

中国が昨年末に公開した200機もの小型ドローンを搭載できる空飛ぶ空母「九天(Jiu Tian)」が完成に近づいており、来月6月に飛行試験が行われると国営メディアが報じた。
China's Jiutian super-high altitude, long endurance drone.
— China Perspective (@China_Fact) May 18, 2025
With an flight ceiling of 15km, this drone can fly ABOVE the operation ceiling of pretty much all air defense systems.
Which means, once the PLA air force gains air superiority over an area, this drone will be able to… pic.twitter.com/iQea6GA9b0
中国中央電視台(CCTV)は、2024年11月12日から17日にかけて広東省珠海市で開催された中国国際航空宇宙博覧会において初公開された無人機「九天」に関し、試作機の組み立て及びシステム設置が現在進捗しており、2025年6月末に初飛行を予定していると報道した。当該無人機は、特に台湾との潜在的武力衝突を想定した運用が企図されているとされ、対地・対空攻撃能力に加え、敵防空網突破を目的とした小型無人機群による飽和攻撃や、電子戦による敵通信・レーダー網の擾乱など、多岐にわたる戦術への対応が期待されている。
スペック
九天は、中国航空工業公司(AVIC)が開発した大型無人戦闘機システムである。ジェットエンジンを搭載し、優れた推進力によって最大速度700km/h、最大離陸重量16t、最大積載量6tという有人戦闘機に匹敵するペイロード能力を有する。8つのハードポイントには、レーザー誘導爆弾、滑空爆弾、対艦ミサイル、空対空ミサイルなど、多種多様な兵装の搭載が可能である。機首にはレーダーシステムと電気光学ポッドが装備され、衛星との連携を通じて戦場の状況認識と遠隔操作機能を提供する。また、電子戦能力も備えているとされ、敵の通信・レーダー網に対する妨害を行う。最大飛行時間は12時間、航続距離は最大11,500km、実用上昇限度は15,000mとされている。
小型ドローンの母機
China’s first aerial mothership, Jiutian SS-UAV, is scheduled for its maiden flight in June.
— Li Zexin (@XH_Lee23) May 18, 2025
It can cruise at 15,000m high carrying over 100 small drones or 1,000 kg of missiles, with a range of 7,000km.
Don’t worry, China’s military is peace-oriented from the start. We grow… pic.twitter.com/koCXA4uq6g
九天の最大の特徴は、胴体部のモジュール式コンパートメントに特異なハニカム構造のドローンランチャーを実装し、多数の小型ドローンを展開可能とする点にある。ハニカム構造とは、ミツバチの巣に代表される正六角形(または正六角柱)を密に配列した構造を指す。九天においては、最大200機の小型ドローンが搭載可能であると推測される。展開されたドローン群は、空中から目標に対し飽和攻撃を仕掛け、敵の防空網を無力化する。小型ドローンの飛行距離は最大でも10km程度と短く、大陸から海を越えて目標を攻撃することは困難であるが、九天を母艦とすることでその制約を克服できる。また、小型ドローンの通信距離も限られているが、衛星リンクシステムを搭載する九天を中継ハブとすることで、遠隔操作範囲の拡大も実現可能と考えられる。