、中立国海域での軍事行動を巡って各国で激しい議論が巻き起こっている。今後、インド洋、紅海、アラビア海といった広範な海域で軍事的緊張がさらに高まる可能性があり、この「異例の海戦」をきっかけに、国際社会は事態の推移と、拡大する紛争の行方を注視している。

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