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F-16、グリペンを有するタイ空軍に対し、カンボジア空軍に戦闘機無しの圧倒的戦力差!中国の支援は?

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RTAF

タイ・カンボジア国境での軍事衝突は、24日に勃発して以来、沈静化の兆しを見せていない。タイのプームタム・ウェーチャヤチャイ暫定首相は25日、事態が「戦争」へとエスカレートする可能性について警告を発した。この紛争は1世紀以上にわたる国境問題を背景に持つが、両国の軍事力には歴然とした差が存在する。

航空戦力における圧倒的な格差

AT-6(RTAF)

24日、カンボジア軍の砲撃に対し、タイはF-16戦闘機6機を出撃させ、国境周辺のカンボジア軍拠点を空爆した。この空爆でF-16に損害は確認されていない。タイ王立空軍は、単座型のF-16Aを36機、複座型のF-16Bを14機、合計50機のF-16を保有している。これに加え、スウェーデン製のグリペンC/D戦闘機を11機、旧式のF-5E/FタイガーIIを13機保有しており、総勢70機ほどの戦闘機群を擁している。グリペンに関しては最新のE/Fを12機購入する事が決定している。さらに、軽攻撃機としてドイツ製のアルファジェットを14機、米国製のAT-6を8機、そしてスウェーデン製の早期警戒機Saab 340 AEW&Cを2機保有しており、インドシナ半島における最大の航空戦力を誇る。

対照的に、カンボジア王立空軍は、ほとんど退役状態にある旧ソ連製のMig-21戦闘機と、チェコスロバキア製のL-39ZA軽攻撃機をわずかに保有するのみで、実質的に有効な戦闘機戦力は皆無に近い。防空ミサイルも、携行式対空ミサイル(MANPADS)が中心であり、対空レーダー網も脆弱であるため、タイ空軍の戦闘機を迎撃できるような防空能力は持ち合わせていない。もし本格的な戦闘に突入すれば、タイ空軍が制空権を掌握することはほぼ確実だろう。

ウクライナ侵攻の教訓とタイ空軍の戦略

航空戦力における圧倒的な差は、ウクライナを侵攻したロシア軍のケースにも見られた。しかし、このケースではロシア空軍は制空権を完全に掌握できなかった。ウクライナ空軍は、能力的には劣るものの、運用状態のMig-29やSu-27といった数十機の旧ソ連製戦闘機を保有しており、さらにS-300といった長距離防空ミサイルも配備されていた。また、ロシア軍はウクライナを侮り、低空飛行でウクライナ領空に侵入した結果、MANPADSによる撃墜を複数経験した。この教訓を鑑み、タイ空軍は同様の過ちを繰り返すことはないだろう。

タイ空軍は、特にグリペン部隊と早期警戒機とのネットワーク戦により、高度な空域コントロール能力と、制空権の即時掌握能力を有している。また、米軍と定期的に共同訓練を実施しており、高度な戦術・運用能力を培っている。

カンボジア空軍の限界と中国への依存

カンボジア空軍は、限定的な偵察・局地攻撃能力しか持たず、戦闘機の空中戦能力は実質的にゼロに等しい。タイが様々な国との協調路線を採る中、カンボジアは中国に大きく依存しており、軍事・経済面での中国への傾倒が見られる。カンボジアが中国のJ-7戦闘機の輸出モデルであるF-7を購入したという噂もあるが、その配備は確認されていない。

地上戦と両国の戦略

地上戦においては、ジャングル地帯が多い地理的特性と、長年の内戦経験からゲリラ戦に長けたカンボジア軍に分があるかもしれない。このため、タイ軍がリスクを冒して越境し、地上軍を派遣する可能性は低いと見られている。タイ軍は精密砲撃が可能な砲システムを多数保有しており、国境紛争であればこれで十分であろう。ドローンも積極的に活用している。しかし、厄介なのは、カンボジア軍が人口密集地から精度の低い自走ロケット砲システムによる攻撃を多用している点だ。タイ側は国際的な戦争ルールを遵守しているが、カンボジア側はその限りではない。

中国の動向と地域情勢への影響

中国はカンボジアにとって最大の支援国であり、長年にわたり軍事、経済、インフラ面での支援を行ってきた。中国製の戦車、装甲車、防空システムの供与や、兵士への訓練も提供している。さらに、シアヌークビルにはリーム海軍基地を建設しており、ここが中国海軍の拠点となるのではないかと、日米や周辺国は懸念を抱いている。今回の紛争においても、中国がカンボジア支援に回ることが警戒されているが、現時点では中立の立場を維持している。何よりも、タイも中国にとっては友好国であり、軍事的な結びつきも強い。タイ空軍の主力機は欧米製が多いが、陸軍は中国製のVT-4主力戦車、VN-1装輪装甲車、SH-1 155mm自走榴弾砲を導入している。海軍も071型揚陸艦、S26T潜水艦の導入を予定しており、中国製兵器のシェアが増加傾向にある。

中国としては、両国間の紛争を調停し、ASEAN地域における影響力を強化したいという思惑も見て取れる。両国共に中国製兵器の顧客であり、軍事的衝突は今後の兵器販売を更に加速させる。

全面戦争になればカンボジアの敗北は決定的であり、これはあくまで国内に向けたパフォーマンスであり、カンボジアは局地的な戦闘で終わらせたいという狙いもあるとされ、カンボジアにとっては、軍事的勝利よりも後々の中国の軍事的支援、国内の結束といった外交・内政的な効果を狙った動きである可能性が高いとされる。

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