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米軍機の損失・損傷が81機に 42機からほぼ倍増、MQ-9だけで45機―イラン戦争で何が起きたのか

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米議会調査局(CRS)は10月5日、イランに対する米軍作戦「Operation Epic Fury(エピック・フューリー作戦)」における米軍航空機の損失・損傷状況をまとめた報告書「U.S. Aircraft Combat Losses in Operation Epic Fury: Considerations for Congress」を更新した。

参考・引用:U.S. Aircraft Combat Losses in Operation Epic Fury: Considerations for Congress

今回の報告書によると、2月28日に作戦が始まって以降、米軍が失った、あるいは損傷した航空機は少なくとも81機に達した。5月に公表された前回のCRS報告では42機だったため、数字だけを見ると約2倍に増えたことになる。ただし、これは「米軍機81機が撃墜され、完全に失われた」という意味ではない。CRSは「lost or damaged」、つまり喪失または損傷した機体として集計している。基地への攻撃で損傷した機体や事故機、味方による誤射、さらに作戦上の理由で米軍自身が破壊した機体なども含まれている。また、損傷した機体の一部は修理され、すでに現役へ復帰している可能性がある。CRS自身も、今後新たな情報が判明すれば数字が修正される可能性があるとしている。

最大の損失はMQ-9「リーパー」45機

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今回最も目を引くのが、MQ-9リーパー45機という数字だ。81機のうち45機、実に半数以上をMQ-9が占めている。MQ-9は有人戦闘機のような高速・高機動性を持つ航空機ではないものの、長時間にわたって上空にとどまり、情報収集・監視・偵察(ISR)や攻撃を行える大型無人航空機だ。前回5月のCRS報告ではMQ-9は24機だったため、今回の更新で45機へと大きく増えた。これは、イランのように一定の防空能力を持つ国家に対して、大型UAVを大量投入することのリスクを示す数字でもある。ただし、45機すべてがイランの防空ミサイルによって撃墜されたと判断するのは適切ではない。CRSの集計には、事故やその他の原因も含まれているからだ。それでも、「有人機を守るために無人機を大量投入する」という現代の航空戦において、MQ-9が大きな消耗品となったことは注目される。

F-15Eは12機、うち8機は基地攻撃による損傷

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有人戦闘機では、F-15Eストライクイーグルが12機で最多となった。内訳が重要だ。3月2日にはクウェート上空で3機が味方による誤射で撃墜され、4月5日にはイラン上空で1機が撃墜された。一方、残る8機は9月9~10日にイランによる攻撃を受けたヨルダンのムワファク・サルティ空軍基地で損傷した機体だ。つまり、12機すべてが撃墜・全損したわけではない。特に基地に駐機していた航空機が攻撃を受けて損傷した点は重要だ。米軍が圧倒的な航空優勢を確保していても、航空機を地上に置く基地そのものが攻撃対象となれば、戦闘機は被害を受ける。CRSによれば、これら損傷したF-15Eの一部は修理され、再び運用可能となっている。

F-35Aも被害、A-10は2機

ステルス戦闘機F-35AライトニングIIは1機が損傷した。3月19日、イラン上空で地上からの攻撃を受けた際に被害を受けたと報告されている。イラン側は当初、撃墜したと主張していた。

また、近接航空支援を担ってきたA-10サンダーボルトIIは2機がリストに入った。1機は4月3日、敵の攻撃を受けた後に墜落。もう1機は9月のヨルダンの基地攻撃で損傷したとされる。このように今回の81機には、F-35Aのような最新鋭機から、長年米軍を支えてきたA-10まで含まれている。

実は「戦闘機」以上に重要なのがKC-135とE-3

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今回の数字で見落としてはいけないのが、KC-135ストラトタンカー7機とE-3セントリー1機だ。KC-135は空中給油機であり、戦闘機や爆撃機などを長距離・長時間運用するための「空飛ぶガソリンスタンド」ともいえる。空中給油機は戦闘機そのものより保有数が少なく、1機を失った際の影響が大きい。3月にはKC-135同士の衝突事故で1機が墜落、乗員6名が死亡している。5機はサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に駐機中に攻撃を受け、損傷した。米軍のように世界各地で航空作戦を展開する軍隊にとって、タンカーは航空戦力を成立させる重要な「支援戦力」だ。次世代機のKC-46が問題を抱える中、KC-135の損失は痛い。

