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ロシア軍の世界最大ヘリMi-26の初損害か!?稼働数は激減していた

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ロシア軍のMi-26大型輸送ヘリコプターがウクライナ侵攻で初めて撃破されたことが報じられた。このMi-26は世界最大級の軍用輸送ヘリコプターであり、その損失はロシア軍の兵站能力に少なからず影響を与える可能性があり、戦略的にも心理的にも大きな打撃となる。

Mi-26の撃破とウクライナ保安庁(SBU)の発表

ウクライナ保安庁(SBU)は6月28日の声明で、ロシアが一方的に併合したクリミア半島のキロフスコエ空軍基地をドローンで攻撃したと発表した。この攻撃により、同基地にあったMi-8、Mi-26、Mi-28の各ヘリ1機ずつと、Pantsir-S1防空システムが破壊されたとされている。この情報が事実であれば、Mi-26の撃破はウクライナ侵攻が始まって以来初めてのこととなる。

Mi-26:世界最大・最重量の軍用輸送ヘリコプター

Mi-26は、ロシアが運用する軍用輸送ヘリコプターの中でも世界最大・最重量を誇る。1970年代にミル設計局によって開発され、1977年に初飛行、1983年から運用が開始された。

  • 機体概要: 全長は40m、8枚翼のローターを持つ。D-136ターボシャフトエンジン2基(各11,400馬力)を搭載し、最大離陸重量は56トン、最大ペイロードは20トンと、ヘリコプターとしては世界最大の輸送能力を持つ。これはアメリカの固定翼輸送機C-130とほぼ同等のペイロードであり、米軍の大型輸送ヘリであるCH-47チヌーク(約11トン)やCH-53Eスーパースタリオン(14トン)を大きく上回る。
  • 輸送能力: 兵士であれば最大80名、人員のみであれば150名を一度に輸送可能。軽車両はもちろん、ロープスリングを用いて装甲車や野砲を輸送することも可能で、過去には戦闘機を輸送する様子も確認されている。
  • 性能: 最大速度は約295km/h、航続距離は約800km。補助燃料を使用すれば最大1,900kmまで航続可能となる。
  • 多目的運用: その卓越した輸送能力から、Mi-26は災害救助、大型機器の搬送、基地設営支援、補給など、軍民両用の巨大輸送機として多目的に運用されてきた。

ロシア軍のMi-26保有状況と稼働率の低下

2021年時点で、ロシア軍は約90機のMi-26を保有していたと伝えられているが、そのうち稼働しているのは約半数にすぎないとされる。しかも、年々稼働数は減少傾向にあるという。

  • 部品調達の困難さ: Mi-26の予備パーツやエンジンの一部はウクライナ製(モトール・シーチ)であるため、ウクライナ侵攻以降、メンテナンスやパーツの取得が極めて困難になっている。
  • 稼働率の低下: ウクライナ侵攻によってMi-26の稼働率は上昇し、消耗が増えたことで、稼働率は近年さらに低下していると推測される。2023年11月には、ベラルーシがMi-26大型輸送ヘリ用のエンジン6基をロシアに返却・売却することに同意したと報じられており、ロシアが部品調達に苦慮している状況がうかがえる。

Mi-26撃破が示唆するロシア軍の輸送能力の窮状

Mi-26の破壊は、特にクリミア半島におけるロシア軍の輸送能力の窮状を浮き彫りにしている。

  • 前線運用への脆弱性: Mi-26は大型で鈍重なため、前線での運用には非常に脆弱であり、これまで比較的安全な後方拠点や占領地での物資輸送、基地構築に用いられてきた。このため、戦争が始まって3年以上が経過するまで、Mi-26の損害報告はなかった。
  • クリミア半島への攻撃と兵站への影響: 今回攻撃を受けたキロフスコエ空軍基地は最前線ではないが、クリミア半島はこれまで何度もウクライナ軍の攻撃を受けている。特に、ウクライナ保安庁(SBU)は6月3日にクリミア半島の生命線であるクリミア大橋の支柱を破壊しており、これによりロシア本土からの重車両による地上輸送が困難になっている。
  • 空輸リスクの増大: 大型輸送機による空輸は撃墜されるリスクが高く、現在の戦争環境下(ドローンや対空兵器の脅威)では運用リスクが非常に高い。そのような状況でMi-26がクリミアへの物資輸送に使用された可能性は高く、ロシア軍が地上輸送の困難さから、リスクの高い空輸を選択せざるを得ない状況に追い込まれていることを示唆している。

戦略的影響

Mi-26の損失は、単に1機のヘリコプターが失われたという以上の意味を持つ。

  • 補修・生産の制限: 部品の調達難や生産能力の制限がある中で、世界最大級の輸送能力を持つMi-26の損失は、ロシア軍の兵站能力に直接的な影響を与える。特にクリミア半島のような補給が困難な地域においては、その影響は大きい。
  • 戦略的損失: Mi-26はロシア軍にとって、戦略物資や重装備の迅速な輸送を可能にする重要なアセットである。その損失は、今後の作戦遂行における柔軟性や迅速性を損なう可能性がある。

今回のMi-26撃破は、ウクライナ軍の長距離攻撃能力の向上と、ロシア軍の兵站における脆弱性を改めて浮き彫りにする出来事となった。今後の戦況にどのような影響を与えるか注目される。

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