MENU
カテゴリー

中国3隻目の空母「福建」、早ければ10月に就役か?

  • URLをコピーしました!

中国海軍の最新鋭空母「福建」が2025年9月、初めて台湾海峡を通過し、その動向が注目されています。これは訓練・試験運用、または就役前の最終段階の試験と見られており、9月から10月にかけての中国の主要な祝祭日に合わせて公式の就役式典が開催される可能性が報じられています。

PLA’s Fujian aircraft carrier heads to South China Sea. Is it about to enter service?

防衛省は9月11日、「福建」が東シナ海を航行しているのを初めて確認したと発表しました。同日、中国人民解放軍海軍も「福建」が南シナ海での科学調査試験と訓練演習のため台湾海峡を通過し、その後海南島の三亜基地へ向かったことを明らかにしました。福建は2024年5月に海上試験を開始して以来、8回の海上試験を実施してきました。初期の試験では動力・電力系統、艦橋・航行システムの信頼性が確認され、6回目以降の試験では艦載機の発着艦試験などが行われています。香港メディアは今回の台湾海峡通過を伴う試験航行が「就役前の最終段階の試験」であると報じ、間もなく就役するとの推測が中国国内で広まっています。

9月3日に行われた戦勝80周年記念の軍事パレードでは、「福建」に搭載される予定の艦載機がすべて公開されました。これにはJ-35Aステルス戦闘機、J-15T戦闘機、J-15DT電子戦機、KJ-600早期警戒機が含まれており、艦載機の配備準備が整っていることが示唆されています。

中国国営中央テレビ局CCTVは先月、9月18日が「福建」の就役予定日となる可能性を示唆する映像を放映したとされます。この日は「満州事変」から94周年にあたります。インターネット上では、中華人民共和国の建国記念日である10月1日の国慶節も有力な候補として議論されています。北京の地下鉄での広告や、建造元である中国船舶重工集団のSNSでの宣伝など、国民の祝祭日に合わせた公式就役式典開催の可能性を裏付ける動きが見られます。

これらの憶測の背景には、2隻目の空母「山東」の就役時の事例があります。「山東」は2019年11月14日に出港し、11月16日までに台湾海峡を通過、11月19日までに三亜に到着した後、翌月の12月17日に正式に就航しました。台湾海峡通過から約1ヶ月後に就役したこの事例から考えると、9月18日の就役は早すぎるかもしれませんが、10月中の就役は十分にあり得ると考えられます。ただし、中国政府や海軍からの「就役日の確定発表」はまだなく、これらの情報は報道や観測、専門家の見立ての域を出ません。

福建

「福建」は通常動力艦としては初めて電磁式カタパルトを搭載しています。2023年11月には試験車両での射出テストが確認されましたが、艦載機の発艦テストについては、実際の実施状況やテスト結果は報じられていません。空母の本格的な運用には、艦載機の発着艦、飛行甲板運用、航空管制、支援艦との連携などを含む「艦載機の運用体制」が整うことが不可欠であり、これには相当の時間がかかる可能性があります。特に電磁式カタパルトは、これまでの「遼寧」や「山東」が採用していたスキージャンプ式甲板とは全く異なるシステムであり、大量の電力が必要なため、通常動力艦の「福建」のシステムには信頼性・連続射出能力に懐疑的な見方もあります。長時間の高頻度射出にどこまで耐えられるかが、実用化に向けた焦点になっています。本格的・継続的な艦載機運用訓練は就役後に行われ、初期作戦能力を持つのは2030年前後と予測されています。

「福建」は中国海軍にとって3隻目の空母であり、2隻目の国産空母です。1番艦の「遼寧」がウクライナから購入したスクラップ空母を改修したもの、2番艦の「山東」がそれをベースに建造されたのに対し、3番艦の「福建」は全く新たに設計された新鋭空母です。これまでの2隻がスキージャンプ方式を採用していたのに対し、「福建」には最新技術である「電磁式カタパルトシステム」が採用されています。このシステムは現在、米海軍の最新鋭原子力空母であるジェラルド・R・フォード級のみが搭載しており、電磁式カタパルトの採用により、艦載機の運用性能が大幅に向上し、重量のある早期警戒機の搭載も可能になるなど、中国海軍の航空戦力が大きく強化されることになります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!