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さらに痛いのがE-3セントリー1機の損失だ。E-3は16機しか保有しておらず、これが完全に破壊された。E-3は大型レーダーを搭載した早期警戒管制機で、敵航空機やミサイルなどを広域監視するとともに、航空戦力の指揮・管制を担う。つまり、E-3の損傷は単純に「飛行機1機を失った」という問題ではない。CRSも、E-3のような保有数が限られ、需要が高く、老朽化している航空機の損失が戦力不足につながる可能性を議会が検討すべき問題として挙げている。

特殊作戦機と救難ヘリにも被害

特殊作戦機ではMC-130JコマンドーIIが2機リストに入っている。これは通常の「撃墜」とは異なる。4月5日、イラン上空で撃墜されたF-15Eの乗員を救出する作戦に関連して、2機のMC-130Jが地上で意図的に破壊されたと報じられている。また、戦闘捜索救難ヘリのHH-60WジョリーグリーンIIが1機損傷した。つまり今回の航空機損失には、敵との直接的な空中戦だけでなく、撃墜された航空機の乗員を救出する「戦闘捜索救難(CSAR)」そのものに伴うリスクも表れている。

ヘリコプターも被害

回転翼機では、

  • AH-64アパッチ:1機
  • AH-6リトルバード:4機
  • MH-60シーホーク:1機

がリストに入った。

特にAH-6については、F-15E乗員の救出作戦などに関連して、米軍自身が4機を破壊したとされている。また、AH-64はホルムズ海峡上空で撃墜された機体が含まれる。さらにMH-60シーホークもアラビア海上空で墜落、飛行隊指揮官が亡くなっている。このほか、無人機ではMQ-1系列が3機、MQ-4Cトライトンが1機となっている。

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CRSがまとめた81機の全内訳

今回の報告書に掲載された航空機を整理すると、以下の通りだ。

機種喪失・損傷
MQ-9 リーパー45機
F-15E ストライクイーグル12機
KC-135 ストラトタンカー7機
AH-6 リトルバード4機
MQ-1系列3機
A-10 サンダーボルトII2機
MC-130J コマンドーII2機
F-35A ライトニングII1機
E-3 セントリー1機
HH-60W ジョリーグリーンII1機
MQ-4C トライトン1機
AH-64 アパッチ1機
MH-60 シーホーク1機
合計81機

なぜ42機から81機に増えたのか

CRSの集計は、報道、国防総省、米中央軍(CENTCOM)の発表、さらに国防総省監察総監(DODIG)の情報などをもとに更新されている。つまり、以前は公表されていなかった損失や損傷が新たに確認されたことによって、過去の事案が集計に追加された可能性もある。実際、今回の更新では、9月のイランによるヨルダンの米軍基地攻撃など、前回報告には含まれていなかった情報が反映されている。したがって、「42機から81機=39機が新たに攻撃された」という意味ではない。

今回のリストには、MQ-9のように大量運用を前提とした無人機だけでなく、F-15E、F-35A、KC-135、E-3、MC-130Jなど、米軍の航空作戦を支える重要な有人機が含まれている。特に問題となるのは、単純な機数ではなく「代替できるかどうか」だ。MQ-9は既に米軍向けの生産を終了している。KC-135やE-3は後継機が開発されているものの特殊な大型航空機は簡単に穴埋めできない。CRSは今回の報告で、航空機の損失について議会が検討すべき問題として、予算、戦力充足度、防衛産業の生産能力、そして作戦上のリスクを挙げている。米議会予算局(CBO)も9月、8月1日時点で失われた装備を補充するための費用を、米国防総省の補充方法によって19億~33億ドルと推計している。

今回のCRS報告で明らかになったのは、米軍がイランとの戦争で少なくとも81機の航空機を喪失または損傷したという事実だ。その半数以上となる45機をMQ-9が占める一方、F-15EやF-35A、KC-135、E-3といった有人航空機にも被害が及んでいる。そして重要なのは、これらの被害のすべてが「空中で撃墜された」わけではないことだ。敵の防空火力、基地へのミサイル・ドローン攻撃、事故、味方による誤射、さらには救難作戦に伴う機体の損失。今回の81機という数字は、現代の大規模航空作戦では、敵戦闘機との空中戦だけで航空戦力が消耗するわけではないことを浮き彫りにしている。

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