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ロシア軍に騎兵隊が復活!前線で馬と共にドローン攻撃を受ける

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ロシア軍がウクライナの戦線で車両の不足を補うため、そして特定の地形や状況下での戦術的な優位性を確保するために、馬を戦闘手段として投入していることが確認されました。これは、物資運搬に留まらず、かつての騎兵隊のような騎馬の軍事的復活を思わせる動きとして注目されています。

これまでもロシア軍は、ウクライナの前線において、装甲車両や他の車両が通行困難な道、複雑な地形、悪天候、あるいはドローンや地雷による被害を避ける目的で、馬やロバを物資輸送に利用していることが報じられていました。しかし、最近になってロシアの複数のメディアは、ロシア軍第9自動車化狙撃旅団の兵士たちが「カーン(Khan)」と名付けられた訓練プログラムの一環として馬術訓練を行う映像を公開しました。この映像の中では、教官たちが、馬は森林地帯や地雷が埋設された地域を静かに移動できること、そして車両よりも電子的な痕跡を残しにくいという利点を強調しています。

ロシアの軍および治安部隊は以前から、広大な国土と国境警備のためにロシア全土で馬を活用してきましたが、今回のウクライナにおける戦場での活用は、その戦術的価値を再認識していることを示唆しています。ロシアメディアの報道によれば、騎馬作戦の訓練を受けている部隊は2人1組のチームを編成し、1人の兵士が馬を操縦し、もう1人の兵士が後方に乗って警護にあたるという形態をとっています。また、訓練では馬が銃声や爆発音にも動じないように慣れさせ、馬と騎手の双方の耐性を高めるための特別なプログラムが組まれているとも伝えられています。

ロシア軍は3年間に及ぶこの戦争で多くの装甲車両を失っており、その補充のために非装甲の民生用車両や、さらには電動スクーターやキックボードといった移動手段まで投入している状況です。しかし、前線の多くの地域では、砲弾の痕跡や瓦礫で道が塞がれ、また地雷が広範囲に埋設されているため、車両による確実な移動は極めて困難です。このような状況において、馬は破壊された道路や起伏の激しい場所でも比較的自由に移動できるという柔軟性を発揮します。さらに、対戦車地雷には反応せず、仮に対人地雷を踏んだ場合でも、乗っている兵士の負傷は軽減される可能性が高いとされています。また、車両と比較して電子センサーに感知されにくく、補修・保全、そして燃料の問題がないことも大きな利点です。とはいえ、馬を使うには飼育、餌、獣医ケアなどの手間がかかり、被害を受けた際の脆弱性など、現代戦におけるリスクは小さくありません。

そして、馬が前線に投入され、軍馬として使用されることは、馬自身が攻撃の標的となるリスクを伴います。10月初めに公開された動画では、ドネツク州を馬で移動中のロシア兵がドローン攻撃を受ける様子が確認されました。この映像には、少なくとも2人の兵士が馬に乗って開けた地形を移動している中、一人称視点(FPV)のドローンが彼らに向かって急降下していく様子が映っています。ロシア兵は最初、馬の後ろに隠れて身を隠そうとしているように見えました。このドローン攻撃はウクライナ軍の第132独立大隊の兵士によるものと報じられており、攻撃を行った兵士は「もちろん、馬は残念なことですが…しかし、それでも戦闘部隊であることに変わりはありません。悲しいことですが、人的被害を減らすための作業は行われています」とコメントしています。この発言は、馬を攻撃することへのためらいがあったものの、武装したロシア兵と共に行動している以上、軍事標的として攻撃せざるを得なかったという苦渋の判断を物語っています。

かつて騎兵は戦場を縦横無尽に駆け巡り、敵陣に突撃する「戦の花形」と称されましたが、銃器や戦車といった兵器の登場により、戦場からはその姿を消し、現代では山林などの地形が複雑な国境警備などに用途が限定されていました。しかし、ウクライナにおける紛争の特殊な状況下で、ロシア軍が再び馬を戦闘手段として活用するに至ったことは、現代戦における意外な側面と、戦術の柔軟性を示唆するものであり、その効果が注目されます。

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