イラン初の空母シャヒド・バフマン・バケリが就役

イランのイスラム革命防衛隊は無人機空母「Shahid Bahman Baqeri(シャヒド・バフマン・バケリ)」を公開した。同艦はイラン初の航空母艦になり、無人機・ドローン、ヘリコプターを搭載する事ができる。

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2月6日木曜、イランの国営通信社はイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が無人機・ドローンやヘリコプターを発着艦させることができる同国初の航空母艦を受領したと報じた。南部の港湾都市バンダレ・アッバースで就役式典が行われ、IRGCの海軍に引き渡された。

同艦の全長は240m、排水量は4万トンを超えるとみられる。180mの滑走路を備え、ディーゼルエンジンを搭載し、20ノット以上の速度で航行でき、最大1年間燃料補給なしで最大2万2000海里(40744km)を航行できると謡っている。式典で、IRGCのアリレザ・タンシリ海軍司令官は無人機・ドローンや誘導潜水艇、高速艇、ヘリコプター、巡航ミサイルを搭載でき、短距離・中距離防空システム、情報機器、飛行管制塔も装備されていると述べている。司令官は「この艦船を我が国の艦隊に加えることは、遠海におけるイランの防衛力と抑止力を高め、我が国の国家安全保障上の利益を維持する上で重要な一歩である」と述べた。

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艦橋位置が艦後方の真ん中に位置し、一般的な航空母艦と比較すると歪な構造になっているが、これは純粋な軍艦として建造された船ではなく、商用コンテナ船を改造した船になる。もともとは2000年に韓国の現代重工業から納入された3,280 TEUのコンテナ船で、その後、IRGCの管理下に移され、バンダル・アッバースの西にあるISOICO造船所で航空母艦として改修が始まった。通常、空母では航空機の離発着を妨げないよう艦橋部分を右舷側に寄せるが、ベースがコンテナ船になるため艦橋が艦後方の中央に位置している。飛行甲板の一部は左舷にせり出し艦中央に向けて傾斜。そして、スキージャンプ式を採用している。映像ではエレベーターも確認できる。航空母艦として約60機の無人機が運用できるよう建造されており、また、艦内には小型高速艇のアシュラ級戦闘艇約30隻、潜水艇が収納されている。

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艦載無人機JAS 313

飛行甲板にはアレスティングワイヤーが設置されており、アレスティングフックを備えた無人機が着艦回収される様子も確認できる。映像で発着艦が確認された無人機の一つが機体にペイントされた文字から「JAS 313」と名付けられた機体という事が分かる。映像からターボファンエンジンを搭載していること以外、仕様やスペックの情報はいまのところ一切ない。その姿形からイランが2013年に公開、その後、頓挫したとされる国産のステルス有人戦闘機「Qaher 313(ガーヘル 313)」の海軍無人機モデルとされている。

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艦載無人機Ababil-3

もう一つ確認された無人機が「Ababil-3(アバビル-3)」になる。同機は2014年から運用が始まった無人機でプロペラブレード付きの4気筒ピストンエンジンを搭載、最大速度200km/h、飛行距離は250km、最大8時間の連続飛行、高度15,000フィートを飛行する。主な用途は偵察監視諜報(ISR)で、前面カメラと胴体下部の360度回転カメラが搭載されており、熱画像と夜間画像を撮影できる。過去にはペルシャ湾で米海軍空母アイゼンハワーの上空を飛行し、それを撮影している。爆弾を搭載する様子も確認されており、攻撃無人機としても運用できる。

この他、アメリカ製のベル206と212ヘリ、およびロシア製のMi-17汎用ヘリが、同艦の飛行甲板から発着艦するのが確認できた。

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