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ロシアの軍事専門家が計画した日本へのミサイル攻撃計画

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ロシアの軍事専門メディア「Voennaya Khronika(軍事年代記)」は、日本を仮想敵国と想定した大規模なミサイル攻撃シナリオに関する詳細な軍事分析レポートを発表しました。このレポートは、日本が新たに開発している射程1000km超の12式地対艦誘導弾能力向上型や、米国製のトマホークミサイルをロシアに対する「脅威」と見なしていることを明確に示しています。ロシアのアナリストたちは、この軍事行動の目的を、日本の軍事力を麻痺させ、さらなるエスカレーションの可能性を排除することにあると説明しています。

この攻撃シナリオは、戦略的に三つのフェーズに分けられています。

第1フェーズ:防空網の除去

最初のフェーズは、日本の防空能力の無力化に焦点を当てています。具体的には、日本の防空システムと監視能力の破壊を目指します。その中でも、日本の防空ミサイルシステムの要であるパトリオットミサイルPAC-3のミサイルサイトを最優先で無効化する計画です。現在、パトリオットミサイルは北海道から沖縄まで、日本全国18カ所の基地に、車両タイプを含めて24基の発射台が配備されているとされています。ロシアのアナリストたちは特に、北海道、入間、岐阜のパトリオットサイトを名指しで攻撃目標として挙げています。これと並行して、日本全国28カ所にある航空自衛隊のレーダーサイトも無力化の対象となります。ロシアのアナリストたちは特にJ/FPSといった警戒管制レーダーを標的とすることを提案しています。

これらの攻撃には、長距離巡航ミサイルKh-101や短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を使用するとしています。パトリオットシステムに対しては1カ所あたり同時に25発から45発、レーダー施設には7発のミサイルを発射すると試算しており、一度にこれだけのミサイルが放たれた場合、全てを迎撃することは極めて困難であると思われます。

Kh-101は空中発射巡航ミサイルであり、戦略爆撃機から発射されます。その最大射程は5000km以上にも達し、日本の国土のほぼ全域を攻撃範囲に収めることが可能です。一方、イスカンデルは地上発射型の短距離弾道ミサイルで、射程は700kmと限定されますが、終末速度はマッハ5を超え、迎撃が非常に難しいという特徴があります。サハリンや北方領土からの攻撃になると思われ、射程から攻撃対象は北日本に限定されると思われます。さらに、より確実性を高めるために、空中発射型の極超音速ミサイル「Kh-47M2 キンジャール」を1カ所に10発以上撃ち込むことも提案されています。キンジャールは射程3000km、最大速度はマッハ10を超える驚異的な能力を持つミサイルです。

第2フェーズ:艦隊の無力化

第1フェーズが完了した後、次の標的となるのは海上自衛隊の艦隊です。このフェーズでは、海上自衛隊の艦艇が常駐する主要港湾基地を破壊し、日本の海上防衛能力を無力化することを目指します。攻撃対象として挙げられているのは、横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大湊、那覇といった主要基地です。これらの基地は、艦艇搭載型のKalibr巡航ミサイル20-25発で無力化できると述べています。Kalibrには最大射程3000kmのモデルもあり、潜水艦からも発射可能であるため、奇襲的な攻撃も想定されます。アナリストたちは特に青森の大湊と京都の舞鶴を名指ししており、これはオホーツク海や日本海への日本の展開能力を削ぐことが主な狙いであると考えられます。

第3フェーズ:防衛産業および修理基盤の破壊

最終的な第3フェーズでは、日本の軍需産業施設が攻撃対象となります。具体的には、三菱重工業の横浜・神戸・下関・長崎にある艦艇修理ドックや兵器製造施設が標的とされ、この攻撃の目的は、日米の補給・修理網を寸断し、日本の防衛能力を長期的に低下させることにあります。このフェーズ全体で、200〜250発のKh-101巡航ミサイルが必要であると試算されています。

分析と考察

ここまでが、ロシアの軍事アナリストが計画したとされる日本へのミサイル攻撃計画の概要です。しかし、この計画にはいくつかの重要な欠落点があります。最も顕著なのは、戦闘機群が配備されている航空自衛隊の主要航空基地への攻撃計画がないことです。航空基地は領空防衛の要であり、敵国が先制攻撃を行う場合、真っ先に無力化を図る対象となるのが軍事作戦の常識です。また、日本が攻撃を受けた場合に、日本に対する武力攻撃を排除する義務を負うアメリカの在日米軍基地についても言及されていません。

これらの欠落点から、ロシアのアナリストたちは、ウクライナ情勢を巡って対立する日本に対して、「軍事的妥当性」よりも「政治的演出」やメッセージ性を優先した可能性が指摘されます。この報告書は、単なる軍事分析に留まらず、日本に対する牽制、あるいは日本の軍事能力の進化に対するロシア側の警戒心を表明する意図が込められているのかもしれません。しかし、その内容が示唆する日本の脆弱性と、ロシアが想定する攻撃能力は、日本の防衛戦略を再考する上で重要な示唆を与えています。

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