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3隻しかないズムウォルト級駆逐艦が日本に!3年ぶり2度目、目的は?

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US Navy

米海軍第7艦隊司令部は7月7日、ズムウォルト級駆逐艦の2番艦USSマイケル・モンスール(DDG-1001)が横須賀に到着したことを発表した。同艦は今後、第15駆逐艦隊(DESRON 15)に所属し、西太平洋での哨戒任務に就く。

ズムウォルト級の日本寄港と戦略的意義

ズムウォルト級駆逐艦が日本に寄港するのは、2022年9月26日から10月8日にかけて1番艦のUSSズムウォルト(DDG-1000)が横須賀に寄港して以来、約3年ぶり2度目となる。第15駆逐艦隊は米海軍最大の駆逐艦隊であり、通常約10隻のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦で構成され、横須賀を拠点として西太平洋全域で活動するほか、米空母打撃群および水陸両用即応部隊の支援も行っている。

ズムウォルト級のようなステルス艦が第15駆逐艦隊に配属されることは、中国の急速な空母・艦隊拡張を念頭に置いたものと見られている。重要海域にステルス艦を展開することで、抑止力とプレゼンスを明確化する狙いがあるとされる。今年6月には中国海軍の空母「遼寧」と「山東」が太平洋上で同時期に活動し、空母2隻が同時に太平洋に進出するのは初であり、日米は警戒感を強めていた。

USSマイケル・モンスールの概要

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USSマイケル・モンスールはズムウォルト級駆逐艦の2番艦として、2019年1月26日に就役した。ズムウォルト級は全長183m、全幅24.5m、喫水8.4m、速力30ノット以上、乗員数約140名。排水量約14,700トンを誇り、米海軍最大の駆逐艦である。動力システムはロールス・ロイス社製MT30ガスタービン2基とRR4500ターボ発電機2基で構成され、合計78メガワットの発電量を誇る。

当初、主砲には2門の155mm AGS(先進砲システム)を搭載し、LRLAP(長距離対地攻撃弾)を使用、分間20発、射程118kmの超射程砲を擁するズムウォルト級は世界最強の駆逐艦になると言われた。しかし、砲弾の単価が約1億円と高額であったため量産は見送られ、生産も中止された。このため、米海軍最大の発電容量を持つ同艦にレールガンを搭載する計画も浮上したが、レールガン開発も中断された。2011年から建造が始まったズムウォルト級は、当初30隻以上の建造計画があったが、最終的に僅か3隻のみの建造に終わった。このため、これまで目立った活躍を見せてこなかったズムウォルト級は、米海軍では「お払い箱」という印象が拭えなかった。

極超音速ミサイル搭載艦への改修

ズムウォルト級ミサイル駆逐艦からAGS(先進砲システム)を排除
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しかし、ズムウォルト級は米海軍初の極超音速ミサイル搭載艦艇プラットフォームとなることが決定した。1番艦のUSSズムウォルトは2023年8月に改修のためハンティントン・インガルス造船所でドック入りし、既にAGS砲塔は撤去され、中距離通常兵器即発攻撃(IRCPS)用の大型発射管4本が設置された。各発射管には3発の極超音速ミサイルが搭載され、合計12発のミサイルが搭載される。同様の改修は2番艦マイケル・モンスールと3番艦リンドン・ジョンソンにも行われる予定だ。

マイケル・モンスールはAGS砲が使用できないものの、80セルのMk57垂直発射システム(VLS)を搭載しており、多数のトマホーク巡航ミサイル、SM-6スタンダード対空ミサイル、ASROC対艦ミサイル、そして先進型シースパローミサイル(ESSM)を搭載可能である。各種センサーも最新鋭で、AN/SPY-3多機能レーダーを搭載。従来のイージス艦に搭載されているレーダーを凌駕する広域索敵能力を備え、火器管制レーダーに頼ることなく、地表および空中の脅威を追跡・攻撃できるとされ、その戦闘効率はアーレイ・バーク級よりも高いとされている。

ズムウォルト級が第15駆逐艦隊に編入され、西太平洋で哨戒任務に当たることは確定しているものの、同艦隊には通常、ズムウォルト級は配備されておらず、既存のアーレイ・バーク級と交代で任務に就くのか、それとも新たに追加になるのかは不明であり、配備期間も不明だ。しかし、極超音速ミサイル搭載艦として生まれ変わるズムウォルト級は、インド太平洋地域における米海軍の抑止力強化において重要な役割を果たすことが期待される。

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