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第5世代ステルス戦闘機化を目指す韓国のKF-21

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©KAI

韓国が今年量産を開始した次世代戦闘機KF-21「ポラメ」は、最新鋭の第4.5世代機と位置づけられています。しかし、その設計は将来的な第5世代ステルス戦闘機への発展を視野に入れており、最終的な目標は完全なステルス機化にあります。

KF-21は今年5月に量産が始まり、初期のBlock1では20機が生産され、初号機は2026年に納入される予定です。外見は米国のF-35に似ておりステルス機のように見えますが、初期型は外部兵装を搭載するため、厳密にはステルス機ではありません。しかし、レーダー断面積(RCS)はF/A-18スーパーホーネットより小さく、ステルス塗装も可能なため、第4.5世代戦闘機としては高いステルス性と最新のアビオニクスを兼ね備えています。

KF-21は、将来的に内部兵器倉の追加やステルス改修により第5世代的な性能に発展できるよう設計されています。韓国政府はこの改修に積極的で、2026年度の国防予算案では、次のBlock2生産を見据え、国産先進ジェットエンジン開発に860億ウォン、ステルス関連センサー・材料技術に6,300億ウォンを投じる計画です。これは、韓国がKF-21の将来性に大きな期待を寄せていることの表れです。

Block3でステルス機化

韓国はBlock3までの段階的なアップグレードを計画しています。Block2では、空対地・精密攻撃能力、電子戦機能、センサーフュージョンが強化されますが、この時点ではまだ完全なステルス機ではありません。完全なステルス機化は、最終目標であるBlock3から予定されています。

Block3では、完全ステルス機化に不可欠なミサイル内蔵型ウェポンベイが導入され、赤外線検出追跡装置(IRST)と電子光学ターゲット追跡装置(EO TGP)といった電子戦関連センサも、  F- 35のように機体内部埋め込み型の電子光学ターゲットシステム(EOTS)に置き換えられます。レーダー吸収材(RAM)の改良や外形調整によりステルス性能が飛躍的に向上する計画です。エンジンも現在の米GE製F414から国産エンジン(推力増強型)への切り替えが予定されており、これにより改修やウェポンベイの設計自由度が高まります。ウェポンベイにはミーティア長距離空対空ミサイルや精密誘導爆弾4発の搭載が検討されています。また、Block3では第6世代戦闘機に近い性能も追加され、KF-21を母機とする無人機ネットワークの構築も計画されており、これらの改修は2030年代中盤以降に実施される見込みです。

懸念

しかし、KF-21の第5世代ステルス戦闘機化には懸念もあります。ウェポンベイ導入は機体構造の大幅な変更と重量再調整を必要とし、初期設計から盛り込まれていたとしても改良は容易ではありません。また、国産エンジンの開発には莫大な費用と時間がかかり、実用化は2036年以降になるとの報道もあります。Block3が実用化するのが2040年前後になる可能性があり、その頃には、世界の先進国ではすでに第6世代戦闘機が誕生している可能性が高く、KF-21が時代遅れになる懸念があります。KF-21を後から改修するよりも、最初から異なる新機種を開発した方が効率的だという意見や、現在の第4.5世代機としての特性を活かし輸出に注力すべきだという声も聞かれます。

完全な第5世代ステルス戦闘機を求める西側先進国市場ではKF-21の競争は厳しいと予想されます。しかし、「安価で高性能な準5世代機」として、東南アジアや中堅国にとっては魅力的な選択肢となり得ます。実際、同じく第4.5世代に分類されるフランスのラファール戦闘機は、ステルス機が入手困難な国々から注文が殺到し、高い需要があることを示しています。韓国も近年、世界の兵器輸出市場で急速にシェアを拡大しており、特にFA-50軽攻撃・戦闘機は、その高いコストパフォーマンスと運用コストの低さから輸出実績を伸ばしています。

今後数年間で、第5世代ステルス戦闘機の輸出市場は激化する可能性が高いです。現在、トルコが国産の第5世代ステルス戦闘機「KAAN」を開発中で、2028年から量産化を予定しており、KF-21の共同開発国であるインドネシアが48機の購入を決定するなど、今後シェアを伸ばす可能性が高いです。中国も輸出用のJ-35の量産化が間近に迫っているとされ、ロシアもSu-57の輸出を諦めていません。このような国際情勢の中で、KF-21が引き続き第5世代ステルス戦闘機化を目指すのか、現状の仕様で市場を開拓し、競争力を維持していくかが注目されます。

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