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ステルス機のF-35はフーシ派のミサイル攻撃で危うく撃墜されるところだった

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USAF

ステルス機のF-35ライトニングII戦闘機がイエメンで活動中にフーシ派のミサイル攻撃を受け、危うく撃墜される寸前だったことが分かった。これを受け、F-35のステルス性能と運用方法に疑問が生じている。

ニューヨークタイムズ紙の12日の報道によると、2025年5月初旬、イエメンでの作戦中に米軍のF-35戦闘機がフーシ派武装勢力の地対空ミサイル(SAM)によって撃墜されそうになる事案が発生した。米国防当局者によると、ミサイルはF-35に非常に接近し、パイロットは緊急回避機動を行って回避した。この事案は、米軍によるイエメンのフーシ派の拠点に対し、大規模な空爆と海上攻撃を行う空爆作戦「オペレーション・ラフライダー」の一環として行われた空中作戦中に起きたものだ。アメリカとフーシ派は今月6日に停戦を発表しており、2025年3月から始まった同作戦は同日に終了している

F-35が空軍のF-35Aなのか、海軍・海兵隊のF-35Cなのかは明らかにされていない。任務内容も不明であり、陸地に近い低高度を飛行していたのか、高高度だっとのか状況は明らかになっていない。しかし、状況はどうであれ、アメリカが誇る最新・最強の第5世代ステルス機が正規軍ではない、フーシ派によって捕捉され、撃墜寸前だった事は世界中の軍事関係者を驚かせた、もし、万が一にでもイエメンで上空でF-35を失っていればアメリカ及び、F-35採用国にとっては大惨事になっていただろう。トランプ大統領は停戦せずに報復としてフーシ派への徹底的な攻撃に踏み切っていた可能性もある。

レーダーに検知されにくいステルス機F-35

F-35戦闘機は、AN/APG-81アクティブフェイズドアレイレーダーに加え、6基の赤外線センサーで構成される分散開口システム(DAS)を搭載しており、全方位360度におけるミサイル探知・追跡能力を有している。また、AN/ASQ-239バラクーダ電子戦システムにより、敵レーダーに対する妨害、赤外線フレアやデコイ等の対抗手段の展開が可能であり、飛来するミサイルの迎撃を実現する。そして、ステルス機であるF-35は、レーダー波を反射するレーダー反射断面積(RCS)を極めて小さく設計しており、レーダーによる探知自体が極めて困難とされる。機体全体は電波吸収材でコーティングされており、ミサイルを含む兵器は基本的に全て機体内のウェポンベイに搭載することで、レーダー波の反射をほぼ抑制している。正確な数値は機密扱いのため公表されていないが、一説によれば、完全なステルスモード時のレーダー反射断面積は約0.001㎡以下、スズメやゴルフボール程度の大きさに相当するとされており、通常のレーダーではF-35を検知することは不可能である。

フーシ派は、ステルス機の微小な反射波を捉え、探知し得る多波長対応高解像度レーダーを保有していないと推察される。フーシ派を支援するイランは、ステルス機を探知可能なレーダーを保有すると主張しているが、イランにとってもそれは極めて貴重なものであり、フーシ派に供与されたという情報は確認されていない。

今回の事案は、F-35のような高度なステルス戦闘機であっても、フーシ派に代表される非国家主体が運用する可搬式赤外線追尾型地対空ミサイル(SAM)により脅威に晒される可能性を示唆した。特に、フーシ派が用いる旧式ながらも改修された赤外線誘導ミサイルが、F-35のようなステルス機に対しても脅威となり得る事実が判明した。この事案は、F-35の運用方法や任務選定に関する議論を惹起している。今回、フーシ派のミサイルに狙われた背景には、F-35が低高度で活動していた可能性が考えられ、熱源が検知されやすい、あるいは目視可能な状況下で偶発的に捕捉され、携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)等による攻撃を受けたものと推測される。F-35は本来、高度な電子機器と長距離兵器を用いて高価値目標(空軍基地、レーダー施設、艦船等)を攻撃するよう設計されており、標的を目視で捉える有視界戦闘は想定されていない。低空飛行の理由は不明確ながら、今回の事態は、敵の防空網が密集する地域での近接航空作戦に投入された場合、ステルス性能のみでは十分な防御となり得ない可能性を示唆した。事実、1999年には初期のステルス機であるアメリカのF-117ナイトホークが、コソボ空爆時に改良型S-125ネヴァミサイルシステムによりセルビア上空で撃墜され、ステルス機の限界が露呈した。

これまで、フーシ派によるアメリカ軍の有人航空機の撃墜は確認されていない。しかしながら、アメリカ軍のMQ-9リーパー無人機は、これまでに20機以上が撃墜されたとされており、アメリカ政府高官の報告によれば、2025年3月15日以降の約6週間だけでも7機のMQ-9リーパーが無人機が撃墜されたとのことである。

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