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トランプ大統領がアジア歴訪中に南シナ海で米海軍機が30分間で2機墜落

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2025年10月26日午後、米海軍の原子力空母USSニミッツ(CVN-68)から発進した航空機2機が、相次いで南シナ海上空で墜落するという前例のない事態が発生した。この事故は、トランプ大統領のアジア歴訪中に起こり、その背景には複数の要因が絡み合っている。米海軍は両機とも「通常の作戦飛行中であった」と発表しているが、短時間のうちに2機の航空機を失ったことは、運用・整備、地域の安全保障の各側面において懸念を引き起こしている。

A US Navy Super Hornet and Sea Hawk from the same aircraft carrier crashed 30 minutes apart in the South China Sea

Navy loses two aircraft from USS Nimitz aircraft carrier within 30 minutes

事故の詳細

最初の事故は午後2時45分(現地時間)頃に発生した。MH-60R Sea Hawkヘリコプターがニミッツから発進後、所属する第73海上戦術ヘリコプター中隊(HSM-73「Battle Cats」)による任務中に南シナ海に墜落した。搭乗していた3名の乗組員は、同空母所属の救難部隊によって迅速に救助され、いずれも安定した状態にあることが確認された。

その約30分後の午後3時15分頃には、さらに深刻な事態が発生した。第22戦闘飛行隊所属のF/A-18F Super Hornet戦闘機が同じくニミッツから発進し、南シナ海に墜落したのである。この戦闘機に搭乗していた2名のパイロットは、墜落直前にパラシュートで緊急脱出し、こちらも無事に救助された。米太平洋艦隊(U.S. Pacific Fleet)は、一連の声明で「5名全員が安全かつ安定した状態にあり、事故原因は現在調査中である」と述べ、人命に被害がなかったことを強調した。しかし、短時間に2機の航空機を失った事実は、米海軍にとって極めて異例かつ重大なインシデントとして受け止められている。

事故の背景と多層的な意味合い

今回の事故には、単なる偶発的な飛行事故では片付けられない、いくつかの注目すべき背景と多層的な意味合いが含まれている。

  1. 地政学的緊張の高い海域:南シナ海
    事故が発生した南シナ海は、複数の国々が領有権や排他的経済水域(EEZ)を巡って激しく対立している、戦略的に極めて重要な海域である。特に中国は、この海域における海洋進出を近年急速に強化しており、人工島の造成や軍事拠点化を進め、国際裁判所の判決を無視し、ほぼ全ての海域の領有権を主張している。これに対し、米海軍は「航行の自由作戦」(Freedom of Navigation Operations) や同盟国への抑止力維持を目的として、艦艇の展開や航空機による定期的な作戦飛行を継続的に実施している。このような緊張状態にある海域での航空機墜落は、地域各国の反応にも敏感にならざるを得ない。中国や、同盟関係にあるフィリピンなどの周辺国は、今回の事故を注視し、今後の米海軍の活動やプレゼンスについて様々な解釈を行うだろう。
  2. 退役を控える空母ニミッツの「最終任務」
    事故のもう一つの重要な側面は、USSニミッツが1975年に就役した老朽空母であるという点である。ニミッツ級空母の1番艦である同艦は、米海軍が運用中の空母としては最も古く、来年の退役を控えている。イエメンの武装組織フーシ派による商船攻撃への対応後、10月17日に南シナ海に展開していた。現在、「退役前の最終任務(final deployment)」と報じられている状況下で、短時間のうちに2機の航空機を失ったことは、最後の任務に汚点を残した。
  3. トランプ大統領のアジア歴訪とのタイミング
    さらに、今回の事故発生のタイミングは、トランプ大統領のアジア歴訪、特に東南アジア訪問とほぼ重なっている。外交・安全保障上の重要局面において、米軍の主要なアセットである空母から航空機が相次いで墜落したことは、その外交的・戦略的影響を無視できない。トランプ大統領は今月30日に中国の習近平国家主席との首脳会談を控えている。報道では、この地理的・時間的な重なりが「偶然」なのか、あるいは何らかの「関連性」を帯びて報じられる可能性も指摘されている。例えば、悪天候の中、トランプ訪問に合わせて無理して飛ばしたとかだ。

連続墜落事故が示唆する課題

短時間での2機連続墜落という事態は、単一の偶発的事故ではなく、米海軍の航空機整備、訓練体制、あるいは運用体制に構造的な課題が存在する可能性を示唆している。米海軍では過去にも、同機種や同艦所属機の事故・墜落が相次いで発生しており、特にF/A-18スーパーホーネットの墜落は頻発している。最近では、2024年12月、そして今年2025年の4月と5月に各1機、合計3機を失っている。

事故の原因が、機械的故障、整備ミス、気象・海象の影響、あるいは運用上のヒューマンエラーのいずれにあるのかは、今後の安全管理改善に直結する重要な問題である。米海軍はすでに詳細な調査を開始しており、その進捗と結果が注目される。この調査結果は、米海軍の今後の航空運用方針や整備計画に大きな影響を与えるだろう。

今回の2機の墜落事故は、幸いにも人的被害こそ出なかったものの、米海軍にとって運用上、戦略上、そして報道上のいずれの観点からも軽視できない重大なインシデントである。特に、老朽化する艦艇の運用、航空機整備の状態、そして南シナ海という地政学的緊張の高い海域での活動という三重の文脈が重なっており、単なる「飛行事故」以上の深遠な意味を持ちうる。今後、米海軍が公開する調査結果、空母ニミッツの運用継続性、そして南シナ海をめぐる米中および地域各国の反応に注目する必要がある。

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