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中国の軍事パレードで登場したレーザー兵器「LY-1」とは

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中国が開発する高出力レーザー兵器「LY-1」が、戦勝記念パレードで初めて公開され、大きな注目を集めています。この兵器は、電子装備の無効化、ミサイル、ドローン、航空機の破壊など、多岐にわたる攻撃能力を持つとされています。

2025年9月3日、北京で開催された抗日戦勝80周年を祝う大規模な軍事パレードでは、習近平国家主席をはじめ、26か国の首脳が参列しました。このパレードは、中国の軍事技術の進歩を内外に誇示する場となり、LY-1はその中でも特に目を引く存在でした。大型のレンズを備えたLY-1は、艦載用として開発された大型レーザー兵器とされており、中国の最新の指向性エネルギー兵器(DEW: Directed Energy Weapon)の一つです。

LY-1

LY-1の主な能力としては、光学機器やセンサーの無力化、そしてミサイル、ドローン、航空機といった標的の精密破壊が挙げられます。青いレンズのような装置から発射されるレーザーは、連続照射によって標的を確実に無力化すると言われています。パレードではHZ141型の6輪迷彩トラックに搭載されて登場しましたが、その本来の目的は海軍用であり、海上での航空防御が主眼に置かれています。具体的には、艦艇の近接防空システム(CIWS: Close-In Weapon System)の代替または補完として機能することが期待されています。国営メディアは、LY-1が「海上戦ルールを変える」ほどの戦略的効果をもたらすと報じており、その影響力は計り知れないとされています。
LY-1は、米海軍のLAWS(Laser Weapon System)やイスラエルのIron Beamといった、世界の最先端レーザー兵器に匹敵する能力を持つと見なされています。特に台湾有事においては、対艦ミサイル防御の重要な要素として注目されており、その実戦配備が周辺地域の安全保障に大きな影響を与える可能性があります。しかし、現時点では実戦テスト映像は公開されておらず、詳細なスペックも一切不明であるため、その真の能力や実戦レベルでの有効性についてはまだ多くの疑問が残されています。

中国はLY-1以外にも、複数のレーザー兵器の開発を進めています。

・Silent Hunter: 30〜100 kW級の対ドローン地上型レーザー兵器で、射程は約4km。UAVや薄装甲の標的に対し、多様な攻撃が可能です。

・ZM-87: ポータブルな電気光学ジャミング/眩惑レーザーで、対人および光学センサーの無力化に用いられ、非殺傷用途が中心です。1990年代に開発され、生産は中止されています。

・ZKZM-500: 個人携行型レーザー武器とされており、皮膚を焼き尽くすほどの高火力を持つとの噂がありますが、その実効性には疑問符が付いています。

LY-1は艦載搭載型であるため、大型であり、艦艇の発電システムから供給される電力を考慮すると、射程は数kmに及ぶと推測されます。参考までに、米海軍が開発中のレーザー兵器システム「HELIOS」は150kW以上の出力で、約8kmの射程を持っています。

レーザー兵器は、中国が公表している「鉄の三角(laser + microwave + traditional air-defense)」と呼ばれる防衛戦略の一角を担っています。これは、レーザー、マイクロ波、従来の防空システムを組み合わせることで、短・中距離域の防御態勢を補完する役割を果たすことを意味しています。LY-1の登場は、中国の防衛能力が新たな段階に入ったことを示唆しており、今後の軍事技術開発の動向がさらに注目されます。

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