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ペルーがグリペンを採用!F-16とラファールを抑えて勝利!南米で勢力拡大

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NATO

ペルー政府は、長らく続けられてきた次期戦闘機選定プロセスを完了し、スウェーデンのサーブ社が開発・製造するJAS39グリペンE/F戦闘機24機の採用を決定した。契約は、7月10日にスウェーデン国防大臣がペルーを訪問し、最終合意が締結される予定だ。

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ペルー現地メディアのPeru21が7月2日に報じたところによると、ディナ・ボルアルテ政権は、将来の紛争に備えるため、35億ドルの予算を投じてグリペンE/F戦闘機24機を導入することを決定した。この決定は、複数の国際的な航空機メーカーが参加した数年にわたる厳格な評価プロセスの集大成であり、ペルー空軍(FAP)が現在運用する老朽化したミラージュ2000とMiG-29戦闘機群を刷新するための「次世代戦闘機プログラム」の幕開けとなる。

F-16ブロック70とラファールF4を退ける

今回のペルー空軍の次期戦闘機入札には、アメリカのロッキード・マーティン社製F-16ブロック70とフランスのダッソー社製ラファールF4も参加していた。これらはいずれも、グリペンE/Fと同様に最新鋭のアビオニクスを搭載し、第4.5世代に分類される最新モデルである。F-16は近年、トルコ、フィリピン、台湾などが導入しており、ラファールもインドネシア、セルビア、カタールなどが採用するなど、国際市場で高い人気を誇る機種である。しかし、最終的にペルーはグリペンE/Fを選定した。この決定には、主に以下の3つの要因が影響したと考えられる。

1. 経済性:圧倒的なコストパフォーマンス

ペルーがグリペンを選択した最大の理由の一つは、その価格である。今回提示されたグリペン1機あたりの単価は、各種サポートを含めて1億1千万ドルから1億2千万ドルとされている。これに対し、F-16とラファールは1機あたり1億7千万ドルから2億4千万ドルと、大幅に高額であった。決して豊かではない南米の小国であるペルーにとって、この価格差は無視できないものであった。グリペンは、高性能でありながらも、運用コストを含めたライフサイクルコストの低さが特徴であり、予算に制約のある国々にとって魅力的な選択肢となっている。

2. 迅速な納期:2026年7月23日までの初期納入

二つ目の理由は、納期の迅速性である。サーブ社は契約締結後24か月という極めて短い期間での納入を提示したのに対し、他の2社は60か月という長期を要する提案であった。ペルーは、来年の空軍記念日である2026年7月23日までに少なくとも2機の納入を求めており、サーブ社はグリペンを売り込む際に、この短いリードタイムを大きなセールスポイントとしていた。迅速な航空戦力の近代化を求めるペルーにとって、この納期の早さは非常に魅力的な要素であった。

3. ブラジルの生産・メンテナンス拠点:南米におけるグリペンエコシステムの構築

そして三つ目の理由は、隣国ブラジルにグリペンの生産・メンテナンス拠点が存在することである。ブラジル空軍は既にグリペンを運用しており、サーブ社は2023年にブラジル国内にグリペンの生産ラインを開設した。現在、ブラジル空軍と契約している36機のうち15機がこのブラジルの工場で生産される予定であり、将来的にはブラジルやその他の周辺国向けに注文されたグリペンもすべてここで生産することを目標としている。サーブ社はブラジルをラテンアメリカへの輸出拠点と位置づけており、今年4月には同じく隣国であるコロンビアもグリペンの採用を決定している。ブラジルを中心に南米大陸ではグリペンの採用が広がりつつあり、ブラジルに生産・メンテナンス拠点があることは、ラテンアメリカのグリペン採用国にとって物流コストやメンテナンスコストの削減に繋がる。しかし、地域の大国であるブラジルに安全保障環境を依存することになる点については、一部で懸念の声も上がっているのが現状である。なお、ペルーとコロンビアの機体がブラジルで生産されるかどうかは、まだ決定されていない。

実戦経験の有無と今後の課題

一方で、ペルーの軍事関係者からは、グリペンが実戦経験に乏しいことを懸念する声も上がっている。前モデルのグリペンC/Dは哨戒や訓練任務には使用されているものの、高強度紛争での運用は行われていないと指摘されている。その点、F-16とラファールは近年、実戦に参加し、その性能を証明している。F-16はウクライナ紛争でロシア軍相手に戦っており、ラファールも初の損失こそあったものの、最近のインド・パキスタン紛争でインド空軍によって使用され、その能力が実証されている。ペルー空軍は、グリペンE/Fが実戦でその性能を発揮できるかについて、今後の訓練や演習を通じて検証していく必要があるだろう。

今回のペルーによるグリペン採用は、南米におけるグリペンの勢力図をさらに拡大するものであり、サーブ社がグローバル市場でのプレゼンスを強化する上で重要な一歩となる。今後、ペルー空軍がグリペンE/Fをどのように運用し、その能力を最大限に引き出していくのか、注目される。

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